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第443話◇
「――――……優月んち行こうな」
「ん?」
このタイミングで何で?という顔をしてるけど。
すぐに笑顔で、うん、と頷く。
優月と居ると、心ん中が、不思議な位、あったかい。
――――……後悔とか、すると思えねーな。
「何で笑ってるの?」
クスクス笑いながら、優月がオレに言う。
オレは、なんでもないよ、と笑って。
「目玉焼き。焼こ」
そう言うと、優月もまた、ふ、と笑んで、頷いた。
◇ ◇ ◇ ◇
一緒に朝食の準備をして、向かい合って、食べる。
朝から、楽しそうで、可愛い。
「ごちそうさまでしたー」
言って、コーヒーを飲み始めてる優月に、ふと聞きたくなる。
「優月って、朝不機嫌とか、無い?」
「オレ、目覚めはイイからないかな……」
「そっか」
「弟は朝、機嫌すっごく悪い。……話しかけても、んー、しか言わないよ」
クスクス笑う優月。
「あ」
オレはふと気づいて一言。
――――……そのまま少し黙ってたら、優月が、ん?とオレを見つめる。
「どうしたの?」
「――――……オレも、2週間前までは、朝、そんな感じ」
「え」
ものすごく、きょとん、とした顔でオレを見つめる。
「玲央が? オレの弟みたいな感じってこと??」
「ん。もっとひどいかも」
「――――……??」
優月はめちゃくちゃキョトンとして、オレを見ている。
まあそうだろうな。
オレ、優月と会ってから、超健康的だから。
優月は、知らないんだよな。
そう思ったら、なんだかすごくおかしくなって来てしまって。
「優月が来てから、オレ、超健康的なんだよ」
「そうなの?」
ん、と頷いて、まっすぐに見つめる。
「三食ちゃんと食べて、朝早く起きて、夜も早く家に帰って、ベッドに入るのも割と早いし。だからまた、朝も早いし――――……」
「前は??」
「夜遅いから、朝遅いし、食べないし、夜も軽い物食べる位で……また夜遅くて。そんなかんじ?」
「――――……」
そうなんだ、と優月が、ふうん、と頷いている。
それでもすごく不思議そうに。
「そんな変わって、きつくないの?」
そんな風に聞かれて、ふ、と笑んでしまう。
「健康的になるのに、きついとかないだろ?」
「……あ、そっか。健康的、なのか」
「優月のおかげで健康体になるかもな」
「そっかー」
なんだかすごく嬉しそうに笑って。
「オレが居て、玲央が健康になるなら、嬉しい」
そんな言い方に、クッと笑ってしまう。
「すげーなってる」
そう言うと、優月が嬉しそうに笑う。
「そーいや優月は?」
「ん?」
「オレは結構生活変わってるけどさ、お前は、オレと付き合って、何かすごく変わってることある?」
「――――……」
優月は、んー、としばらく考えて。
首を傾げつつ。
あ、と言った次の瞬間には赤くなって。
「――――……優月?」
「あ。の」
「ん」
「――――……玲央として寝ると……」
「――――……」
予想外のセリフに、今度はオレが首を傾げる番。
そんなに真っ赤になって、何て言うんだろうと思ったら。
「……ものすごいぐっすり眠れるかも……」
言い終わると同時に、ぼぼぼぼと、火が付いたみたいに、真っ赤になった。
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