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第488話◇

【side*玲央】  目が覚めると、優月がまだスヤスヤ寝てる。  ……寝顔――――……天使、みたい。とか。  ――――……あほか、オレ。さすがに、恥ずい。  一人で内心狼狽えながら、静かに体を起こして、ベッドを降りようとして気づく。そういや、いつも、一緒に起こしてと言われるっけ。  ベッドの端に腰かけて、優月を振り返って、髪に触れる。  さら、と髪を梳きながら、頬に少しだけ触れる。 「……ん……」  くすぐったそうに、ぴく、と動く。  ――――……可愛すぎないか。これ。  そのまま、すり、と頬を撫でたら。  ふ、と、小さな声にもならない声を出して、もう一度、スヤスヤ眠る。  ――――……起こしたくない。と結論が出た。  時計を見ると、まだ時間、早いし。  そのまま立ち上がって、先にシャワーを浴びた。  ……つか、オレ、ほんとに早起きだな。すっきり目が覚めるし。  ずっと、朝が弱いと思っていたけど――――……ただ夜が遅かっただけなのか……。  髪をざっと乾かして、着替える。  コーヒーをセットして、食事を作り始めて。  そろそろ起こして、シャワーを浴びさせようかなと、思った時。  かちゃ、とドアが開いて。  優月が、キッチンに居るオレを見ると。ぷーー、と膨らんだまま、入ってきた。とことこやってきて、オレの前に立って。  んーーー、と、何やら一生懸命な顔で見上げてくる。  ……何それ。可愛すぎるんだけど。  何か言いたげなので、言うのを待っていると。 「……起こしてって、言ってるのにー。何でオレこんなに起きれないんだろ、もーおかしい、玲央のベッドに睡眠薬か何か入ってるみたいな……もー」  起こさないオレを責めてるのか、起きれない自分を責めてるんだか、ベッドを意味不明に責めてるんだか。  とにかく、面白い。  クッと笑い出してしまったら、優月は、ますます、むー、とした顔でオレを見る。 「玲央、起きたら、オレの事も起こしてってば」 「ん」  オレは、すぽ、と優月を抱き締めた。 「おはよ」 「……う。ん。おはよ……」  途端に勢いをなくして、オレの腕の中にすっぽりハマってる優月。  ……可愛い。 「今日は、ちゃんと起こそうと思ったんだけどさ」 「――――……」 「寝顔が安らかだし、すげー可愛すぎて、起こせなかったというか……」 「……何言ってんの、玲央……」  優月がまた、むー、と見上げてくる。 「……寝る前相当無理してるし、寝てていいんだよ、優月」 「寝る前無理……」  目をパチパチさせてから、またかああっと赤くなって。 「お前が起きれないのは、絶対それだと思うんだよな。だから、いいよ、 オレ今起こしに行こうと思ってたとこだし。これ位のタイミングで起きてくれたら、全然いいよ」 「――――……」 「そのかわり、朝ゆっくり起きる代わりに、夜オレに付き合ってくれれば」 「――――……っっっっ」  何を想像したんだかもっと赤くなる。  ――――……あー。  かわい。 「……だからとりあえず今は、シャワー浴びておいで」 「…………」 「出る頃作り終わるようにするから。いってこいよ」  よしよし、と頭を撫でて、そう言うと。ありがと、と言った後。  でもやっぱり納得いかないのか。 「……後でまた話して」  なんだかまた、ぷー、と膨れつつ。てくてく歩いていく。  姿が見えなくなってから、何かもう、可愛くて笑ってしまう。  きっと、オレが起きて色々やってんのに、自分が寝てんのが嫌なんだろうなぁ。まあ、優月はそうなんだろうなと分かるんだけど。  あんな可愛く寝てんの、無理無理起こすのもなあ……。    あーほんと。起こしても起こさなくても。  可愛くて、困る。       (2022/6/7) ◇ ◇ ◇ ◇ 可愛くて困る、って方いらしたら、挙手('ω')ノ♡ 私は玲央と優月、書いてると幸せなので 読んでる方も、ちょっとでも幸せになってくれるといいなあと 思っております(≧▽≦)♡

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