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第522話◇※

 少し唇を離して、瞳を開けて、優月を見つめる。  困ったみたいに眉を寄せて、少し顎を上げて、キスしようとしてくるのが。  ……めちゃくちゃ可愛い。  ふ、と笑んだ瞬間。  ぱち、と優月が瞳を開けて、オレの顔を見て。  むー、と怒った顔をしたと思ったら。  オレの首に腕がまわってきて、ん?と思った時にはぐいっと引かれた。 「――――……」  唇が触れてきて。  珍しく、優月の舌が、自分からオレの口に入ってきた。 「ん、ん」  何を言ってるのか、顔を見るけれど。  ぎゅう、と抱き付かれて。  きつく、瞳を閉じてる。  ――――…… 死ぬほど可愛い。  優月の後頭部に手を回して、そのままオレに押し付けるみたいにして。  優月の舌を、絡め取った。 「……ん、ふ――――……っ……」  くぐもった声が、喉の奥で上がる。  そのまま、深いキスを、延々続けた。  焦らしたのオレなのに。  必死な顔の可愛いキスに、簡単に、煽られて。  ――――……なんだかな……。  何してんだ、オレ。 「……玲、央……」 「――――……ん?」 「……いじわる……しないでよー……」  うるうる涙目。  あ、バレてる、と、すごく可笑しくもあるのだけれど。  こんな可愛いものに、一気に、その気にさせられるという。  本当に、我ながら、意味が分からない。 「……玲央 ……なんか、今日、もう……早く……」 「――――……早く、何?」  必死で言うのが可愛いなと思って、分かってはいたけれど、最後まで聞きたくて、聞くと。  また一気に真っ赤になって、新たな涙をにじませて。 「……もう、早く…… 中……」 「――――……」  なんかもう――――……手順を全部省略して、すぐにでも、中に入れて、めちゃくちゃに抱きたい衝動に駆られる。 「……れお……はや……」  ローションを手にとってるオレの肩に触れて、まだ何か、言おうとしてる。 「優月、ちょっと――――……少し、黙ってて?」 「…………?」  何だか不安気な瞳で、オレを見上げてくる。 「……ああ、違う、そうじゃなくて」  キスして、可愛い瞳をまっすぐ見つめる。 「可愛すぎて、無理だから、これ以上、オレを煽んなって言ってんの」 「――――……」 「慣らすまで待ってて」  意味が伝わった瞬間、何度も瞬きをしながら、言葉に詰まってる優月。  その頬にキスしてから、ローションのついた指を、中に入れる。 「……ん、ふ……」  気持ち良い所に触れると、ビクビク震える。  そうなると、無意識に逃げようとするのか、腰を捩る。その細い腹筋のラインが綺麗で、ゾクッとした感覚が走る。  腰を押さえつけて、脚を開かせて、更に奥に触れる。 「ここ、気持ち良い?」 「……っ」  こくこく、頷いてる。ずっと、声、我慢してるけど、ときたま、は、と熱い息をこぼす。 「……声出して、良いよ?」 「……っだま、ててって……」 「え? ――――……ああ、違うって……」  ……ああ、なんかもう、マジで、可愛い。 「喘ぐのは、いいよ。出して」  キスして、噛みしめた唇を解くけど、優月は涙いっぱいの瞳でオレを見つめる。 「出して……て言われると…… っむり……かも……っ」  口の前で両手を握り締めて、ぷるぷる震えてる。  なんか……こういう慣れてない、可愛いとこ、ほんと、ヤバい。  何なの。オレ。  ――――……慣れてないのはめんどくさいとか、昔確かに思ってたのに。  ……だめだ。  可愛すぎて、マズイ。 「……熱っつ……」  興奮しすぎて、何だか熱くて。  まだそんなに激しい事もしてないのに、汗が、ポタ、と落ちてくる。

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