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第502話◇
なんかもう、玲央に引き寄せられるみたいにキスしてしまった。
あ。ここベンチだから、見えちゃう、と思って離れようと思った時。
玲央の手が頬に掛かった。
「――――……」
そのまま頬から後頭部に手が滑って、ぐい、と玲央に押し付けられるみたいにされて、キスされた。
「――――……っん……」
オレのキスなんか比べ物にならない位、深く重なってきて、舌が触れてくる。ぞくん、と背筋に走る感覚に震えて、声が漏れてしまう。
「ふっ……っ…………ん、ふ……」
しばらくキスされて、離される。
なんかもう、力が入らない。
「――――……次さぼる?」
濡れたみたいな声で至近距離で囁かれると、ぞくっとして、ぎゅ、と瞳を閉じる。
「……どっかこもる?」
「――――……っ」
ぷるぷる首を振る。すると玲央は後頭部に置いてた手を、そのまままっすぐ下げて、背筋をつっと滑らせた。
「ひ、ゃ」
びくっ!と大きく震えると、玲央は少しびっくりした顔でオレを見た。
それから、ふ、と瞳を細めた。
「……かーわい……」
ちゅ、と頬にキスされる。
ぎゅっと瞳を閉じてくすぐったさに震えていると、玲央が少し離れた。
「……?」
すると、しばらくすると人が通って行った。
その人達が居なくなってから、また頬に触れられる。
「……見てたの? 人……」
「一応――――……だってベンチだと丸見えだけど? いーのか?」
クスクス笑って、玲央がオレの頬に、すりすりしながら触れる。
「別にオレは構わないけど……つか、今のは優月からしたんだもんな」
「……ご、めんね、つい……」
何となく謝ってしまうと、玲央はオレを見つめて、クスクス笑った。
「別に謝んなくていいよ。すげー可愛かったし。オレはこのまま続きしにあっちのマンション行ってもいい位だけど」
「……いや。あの。……無理……」
困って、小さく答えてると。
じっと見つめて来ていた玲央が、クッと笑い出した。
「――――……嘘だよ。んなことしたら、授業もクラス会も休みんなっちまうもんな?」
「……」
……そんなに激しくなっちゃうのかな……ってオレは一体何を……。
わー。もう、無理だー。
耐えきれず、かあっと赤くなって、縋るように玲央を見つめていると、玲央が、ふ、と笑った。
「やっちゃいけない教室とかで、するのもいーよな……?」
「……っ」
「……立ったまま、する?」
「むり。……無理です、無理」
「支えてあげるけど?」
くす、と、めちゃくちゃ色っぽく笑いながら、オレを覗き込んでくるけど。
ぷるぷるぷるぷる。
最大限にたくさん首を横に振っていたら。
「――――……っ」
玲央がクッと笑い出して、そのまま、笑い続けてる。
「しないよ、我慢するからちゃんと。 なあ?」
笑いながら玲央は、オレの膝の上のクロをよしよしと撫で始める。
我慢、なんだ。
とか、思うと。
何も考えないで、玲央にくっついて行っちゃいたいなと思ってしまうオレ。
(2022/6/28)
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