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第516話◇

 ぽわぽわのまま、棒のアイスをゆっくり食べてる。  すぐ隣に座って、かき氷を口に入れながら、その様子を何となく見守る。  ――――……可愛いなあ……。 「美味しい?」  そう聞くと。 「うん」  にこ、と笑って頷く。  いつも早くはないと思うのだけれど、それ以上に、動作も言葉も、ゆっくりな優月。 「あ。……たべる? 玲央」  オレがぴったり張り付いて座ったので、ほんと、至近距離から優月が見上げてくる。 「味見するでしょ?」  はい、とアイスを差し出してくる。  少しだけ食べて、やっぱり食べ慣れない味だなーと思う。 「食べたことない」 「そうなんだー……美味しい?」 「んー…独特?」  思うまんまそう言うと、優月は、クスクス笑って、ぱく、とアイスをかじる。 「食べ慣れると美味しいよー?」 「――――……」  優月の顎を捕まえて、引き寄せてキスして、中のアイスを舐める。 「……ふっ……」  舌が触れ合うと、ぴくん、と、優月の体に力が入った。 「……玲央、あ、の……」 「ん?」」 「――――……今……しないで……?」 「……キスを?」 「……あと触ったりも……」  ……なんか、ぴくぴくしてる。ぷるぷる震えてる、ちっちゃい生き物みたいに見えて、思わず、クスクス笑ってしまった。 「どして?」  分かっているけど、言わせたくて、聞いてしまう。  優月は、言いにくそうに。 「なんか……今、ちょっと……」 「ちょっと――――……何?」  する、と手を伸ばして、優月の首筋に触れて、そのまま、うなじに手を回すと、ますますぷるぷるして、ちょっと退いて行く。 「すっ、ごく、ぞくぞく、するから……」  すり、と首筋に指を這わせたら、優月が、大きくびくっと震えた。  ああ、なんか。すげー感じやすくなってンな……。  可愛くて、このまま、ほわほわさせてやりたいっていう気持ちと。  ――――……真逆の、めちゃくちゃ感じさせて、オレのもんにしたいっていう、激しい欲と。  両方とも同じ位強くて。  ――――……あーでも。 「……エロい、優月」 「…………っっ」  その言葉に、うるうる涙目になる優月に、ほんとならもうこのままベッドに運びたいのだけれど。  ほんと可愛くて。もう少しこのまま可愛くてもいいなと思うのと。  それに、アイスも残ってるしな。   「分かった、いいよ、さわんないから。アイス食べて」  言ってる言葉の間にもう、ぱぁっと嬉しそうな笑顔になって。  うん、と頷いて、アイスをもぐもぐしてるのを見ると。  毒気を抜かれる、というのか。  ……はーほんと。  なんでこんなに、可愛くなっちゃうんだろうか。    くすぐったくならないように、わしゃわしゃと髪を撫でて、オレもかき氷の残りを食べていたら。じっと見つめられる。 「ん?」 「ソーダは美味しい?」 「ん。食べたいか?」 「うん」 「……ほら」  スプーンで、優月の口に入れてやると。  口が開いて見えた舌に、めちゃくちゃキスしたいと、オレが思っているのなんか、露ほども知らない優月は、オレをまっすぐに見上げると。 「ソーダのかき氷、久しぶり。おいしーね」  ほくほくと嬉しそうに言って、笑う。 「――――……」  なんか。  脱力しまくる。優月と居ると。  可愛すぎて。なんなの。ほんと。  タメなのか、ほんとに。  ついつい撫でてしまう。   

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