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第527話◇

 翌日は、土曜日。玲央と過ごす、予定のない週末。  玲央の腕の中で、目が覚めた。 「……おはよ、優月」  ちょっと覗く感じでオレを見て、頬に触れてくる。 「おはよ……」  朝から……カッコ良すぎるんですけど……なぜ朝から、そんなにさわやかなのかな……オレ寝ぼけすぎじゃない……? 大丈夫かなと思いながら、腕の中から玲央を見上げた。 「……何時?」 「八時位」 「……玲央、ここに居てくれたんだね」  そう言うと、玲央がクスクス笑いながら、オレをぎゅ、と抱き締めた。 「学校だと用意あるけど――――……今日はな……?」  抱き締められるので、自然と、手が玲央の後ろに回って、そのままきゅ、と抱き付く。 「――――……」  ……玲央の心臓の音がする。  ――――……はあ。幸せすぎる……。 「……きもちいい……」 「ん?」  玲央がクスクス笑って、オレの髪をよしよしと撫でてる。 「気持ちいいのか?」 「……うん……」  起きたばかりなのに、ウトウトしてしまいそう。 「……ずーっとこうして一日過ごすってのも、今度してみるか?」  玲央の笑み交じりの提案に、笑いながら頷く。 「――――……あは。いいね……」  めちゃくちゃ幸せ過ぎて、だらけすぎちゃいそうだけど……。  思いながら、玲央の腕に埋まっていると。 「あ、なあ、優月」 「うん……?」 「今日明日、なんだけどさ……」 「うん?」  頭の上で、心地の良い声。   「オレ、曲作ってて良い?」 「……曲?」 「ん、曲」  むく、と玲央の腕の中から起き上がる。 「もちろん、いいよ? どうして聞くの?」 「んー……曲作ってる時、あんま、構ってあげられないから」  優しい手が、頬に触れる。  なんだ、そんなことか、と思って、にっこり笑う。 「全然いいよ? というか、オレ、家に居ない方がいい?」 「――――……」  クス、と笑われて、玲央の両手がオレの頬をぷにぷにつまむ。 「玲央?」 「家に居て?――――……ただちょっとヘッドホンして集中しちまうからって、話」  その言葉に少し考える。  集中してるってことは、居ても気にならないってことかな? 「……えーと……オレ、邪魔にはならない?」 「なんない。……つか、優月がつまんなかったら、遊びに行ってくれてもいいけどな」  そう言われて、ブンブン首を振った。 「大丈夫。そういうのって、どれくらい続けてやるの?」 「んー……とりあえず土日、でやってみる」 「ずっと?」 「たまに気分転換入れながらだけど……ずっとかな」 「ん、分かった! じゃあオレ、ご飯作ったりするね。全部任せて、玲央は頑張ってね」  張り切ってそう言うと、玲央は、ふ、と笑い出して、オレの頬をスリスリしてる。 「何でそんなに楽しそうなんだよ?」 「え、だって、いつもは玲央が色々してくれるからさ。今日明日はオレがしてあげられるから」  嬉しくなってそう言ったら、玲央はオレを見て少し黙ってから。  ぎゅうう、と抱き締めてきた。 「――――……??」  ちょっと苦しい。 「あー。かわい……たまんないんだけど」  クスクス笑いながら、ちゅと髪にキスされてる気配。 「……構ってくんないとやだ、とか、言わねえの?」 「え」 「ん?」  じっと見つめられるけど。 「言う訳、無い、じゃん……?」  そう言うと。  玲央はなんだかすごく、楽しそうに笑いながら。 「じゃあ二日間、色々任せていい?」 「うん、了解!」  うんうん頷いてると、また笑う玲央に、ぎゅうっと抱き締められて。  そのまましばらく、ベッドの上で、ゴロゴロ過ごした。

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