516 / 856
第522話◇※
少し唇を離して、瞳を開けて、優月を見つめる。
困ったみたいに眉を寄せて、少し顎を上げて、キスしようとしてくるのが。
……めちゃくちゃ可愛い。
ふ、と笑んだ瞬間。
ぱち、と優月が瞳を開けて、オレの顔を見て。
むー、と怒った顔をしたと思ったら。
オレの首に腕がまわってきて、ん?と思った時にはぐいっと引かれた。
「――――……」
唇が触れてきて。
珍しく、優月の舌が、自分からオレの口に入ってきた。
「ん、ん」
何を言ってるのか、顔を見るけれど。
ぎゅう、と抱き付かれて。
きつく、瞳を閉じてる。
――――…… 死ぬほど可愛い。
優月の後頭部に手を回して、そのままオレに押し付けるみたいにして。
優月の舌を、絡め取った。
「……ん、ふ――――……っ……」
くぐもった声が、喉の奥で上がる。
そのまま、深いキスを、延々続けた。
焦らしたのオレなのに。
必死な顔の可愛いキスに、簡単に、煽られて。
――――……なんだかな……。
何してんだ、オレ。
「……玲、央……」
「――――……ん?」
「……いじわる……しないでよー……」
うるうる涙目。
あ、バレてる、と、すごく可笑しくもあるのだけれど。
こんな可愛いものに、一気に、その気にさせられるという。
本当に、我ながら、意味が分からない。
「……玲央 ……なんか、今日、もう……早く……」
「――――……早く、何?」
必死で言うのが可愛いなと思って、分かってはいたけれど、最後まで聞きたくて、聞くと。
また一気に真っ赤になって、新たな涙をにじませて。
「……もう、早く…… 中……」
「――――……」
なんかもう――――……手順を全部省略して、すぐにでも、中に入れて、めちゃくちゃに抱きたい衝動に駆られる。
「……れお……はや……」
ローションを手にとってるオレの肩に触れて、まだ何か、言おうとしてる。
「優月、ちょっと――――……少し、黙ってて?」
「…………?」
何だか不安気な瞳で、オレを見上げてくる。
「……ああ、違う、そうじゃなくて」
キスして、可愛い瞳をまっすぐ見つめる。
「可愛すぎて、無理だから、これ以上、オレを煽んなって言ってんの」
「――――……」
「慣らすまで待ってて」
意味が伝わった瞬間、何度も瞬きをしながら、言葉に詰まってる優月。
その頬にキスしてから、ローションのついた指を、中に入れる。
「……ん、ふ……」
気持ち良い所に触れると、ビクビク震える。
そうなると、無意識に逃げようとするのか、腰を捩る。その細い腹筋のラインが綺麗で、ゾクッとした感覚が走る。
腰を押さえつけて、脚を開かせて、更に奥に触れる。
「ここ、気持ち良い?」
「……っ」
こくこく、頷いてる。ずっと、声、我慢してるけど、ときたま、は、と熱い息をこぼす。
「……声出して、良いよ?」
「……っだま、ててって……」
「え? ――――……ああ、違うって……」
……ああ、なんかもう、マジで、可愛い。
「喘ぐのは、いいよ。出して」
キスして、噛みしめた唇を解くけど、優月は涙いっぱいの瞳でオレを見つめる。
「出して……て言われると…… っむり……かも……っ」
口の前で両手を握り締めて、ぷるぷる震えてる。
なんか……こういう慣れてない、可愛いとこ、ほんと、ヤバい。
何なの。オレ。
――――……慣れてないのはめんどくさいとか、昔確かに思ってたのに。
……だめだ。
可愛すぎて、マズイ。
「……熱っつ……」
興奮しすぎて、何だか熱くて。
まだそんなに激しい事もしてないのに、汗が、ポタ、と落ちてくる。
ともだちにシェアしよう!