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第496話◇

【side*優月】 「おっはよー」  一限の教室に入って、何となく友達が固まってるとこに声をかけて座ると。 「朝からご機嫌すぎ、優月」  一人にそう言われて、オレは首を傾げてしまう。 「……おはようって言っただけじゃん……?」  そう言ってみるけれど。 「いやちがう」 「おはようじゃなくて、おっはよー、だったろ、お前」 「細かいよー??」  確かにそう言ったかもだけど……。 「今日クラス会参加だろ?」  そう言われて、頷くと、皆は何やらすっごくニヤニヤ笑う。 「いっぱい話、聞こうじゃんか」 「そうだよ、まだ全然詳しい事、聞いてねーし」  なんかあまりに皆が楽しそうすぎるので、ちょっと、引きながら。 「何でそんなに楽しそうなの?」  そう聞いてみた。すると、楽しいに決まってんじゃん、という声。 「だって優月、去年はそういうの全然欠片も無かったし、合コンとかも興味無さそうだったしさ」 「そーだよ、どんな女と付き合ってんのか、もー興味しかない」 「誰のより、優月の興味あるかも。すげー可愛いんじゃねえの?」 「えーと……」  …………まあ。   たまに、とっても、可愛い……。   「う、んまあ……」  曖昧に頷いたのに、皆が超笑顔。 「やっぱりー? ていうか、優月の彼女、絶対フワフワしてる可愛い子な気がする」 「だって、そうじゃねえと、絶対優月が押されまくりになっちゃうよな?」 「優しい子?だよな?」 「……オレの付き合う子って、そういうイメージ??」  何だか勢いが凄いので、そう聞いてみたら、皆はそれぞれ、うんうんとすっごく頷いている。  …………優しい子。  うん。すっごくすっごく、優しい。  フワフワ……??  フワフワは……違う、かなあ……?  玲央は、フワフワではないなあ? 「フワフワはしてないかも……優しいけど」  うんうん、それで? みたいな顔で、皆が見てくる。 「……フワフワじゃなくて……キラキラ、してるかなあ……」  玲央の事思ってると、キラキラしか浮かんでこなくて、うーん、と考えながら、そう言うと。 「なに、可愛いじゃなくて、綺麗系なの?」  そう聞かれる。  えーーーー。  綺麗系……? 綺麗……?  うーん、まあ。綺麗では、ある。超整ってるし。  美人さんだよねえ……。めちゃくちゃ美形……。 「うん。綺麗でかっ――――……」  綺麗でカッコイイよ、と言おうとした瞬間、教授が入ってきてしまった。 「ありゃ残念。まあ、後でまた詳しくな?」  何て言われて、うん、と頷いた。  何となく、言い足りなくて、片肘を付いた。  教授が挨拶の後、雑談を始めた。何となく聞きながら、んー、と考える。      今、言いかけてた、カッコいいよ、まで言ってたら。  皆なんて言ったんだろ。  女の子だと思ってるみたいだから、カッコいい女の子だと思ったのかなあ。  ていうか、皆、完全に女の子だと思ってるんだな。  …………まあ、そうなのかー、やっぱり。  言ったらやっぱり叫ばれるかな。  玲央の事、知らない人は、何か、あんまり居なそう。  なんか皆とちょくちょく話してる感じ、有名っぽいし。  ……まあ、オレが知ってる位だから、もうその時点ですごく有名ってことか。  なんか今の感じで考えると、玲央と付き合ってるって言っても、信じてもらえるのか、何だか不安になって来た。  そもそも玲央みたいな人が、オレと付き合うとか、そんなのって信じてもらえるんだろうか。オレ自身が、不思議な位だからなあ……。  あ、そうだ、証拠写真とか。  …………あ、ダメじゃん。オレ、玲央と写真撮ったことない。 「――――……」  あ、そーだ。あとで、昼休みの時、玲央と写真撮らせてもらおう。  仲良しで並んでる所。  そーだそーだ、そうしよう。  玲央とツーショット。  あ、クロも入れてあげようっと。    楽しみ。  

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