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第463話◇

 優月のマンションについて、部屋に上がると、座ってて、と言われた。 「手伝うけど」 「でもそんなに無いし、服とかは見ながらだし……」 「いいよ。一緒に居る」  そう言うと、うん、と笑顔。  優月が、大きなボストンバッグを引っ張り出してきて服を軽く丸めながら、詰めていく。 「何に使ったの、この鞄」 「修学旅行以来」 「ああ。なるほど。どこ行った?」 「沖縄」 「オレも1年時は沖縄に行ったな」 「1年の時はって?」  優月が服をしまいながらオレを見上げてくる。 「オレもつめてく?」 「ん、じゃあ、ここらへん、つめくれる?」 「ん」  膝をついて、優月の出す服を鞄に詰めながら。 「1年の時は沖縄に2泊だったんだよ」 「あ、なるほど。オレも、そういえば1年の時はスキー合宿みたいなの行ったなぁ……。あ、じゃあ修学旅行は?」 「修学旅行はシンガポールだった」  答えると、優月が目をパチパチしてる。 「海外なんだね! なんか、さすがな感じがする……」 「さすがな感じ?」 「うん。さすがな感じ」  クスクス笑って、そっかー、と優月が一人納得している。 「あ、でも、英語話せないと厳しいの?」 「んー。少しは話せた方がいいかもな」 「皆話せるの?」 「幼稚園からかなり英語に力入れてるから。エスカレーターの奴らは、ほぼ話せると思うけどな。話せない奴、成績で大学に上がれないかも」  そう言うと、優月が、何やらキラキラした瞳で見つめてくる。 「カッコいいねー。オレ、英語話せないなぁ……話せたら、玲央と英語で話せたのにね」  なんて、なんだかよく分からない可愛い事を、クスクス笑いながら言っている。 「やっぱり、英語、話せたら良かったなあ」 「別に今からでも、話せるようにはなるだろ。オレと家で英語で過ごす?」 「――――……」  少し考えてから、優月はクスクス笑い出した。 「その前に単語覚えた方がいい?」 「話しながら覚えるよ」 「考えとくね。 なんかオレ、玲央が英語話してたら、聞き惚れてそうだしなー……」 「――――……」  何だそれ。  と、笑ってしまうと、あ、そっか!と優月がまたキラキラしてる。 「英語の歌、だからあんなにカッコいいんだね」 「……カッコよかった?」 「うん、すっごく」  うんうん、とひたすら嬉しそうに笑って、頷いている。  何でこんなに可愛いんだろう。とりあえず荷物片付くまでは触らないで置こうと思ってはいるのだけれど。  それでもさっきから触れたくなるのを我慢しつつ、話しながらも鞄の中に服を詰め込んでいると、優月がちょこ、と目の前にしゃがんだ。 「これ位で良いかなあ? 別に全部持たなくても、いいよね?」 「ん。洗濯すればいいし。つか、家で着る物はオレの貸しても良いし」 「ありがと。……じゃあ服はこれでいいかなあ」  優月はそう言って、クロ―ゼットを覗いている。その後ろ姿をみながら、オレはふと、自分が言った言葉に少し止まる。  オレの服貸してもいいし、か。  ――――……ていうか、オレの服着せたいとか、今すげえ思ったな。    可愛いんだよな。なんか、やっぱり少し小さいから、袖とか長いし。  ――――……あー、なんか、こんな事がちょっと楽しいとか。  言ったら、気持ち悪がられるか? なんて思っていたら。  優月が、ふと、オレを振り返った。 「なんか ――――……玲央の服、前借りたでしょ?」 「ん」 「……ちょっと大きいんだよね」 「あぁ。着づらい?」 「――――……じゃなくて……えーと……」  視線をうろうろさせた後。  あ、やっぱり、なんでもない、と言って、クロ―ゼットを閉める。 「じゃなくて何?」 「……あの」  何でもないではすまないと悟った優月が、閉めた扉に背を付けて、オレを振り返って。 「……なんだろ。少し、大きくて…… なんか――――…… トキメク?って感じ……?」 「――――……」  オレは鞄の側から立ち上がって、言うと同時にああ言っちゃった、と狼狽えだす優月に近付く。 「ごめんね、なんかそんなの、女の子じゃないのに、気持ちわるいかなと思って、途中で言うのやめようとおも……」  何やら焦って言い続けてる優月の頬に手をかけて。  引き寄せて、その唇を塞ぐ。 「……っ、ん……」  優月の目がびっくりしたみたいに開かれる。  そのまま、深く、キスを重ねた。  ――――……触んないとか。無理。   あとがき♡ ◇ ◇ ◇ ◇ 宣伝失礼します(*'ω'*) よければお読みください♡ 「桜の樹の下で、笑えたら」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/551897599/92624131 アルファさんの「ライト文芸大賞」で「切ない別れ」のテーマが書きたくて参加してます。 BLはどうしても幸せにしたいので、そのテーマではかけないので、 今回、非BLのお話でめいっぱい切なくを書いてます。が、未来を感じられるラストにしたいと思ってます。 良かったら、何ページか読みに来ていただけたら♡ 切ないと感じて頂けたら、そのままおつきあいくださったら嬉しいです♡ メインの更新で手一杯で書けなくならないように、(いくつかそういうのがあるので(´;ω;`)) 2ヶ月位前から裏で少しずつ書いてて、大体書き終わる事ができたので、投稿してます。 何事もなければ、このまま5月のコンテスト期間に完結させる予定です(^^) 良かったら、応援して頂けたら♡

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