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第477話◇

 ……はっ。と気付く。  まわりの人達、玲央の事見てるんだった。  あんまり見つめ合ってたら変かも……。 「うん。ありがと」  そう言って、オレは箸を持って、お肉を口に運んだ。 「抹茶おいしいよ」  言いながら、さりげなく、周りをちょっと見回してみてたら、玲央が、ふ、と笑った。 「大丈夫だよ、聞こえてないし。……多少バレても関係ないし」  クスクス笑いながら、玲央も食べ始める。  あ。気にしてたのバレてる。 「ん……」  頷いて、また視線を合わせる。 「――――……なんか、失敗とか聞いて、思ったんだけど……オレは玲央が初めてだからさ」 「うん?」 「……何が普通なのかとか、全然分かんないから…… 変な事したり、言ったりしたら、教えてね」 「――――……」  玲央はまた黙ったまま、じっとオレを見て。  ん、と笑った。 「……ていうか、普通とか、無いよ」 「無いの?」 「無い。相手によって違うし。……優月とオレが良ければいいだろ」 「――――……そっか」 「でもって、オレ、お前と居て、嫌な事全然無いし。だからこのままで良いよ」 「――――……」  わー……。  なんか。  さらっと。  ものすごく、嬉しい事。言うんだよね。玲央。  何だか、じーん、とひたすら浸っていると、玲央がぷ、と笑った。 「見惚れてないで食べな」  クスクス笑いながら、お肉を追加してくる。 「そうやってぽーっと見てる方が、バレそうだけど」  クスクス笑われて、はっ言われてみればと、顔を引き締めるけど。玲央にはますます笑われる。 「嘘。いいよ、バレても良いって言ってるじゃんか」 「……うん」 「ん、じゃあ梅塩。はい」 「ありがと」  色んなお塩であれこれ試してる内に、お好み焼きが焼き上がった。  ソースと鰹節と青のり、マヨネーズで完成。イイ匂い。  豚玉とミックス玉、鉄板の上で、半分こにする。 「たべよ~、玲央」 「ん」  お好み焼き、すごい好き。  ぱく、と頬張ると、熱いけど、めちゃくちゃ美味しい。 「おいしー……」  もぐもぐ食べ続けていると、玲央も美味しそうに食べてる。 「……なんか玲央、お好み焼き屋さん、似合って来た」 「なんだそれ?」  クスクス笑う玲央に、「だってしばらく玲央だけここに似合わなかったから」と答えると、益々面白そうな顔をしてる。 「初めてなんでしょ? こういうお店に入るのも」 「ああ」 「……もしかして勇紀とかも、入った事ないのかな?」 「どうだろ。今度聞いてみな?」 「うん。……なんか、でも、玲央達が4人で入るなら、そういうとこじゃなくて、オシャレなお店が似合うかもね」 「……今度全員連れてくるか」 「うん。いーね」  なんか。勇紀は楽しみそうだけど。甲斐と颯也どうなんだろう。 「……颯也が、もし初めてなら、玲央よりも真剣に焼きそう……」 「そういうイメージか?」 「うん。何となく」   ふふ、と笑ってしまうと、玲央も少し考えてから、クッと笑い出して。 「分かる。まあ、多分勇紀がめちゃくちゃ張り切って、全部仕切りそうだな」 「あ、オレも勇紀は楽しみそうって思った」  あは、と笑ってしまう。  勇紀の事は知ってたけど。玲央も、玲央の仲間も。  ちょっと前まで 全く知らなかったのに。    今はなんか――――……。  玲央は、オレの毎日、いつも、居て。  玲央の仲間も、思い出すだけで楽しいとか。すごい不思議。  でも、なんかすごく、嬉しい。  

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