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第524話◇

   ――――……よし、と。  たくさん鳴いて、気を失うみたいに眠った優月をタオルで清めて、ふ、と息をついた。  さっぱりしたのか、優月は、スヤスヤ眠ってる。  ――――……ヤバかったな。今日。  可愛すぎて、ほんと。手加減ができないって、どんだけだ。  ……て、いつもか。  最近毎日、同じこと思ってるな。  すやすや眠っている優月の髪にそっと触れる。  ……可愛い。めちゃくちゃ。  何な訳、この可愛い感じ。  くす、と笑みがこぼれてしまう。 『……れ、お……へん、になっちゃ……んん……ン……っ』  最後の方に、そんな風に言って、首を振ってた優月をふと思い出して。  乱れてる時と、今のすやすやの寝顔のギャップに、やばいくらい、惹かれてんな、オレ。なんて、思う。  抱いてる時の優月は、エロい。としか言いようがない。  いい意味で、素直。  まあ素直なのはいつもだけど。  ……気持ち良いことに素直で。  たまに声を我慢してたりしてるけど、反応はめちゃくちゃ素直で隠さない。  イっちゃう、とか。  ……普段の優月見てたら、絶対言いそうに無い言葉だと思うけど。  多分最初の頃、「イく時は言って」って言ってたからな気がするけど。意外と素直に、口にする。  すぐ泣いて、真っ赤になって、なのに素直で。  ……可愛すぎる。  あー……。なんか。また触れたくなってくる。  こんな可愛く寝てるので、襲いはしないけど。   ……ん、オレ、相当ヤバいな。  何か、目が冴えて、眠れない。  目が冴えてなんだか、また興奮しかけてるんだか。  自分に苦笑いが浮かぶ。 「――――……」  拭いていたタオルを持って、立ち上がり、部屋を出た。  洗濯機に入れて、予約のボタンを押す。  キッチンで冷蔵庫の中から、水のペットボトルを出してソファに腰かけて、窓から暗い空を見上げた。 「――――……」  誰かと、住むとか。  誰かと、ずっと居るとか。  そんなこと、自分がするなんて、考えたことも、無かった。  つか。ほんと。我ながら、おかしい。  朝から晩まで、優月のことを考えて、優月と一緒に、何かしてる。  学校では別だし、お互い他の奴といる時間も多いけど、その間も忘れてる訳じゃない。今頃どうしてるかな、という気持ちがすぐ浮かぶ。  ……それだけだって、人生初。  可愛くてたまんなくて、胸が締め付けられるみたいに感じるのも。  可愛すぎて、ほんと、どうしてやろうかなとか、思ってしまうのも。    未知すぎて、思った瞬間に、よく分からなくなる。  できることは、撫でたりキスしたり。抱き締めたり。  それくらいしか、結局することはないしな……。  優月が可愛い。  これっていつまでそう思うんだろうか。  顔が綺麗な奴とかは居たけど、全部が可愛いとか、こんな風に思う事が無かったから、これが続く気持ちなのかが全く未知。  そのうち慣れて、可愛いとか思わなくなるのか?  ……いまんとこ、そんな気配はねーけど。  ――――……つか。  なんにしても、優月のことしか、考えてねーな、オレ……。  初めてすぎて、よくわかんね。  月を見上げながら、ふ、と息をついて、水を口にした。  随分乾いていたみたいで、沁み込む気がする。  ――――……優月も喉、乾いてるよな。  喘ぎっぱなしだったし。  ふ、と口元が緩んで。それに気づいて、また笑ってるし、と自分に突っ込む。  水を持ったまま寝室に戻ると、優月はさっきのまま、動いていない。  ……まあ。めちゃくちゃした後はいつも、まったく動かずスヤスヤ寝てる気がする。動けない、が正しいのか。  口に少し水を含んで、口移しでうまく飲ませる。  ん、と優月が声を出す。  何度か飲ませて。それでも目覚めないけど。  ――――……少しは潤ったかなと、思いつつ。  水は無しで、ゆっくりキスして、舌に触れる。 「……んん……」  鼻にかかったみたいな甘い吐息が抜けていって。  ――――……めちゃくちゃ、可愛いなと感じてしまう。  これ、やっぱ、ずっと可愛いかも。  息ひとつでこんなに、愛しいとか。もうどうしようかな、ほんと。  寝てる優月の邪魔になるかなと思いつつ。  抱き寄せて、よしよし撫でながら。眠くなるまでの時間を過ごした。  

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