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第461話◇
授業を終えて、優月と待ち合せた掲示板の前。
何となく掲示されている物を見上げながら待っていると、後ろから走ってくる気配がしてすぐに、少し髪の毛乱した優月が到着。
「ごめん、玲央、遅くなっちゃった」
「オレも今来た。走って来なくていいよ」
可愛くて、フワフワしてる頭を撫でると。うん、と微笑む。
と。背後で、きゃ、と言う、女子の声。
何気なく振り返ると、オレと優月を見てたのか、キャッキャッと楽しそう。オレの視線に、あ、と口を手で隠してる。
――――……ああ、髪、撫でたからか?
こういうの、喜ぶ女子は、どこにでも、いるよな……。
バンドメンバーで近くても、騒ぐ子達も居る位だしな。
ふと優月を見下ろすと。優月は何にも気づいてない。
「玲央、掲示板見てた?」
「いや、大丈夫」
「じゃあ、行く?」
「――――……ん、いこ」
そっと、優月の肩に手を回して、歩き出す。
ものすごく押さえた、きゃー、という声が背後から聞こえる。
ぷ、と笑ってしまうと。
優月が「玲央?」と見上げてきた。
「……何でもない」
何か。こんな風に、周りが知っていって、オレと優月が一緒に居るのが当たり前になると、いーけど。
……今のは、まあ、ふざけたけど。
「玲央、ちょっと、近い……」
かあっと赤くなって、優月が少し離れる。
「……あぁ、ごめん。ていうか、近い?」
「近いよー……」
「見られたくない?」
「ていうか……照れちゃうから」
――――……はい。可愛いし。
はー。もう。ほんとに。
……照れちまうのか。
そっと、離してやると、優月はじっとオレを見つめてくる。
「さっき昼休みが終わって教室に行った時ね」
「ん」
「オレの顔見るなり、友達皆に言われたんだけどさ」
「うん?」
「……なんか幸せオーラとか、ツヤツヤしてるとか。いっぱい言われたの」
「――――……ツヤツヤ?」
クスクス笑ってしまう。
「多分、玲央といっぱいくっついてたから、幸せ過ぎて、ツヤツヤしちゃったのかなあと思ってたんだけど」
「――――……」
「オレ、玲央と別れる時、ツヤツヤしてた??」
……「ツヤツヤ」はよく分からねえけど。
いつも良い笑顔してるし。幸せそうに笑ってるよな、優月は。
「いつも笑ってて、幸せそうだけどな」
「……そう?」
「誰と居ても、楽しそうだけど」
「――――……」
そんな話をしながら、オレのマンションまでの道を歩いていると。
駅とは違う方向なので、もう周りには人は居ない。
ぷに、と頬を摘まんで、親指で唇に触れる。
「さっき、いっぱいキスしたからじゃねえの……?」
くす、と笑ってそう囁くと。
また例にもれず、瞬間的に、かぁっと赤くなった。
「そういう事すると、なんか、肌、ツヤツヤするのかもな」
可愛くて、赤い頬に触れて、すり、と撫でると。
「……っちょっ、とは、思ったけど」
「ん?」
「キス……したからかなって。ツヤツヤっていうのは、なんか、それかなって」
「あ、思ったの?」
じゃあ何で思ってた事言われて、そんなに、赤くなるんだ?
「何で玲央が言うと、そんなに、やらしくなっちゃうんだよう……」
「――――……」
なんか困った眉毛になってて。
可愛くて笑ってしまう。
「ごめんごめん……」
クスクス笑いながら、オレは、優月の頭をヨシヨシ撫でる。
「オレもツヤツヤしてんのかな」
そう言うと。
「いつもお肌綺麗だよ」
「――――……そう?」
「うん」
「――――……つか、何の会話だよ」
「お肌の話になっちゃったね……なんでだっけ」
何だかよく分からなくなってきて突っ込むと、優月もクスクス笑い出した。
(2022/4/30)
連休ですねぇ♡
Have a lovely day✨
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