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第445話◇

 学校について玲央と別れて、教室の端に座って、肘をついてぼーーーーっとしてしまう。  朝から、めちゃくちゃキスされて。  なんか。フワフワ浮いてるみたいで。  まだ、いつも一緒の友達は来てないので、一人。朝の事、思い出してしまう。  ……キスだけで、体が熱くて、すっかり反応しちゃって。  気づいた玲央に、イきたい? て聞かれて。    ううん、と首を振った。そんな事されたら、絶対、ベッドだと思って。 「じゃあ、落ち着くまでこのままいよ」  抱き締められて、ぽんぽんと背中、優しく叩かれる。  玲央は涼しい顔してるし。オレだけこんな簡単に、そんな気になってるみたいで。今玲央にされた事って、言ってしまえば、キスだけ。なのに。  後頭部、よしよしされるだけでも、今は、少しぞく、とする。  撫でないで……と思いながらも。  深呼吸してる内に収まってきた。 「収まって来た?」  くす、と玲央が笑う。  さっきも今も、直接触られた訳じゃないのに、何で分かるんだろ……。 「玲央……あの……加減して」  オレ慣れてないんだから。  玲央のすること全部に、容易く、反応しちゃう気がする。 「はは。ごめん」  よしよし、と撫でられて、玲央を見つめてると。 「よし――――……オレも一応収まったから。いこっか」 「え」 「ん?」 「……玲央、平気な顔、してたから……オレだけなのかと思ってた」 「――――……」  思わず、思うままにそう言ったら。 「バカだなー、優月」  クスクス笑って、玲央はオレをナデナデする。 「んな訳ないじゃん。むしろ、オレのが、どんだけベッド連れ込もうかと思ったか。お前が学校、て言うから我慢しただけ」  よいしょ、と立たされて。一緒に立ち上がった玲央に、ちゅ、と頬にキスされた。    あれから、一緒に朝食を片付けて、出てきた。  平気な顔して話してたけど。なんかオレ。  体の奥、熱いまんま。  ――――……最後キスされた頬に、触れる。  ……朝から。もう。  ほんとに。強烈だったなあ……。  キラキラした瞳でオレを見つめて、  優しく笑って。優しく触って。抱き締めて。  めちゃくちゃ、キス、されて。  ――――……ていうか。キスって。  普通の人、あんなにするものなんだろうか。  オレ、きっと、他の誰か。女の子と付き合ってもあんな風にはキスしてなかったと思うなあ。……てことは、振られてたかなあ??  ……どの程度するのが普通なのかとか、全然分からない。  人によって違うんだろうけど……。うーん……。  手をズルズル前へ伸ばして、腕の上に倒れ込んでしばらく。ぺったり机と一体化していたら。隣に誰かの来た気配。 「お?? 優月だよな?」  話しかけられて倒れたまま横を見る。 「……うん、おはよー」 「どしたの、倒れて。寝不足?」 「ううん。ちゃんと……」  聞かれて、ちゃんと眠ったよと言いかけて。  ――――……玲央とするとぐっすり眠れて、という自分の言葉がパッとよぎって。そのまままた突っ伏した。  ……うー。ダメだこれ。   「やっぱり寝不足……」  起き上がらないで済むように、仕方なく、そんな風に誤魔化して。  あらら。ちゃんと寝ろよなー、なんて言われて。  寝ました……と心の中で言いながら。  うん、そだね、と小さく答えた。

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