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第504話◇

 玲央と別れて授業を受けて、最後の時間が同じだった皆と一緒に坂を下って、駅前についた。時間まで、集合場所で待つことになった。  色々話しながら、ふと、まだ写真を見てなかった事に気付いて、スマホを取り出した。 「前回のクラス会っていつだったっけ?」 「んー、4月の半ばじゃなかったっけ? 春休み会えなかったからしよーっていってさ」  聞かれた事に答えながら、玲央とのトーク画面を開いて、写真をタップする。 「――――……」  ……あー。  あんまり見せたくないって、言ってたの……分かるかも。  なんか、すごく、かわいー、玲央……。  カッコよくて、ちょっと澄ましてる時の玲央とは、正反対みたい。  無邪気な笑顔。  ……もちろんカッコいいんだけど。可愛いなあ。愛しすぎる。  玲央から来てたのは、五枚。  めくる度に微笑んでしまう。  どうしよ。  オレも、これ、誰にも見せたくないかも……。  ……写真、見せなくても、信じてくれるか、頑張ってみようかな。  オレだけの宝物にしておきたいとか、思ってしまう。 「またスマホ見て笑ってるし。……彼女?」 「――――……」  聞かれて、ふふ、と笑ってしまう。 「……うん、すごく、好きな人」  大好きすぎると思っていたタイミングだったせいで、ついつい、すごく素直にそう言ってしまった。  すると、周りに居た皆が一気に盛り上がってしまった。 「何々、マジで付き合ってんの、優月」 「どんな女ー?」 「ん、後でゆっくり……」  ここで叫ばれたくないし。  苦笑しながらそう言うと、皆、はー?と眉を寄せる。 「もーどんだけ気を持たせんだよ」 「すげー楽しみにしてっから」 「う、うん……あの、でも、一つだけ言っておくと――――……」  何?と、皆がオレを見つめてる。 「……多分皆が思ってるような人じゃないと思うから……びっくりすると思うけど」 「はー? 何それー?」 「別に優月が誰と付き合ってたって、びっくりしねえけど……」  そう言う友達の横で、「あーでも」と一人の友達がちょっと考えながらオレを見つめる。 「優月の彼女が、すっげえド派手な人だったらびっくりするかも」 「あー……確かに。めちゃくちゃ化粧ばっちりとか?」 「そうそう。 体のラインめっちゃ出てる服とかさー、胸見えそうな服とか? そんなの着てたら……」 「あー、それはすっげーびっくりするー」 「騙されてんのかと思うよなー?」  ――――……えーと……。  皆があれこれ、続けていくのを聞きながら、正直苦笑いしか浮かばない。  めっちゃくちゃド派手な、目立つ、超イケメンの男の人だけど。  今言ってるので、オレが騙されてるとか、心配されちゃうなら……。  玲央って言ったら、何て言われちゃうんだろ。  う、うーん。ちょっと話すのが怖くなってきた。 「……あのさ」  目の前で楽しそうに、何だかもはや笑い話かネタみたいな感じで、オレの彼女がこうだったらびっくりする、を続けてる皆の事を見回しながら。 「……もっとびっくり、するかもしれない……」  オレの言葉を聞いた皆が、何秒か、え、と固まる。  ――――……まあ確かに、今皆が言ってたのよりもびっくりするかもとか。  普通、ないもんね……。 「ちょっと待って、優月……」  隣に居た友達に、肩を組まれる。 「……こんな事聞くのは、悪いんだけど……」 「うん?」 「なんか、買わされたり、すごいこと、させられたり……」 「……してないよ」 「……何かの書類とかサインしたり……」 「してないってば」  周りの皆が、そのやりとりに笑ってるけど。  もー、どんな質問なんだよー。  ……だめだ、さっきの写真、見せよう。  玲央が、悪い人じゃないって分かってくれるに違いない。  

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