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第499話◇

 でも、そんな事言ったら――――……オレにとって、玲央は。  最最最最最最最最優先だと思うけど。  そんな風に思いながら、玲央を見つめていたら、何だか優しく笑んだ瞳が近づいてきて。  あれ。……キス、されちゃいそう。  校舎の裏通りって言っても……どうしよ……。  思った瞬間。 「にゃあ」 「!」  聞こえた鳴き声にぱっと振り返ると、クロがこっちに向かって歩いてきていて、オレを見ていた。 「クロ」  近寄って、抱き上げる。 「会いに来てくれたの?」  よしよし撫でると、ゴロゴロ嬉しそう。 「コンビニまで一緒に行こうね」  抱っこしたまま、玲央を振り返ると。あれ? 何か変な顔してる。 「……邪魔していい?」 「え」  邪魔って……。クロとの間を?  あ、そっか。今、多分玲央はキスしようとしてたんだった……。「邪魔」って言うのは、さっきの邪魔するしないの話から来てるのかな。  ちょっとムッとして見せてる玲央の顔に苦笑してしまいながら、「だめ、かな……」と答えたら。 「――――……」  ふー、と息を吐きながら、オレの頭を撫でてくる。撫でながらクスクス笑う玲央を見ていたら、ふと思い出した。 「あ。玲央」 「ん?」 「あとで、一緒に写真撮ってくれる?」 「二人で?」 「んと……二人と一匹で」  そう答えたら、玲央は苦笑い。  オレの腕の中のクロをイイコイイコしながら、そこにもお前は入ってくる訳?と話しかけてる。なんか、可笑しい……。 「まーいいよ。……でも二人でも撮ろうぜ?」 「うん、もちろん。撮りたい」 「ならいいよ」  オレはクロを抱いて撫でたまま、玲央と一緒に歩き始めた。 「気持ちよさそ」 「え?」 「クロが」  ああ、クロが。うん。気持ちよさそうで可愛い。 「撫でられるの好きだもんねー」  言いながら撫でていると、玲央が横で、「あのさー」と笑う。  クロから玲央に視線を流すと、何だかすごく優しい瞳をしてて、ただでさえドキッと胸が震えるのに。 「家帰ったら、撫でて」  優しい声で言われて、数秒惚ける。 「――――……えと……」  撫でてって。  ――――……撫でてって……。 「玲央、を?」 「そー」 「――――……」  かあっと顔が熱くなる。  撫でるとか。……全然いいけど。  なんかもう、可愛いなとか思っちゃうと……っ。 「はは。――――……真っ赤……」  頬に触れられて、すり、と撫でられる。 「かわいーな、優月」  ぷにぷにされて、ますます恥ずかしい。  しばらくしてようやく顔の熱が引いてから、そういえば、と玲央がオレを見た。   「何で写真撮りたいんだ?」 「んー……今日さ、クラス会あるでしょ」 「ん」 「そこで玲央のこと、言えたとして……写真があれば信じてくれるかなあって」 「ああ。なるほど……」  じっとオレを見つめてから、玲央が笑う。   「……言うのか?」 「んー……皆はね、聞く気満々だと思う」 「ふーん? 何で?」  また、じっと見つめられて、ん、と頷く。 「なんかオレ、最近、幸せそうって言われちゃうんだよ。玲央と離れた後とかさ、スマホで連絡取ってる時とか……皆に彼女できたのか聞かれちゃうの」 「……ふーん? それは何だか、嬉しいけど」 玲央はほんとに嬉しそうに、クスクス笑ってる。 「でも、皆、どんな女の子って聞くからさ、やっぱり男とって思わないみたいで」  「まあ。そうかもな」 「その上、玲央だって言っても、誰も信じてくれない気がして」 「キスしてるとこでも写真とっとく?」 「……それを皆に見せるの?」 「見せてみたら?一発で信じてもらえるんじゃないか?」 「――――……無理……かも……」  うん。  多分、一発で信じてくれるかもしれないけど。  ……皆の叫びを押さえられる自信が、全然無い。 考えた末そう言ったら、玲央は「まーそうだろうな」と、可笑しそうに笑った。 後書き ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ フジョさんの初恋BLコンテストで受賞したお話のアンソロジーが 昨日紙本発売されました♡ ブログに詳細書いてますので、よろしければ……♡ https://fujossy.jp/notes/31285

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