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第481話◇
【side*玲央】
学校から帰って、優月のマンション。
襲いたいって。思ったけど、優月が大変になるから何とか我慢した。
でも途中まではしたせいで、ポワンポワンして可愛い優月、隣の部屋の奴に熱があるのかとか、触られてて。
……まあたかがそれだけの事に、オレは妬いたのバレて。
でも優月は、妬いてくれたら嬉しいとか。
――――……でもオレも、優月に妬かせたいとか。
今までと真逆の事を思ったり。
で、お好み焼き、初めて食べに行った。
食べた事はあったけど、焼いたのとかも、初めて。
多分これは――――……一緒に居る奴と、楽しく焼きながら食べるってのが、楽しいし、美味しく感じるものなんだろうなと。何となく思った。
前に鉄板焼きの店で、焼いて出してもらったけど。楽なのはどう考えたってそっち。でも、一緒に焼いて、優月が楽しそうにしてんのが、可愛いし。なんか愛しいし。
唯一ちょっとあれなのは、真ん中の鉄板が熱いせいで優月になかなか触れないって事だったけど。ほりごたつみたいになってたから、足でつついてたら、楽しそうに笑って可愛かったので、まあこれはこれでいいかと思ったりして。
ファンの子が居て、泣きだして――――……。
もしかしたら、オレ、前なら、めんどくせえなと、ちょっと思ったかもしれない。
でも。
なんか最近。人の好意とか、「好き」とか。
そう言うものに対しての、オレの考え方が、何だかものすごく大きく変わってる気がしてて。
――――……あんだけ、嫌だった嫉妬、とかも。
過去のものについてすら、色々考え直す所もあるし。
多分、これは、全部、優月と会って、優月が好きで。
それから。――――……優月の考え方の影響を受けまくってる気がする。
――――……多分本人は。
オレに、そんな、影響を与えてるなんて、きっとこれっぽっちも思っていないだろうけど。
「――――……」
車を運転しながら、歌を口ずさみながら、そんな事を考えて。
少し渋滞で止まった所で、ちら、と隣に視線を送ると。
「ん?」
すぐ気づいて、オレを見て、にっこり笑う。
なんか。優月が笑うと、ふわ、と、気分が、あがる。
「……ちょっと混んでるな」
「うん。そだね。ありがとね、運転してくれて」
「……ん」
「オレは、玲央が歌ってるの聞いてられるから、ずーっと乗ってたいけど」
呑気にそんな事言って、笑ってる。
渋滞だって、ほんとなら、あんま好きじゃねえし。
空いてる道をナビが勝手に探して出してくると、そっち走ろうとかしてたけど。
なんか。こんな、ニコニコとそんな事言われると。
和みすぎて、そのまま渋滞でもいいや。みたいな。
……意味わかんね。
「オレがさ、免許とれたら、運転替われるよね。んー。……夏休み、玲央達についてくなら、もう少し早くから、通い始めようかな……」
「ん。調べてみろよ、学校行きながら行けるか」
「うん。そうする。あ。でも」
「ん?」
「……免許取ってすぐ、この車、運転するの怖い」
「何で?」
「……ぶつけたら、大変」
「ああ……」
ふ、と笑ってしまう。
「ゆっくり走れば大丈夫。いざとなれば保険入ってるし」
「気休めにならないよう……」
困った眉にまたなってる。
……ほんと、可愛い。
左手を伸ばして、よしよし、と撫でると。自然と、ふわ、と笑う。
……何だかなー。
もーオレ。
――――……優月が居なくなったら。
ほんと色んな事、ぐちゃぐちゃになりそ。
だから、絶対、オレの方が、お前居ないとダメなんだよなー。
そういう事を伝えると、優月は、何で?て顔をいつもするんだけど。
絶対離れないように。
大事にしよ。なんて、初めて、思う。
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