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第484話◇

 バスルームから出て、いつも通り、優月の髪をドライヤーで乾かす。  気持ち良さそうで可愛い。  ただひたすら優しくしてあげたいと、思ってしまう。  ……優月は、可愛い。  今、オレの中で、一番可愛いと、思ってる。  ……そもそも、人をこんな風に可愛いとか、愛しいとか、思った記憶がほとんどなく生きてきたような……。  だから、生きてきた中で、一番、可愛いのかも、とも思う。  ――――……最初に会った時、どう思ったっけ。  確か。あん時は。……最初見た時は。  ――――……クロに笑った顔が。無邪気で。  ……キスしたらどうなるんだろう、と思ったんだよな。 「はい。終わり」 「ありがと。玲央も……」 「今日はいいや」  ドライヤーかけてくれる時の優月の手も好きなのだけど。  ――――……なんか。色々。今日結構ずっと我慢してた気がする。  タオルで髪の雫を拭き取って、優月の手を引く。キッチンに寄って、水のペットボトルを、一本優月に渡して、自分も持つと、一緒に寝室に向かう。  奥の間接照明だけを付けて、優月とベッドに腰かけた。 「水、飲みな?」 「あ、うん……」  ぴく、と反応して。頷いた優月が蓋を開けて、水を飲む。  オレが水を飲み終えて、ベッドサイドの台に乗せると、優月がじっとオレを見つめた。 「……髪、濡れた感じの玲央」 「ん?」 「……好き」  ふ、と笑んで、下から見つめられる。 「――――……」  ――――……なんか。  ほんと。  …………ハートに矢が刺さるみたいな絵が浮かぶ。  何なんだろう、この、感じ。   そっと手を伸ばして、オレを見上げてる優月の頬に手をかける。 「……オレが好き?」 「――――……」  優月は、じっとオレを見つめて。  頬に置いた手に、そっと手を重ねて。すり、と頬を寄せてきた。   「うん」  何だかとてつもなく嬉しそうにしてるその笑みに。  愛しくて、たまらなくなる。 「――――……優月……」  囁きながら、唇を重ねる。  ゆっくり舌を絡ませて。伏せられた睫毛を見ながら、頬をまた、すりと撫でる。 「……あ、お水」 「……ん?」 「ふた、してない……」  握り締めてた蓋を、ペットボトルにはめて。オレはそれを受け取って、下に置いた。 「――――……優月」  そのまま、ベッドに背を沈めさせて。手をついて、腕の中に囲う。 「――――……なんか……あの」 「……ん?」 「……すごい……ドキドキ、する」 「ん。……オレも」 「ほんと?」 「……ほんと」  言うと、優月がくす、と笑う。 「でも絶対、オレの方が、ドキドキしてるけど……」 「……触ってみな?」  優月の手を掴んで、自分の胸に触れさせる。  触れた瞬間。かあっと赤くなる優月。 「――――……」  ほぼ毎日、一緒に寝て触れ合ってんのに。  この反応が、すげー可愛い。 「……玲央も、ドキドキしてるけど――――…… 触ったせいで余計、オレがドキドキしてる……」  どうしてか、小さな声で、ぽつぽつ言うのが。   可愛くてたまらない。 「優月」  押し倒した優月を、引き上げて起こして。  オレの太腿を跨がせて座らせると、密着して、抱き寄せた。 「……どして、これ?」 「先、めちゃくちゃキスしたい」  オレを見つめて、瞬きしてる優月の後頭部、片手で押さえて。  深く、唇を重ねた。 「――――……ん……」  優月が、少し、唇を開けてくれる。  最初の頃は、優月に、口開けて、とか、言ってたっけ。  自然と開けてくれるようになってるこの感じ。  すげー、愛しいんだけど。  ゆっくり、舌を触れさせて、絡ませる。   手をバスローブから挿し入れて、胸を撫でる。  んん、と優月の声が漏れると。 何だかヤバい位、興奮する。

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