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第468話◇
玲央の脚の間に引き寄せられて、ぎゅーと抱き締められたまま。
しばらく経過。
「……れお……?」
特に何かされるわけでもなく。
何か言われるわけでもなく。ただ、ぎゅー、と腕の中。
どうしたんだろう、と思うのだけど。
その内、こんな風にきつく抱きしめてくれている事が幸せに思えてきて。
ふふ、と笑ってしまった。
すると、玲央が、オレを抱き締めたままで。
「何、笑ってンの……?」
と、聞いてくる。
優しい、声で、すごくゆっくり。
玲央が後頭部に触れてた手が、オレの頭を、そっと、撫でてくる。
「――――……」
なんか。このまま時間が止まっちゃえばいいのに。
そんな風に思ってしまう。
手を、玲央の背に回して、ぴと、とくっついてみる。
「――――……なんかこうしてると、笑っちゃう」
「……何で?」
「……幸せ、すぎて。かなぁ……なんか笑っちゃう」
「――――……」
そう言ったら、玲央は、またしばらく黙ったまま。
でも、ぎゅ、と余計くっついたような。
ふふ。
……あ。また笑っちゃった。
ていうか、これ。笑っちゃうよね。
玲央にぎゅー、て抱き締められてるとか。
めちゃくちゃ幸せ過ぎて。暖かくて。
「……オレ」
玲央が、一言、そう言った。
「ん……?」
顔を見ようとしたけど。
なんだか阻止されてるような。相変わらず、抱き込まれてて、ぎゅっとされてて、顔は、見れない。
「……うん?」
顔は見るのは諦めて、玲央に、ぴと、とくっついて。
玲央が続きを話してくれるのを待つ。
「――――……」
ずーっと、黙ってる玲央。
でも。髪の毛を撫でてくてる手は、すごく優しいから。ただ、瞳を閉じて、玲央の腕の中に収まっていると。
「――――……すっげー、好き」
なんだか、すごく、ためこむようにしてから、そんな風に、囁かれて。
そのまま、ぎゅー、とまた抱き締め直されて。
言われた瞬間、ぱち、と開いた瞳は。
なんだか瞬き、すごい繰り返して。
一気に顔、熱くなる。
「――――……ヤバいなぁ、これ……」
後頭部に触れてた手が、髪の毛の間にくしゃ、と入ってきて。
そのまま、うなじに滑って。やさしい仕草で顔を上げるように、促される。
オレ今、多分真っ赤、なんだけど。
思って、一瞬、ちょっと力を入れて、下を向いていたけれど。
「……顔見せて」
囁かれて、もう諦めて、その手に従って、上を向く。
「――――……」
見下ろす玲央の顔は。
ほんと綺麗で。なんかすごく真剣な顔してて。
真っ赤って言って笑うかなと思ったのに。
今は言わないみたい。
「――――……ずっと居ろよな」
頬に触れた玲央が、まっすぐオレを見下ろして、そんな風に言う。
何でか、涙が滲む。
それを見た玲央が、ちょっとびっくりした顔をしてから。
ふ、と笑んで。
「可愛すぎ」
囁きながら唇が近づいてきて。触れるだけの優しいキスが、重なった。
「~~~~……っ」
玲央の首に、手をかけて。
ぎゅう、としがみつく。
「大好き、玲央」
そう、言ったら。
玲央はクスクス笑って。オレの背に置かれた大きな手が、オレをまた、ぎゅ、と抱き寄せてくれた。
――――……大好きすぎて。ほんと。
どうしたらいいんだろう。なんて。 そんな事を、本気で思った。
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