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第531話◇
お昼を食べ終わって玲央は戻って行って、オレは食器を片付ける。
お昼、めちゃくちゃ優しくしてもらえたので、なんだか玲央は充電できた。
……とか、よく分からないな、オレ。
何、充電て……。
と、自分の考えにツッコミを入れながら。
窓を開けて、外を眺める。
夕飯何にしようかなあ……。
なんか適当に買ってきたから、わりと何でも作れそう。
お昼たまご食べたからなあ……。
玲央、何食べたいかな。
――――……何だろ。んー……。
すぐあっためられて、美味しい物……。
あ。シチューにしよう。
サラダと、フランスパン買ってきたし。明日はそれでグラタン作ろうっと。
決まりー。
窓を閉めて、キッチンに向かう。
野菜や肉を炒めて、煮込んで。
……玲央の為にごはん作る。
――――……これは……幸せかも。
好きな人と結婚した人が、好きな人のためにごはん作るって、こんな気分かなあ。
うーん、オレ、主婦、むいてるかもしれない。
主夫? ……いや、やっぱり、主婦??
ぐつぐつ煮込みながら、そんな事を考えて、結局よく分からず首を傾げる。
まーいいや……。どっちでも良いけど。
なんかいつも思っちゃうけど。
……ずっと。玲央と居れるといいな。
そんなことを考えながら、煮込み終えて。
サラダを作って冷蔵庫へ。
――――……ふと思いついて、食器棚を物色してると、小さめのボトルを発見。紅茶を濃い目に入れて、氷を入れて、アイスティーを作ってそれを持って、玲央の部屋に向かう。
普通に開けて中に入るけど。
全然、反応なし。うん、そーっとしなくても気づかない。
玲央のちょっと脇。邪魔にならないところで、多分周りに意識が向いたら気づくかなという所にボトルを置いて、オレはソファに向かう。
さっき置いたままだったスケッチブックと本を膝に乗せて腰かけて、スケッチブックをパラパラめくって、眺める。
――――……小さめのスケッチブック。
よく鞄に入れて持ち歩いて、好きなものがあると、よく描いてた。
そういえば最近、玲央とずっと居ることが多かったから、描いてなかったかも。……蒼くんには、たくさん描いとけって言われてるから、描いてないって言ったら、怒られそうだなあ。と苦笑い。
……また描こう。
次々めくっていって、最後のページに、さっき描いた玲央の絵。
自分で描いてなんだけど――――……カッコいいなあ。
本物の玲央が居るのに、玲央の横で、自分が描いたスケッチを見るオレ。
……変なの。
ふ、と微笑んでしまいながら、スケッチブックを閉じる。
玲央の作曲って、ずーっとヘッドホンしたまんま。
音が全然もれてこないから、どんなの作ってるとか、分からない。
どんな曲が、今流れてるのかなぁ……。
興味津々なのだけれど、邪魔も出来ないし、ふ、息をつく。
とりあえずオレは今日明日で、買ったまま全然読めてなかった本を読も。
玲央と居るようになったことで、やってなかったいくつかのことに、気づく。今までは、毎日色々変わっていく中で、玲央と向き合うことが一番だったからそれはそれで良かったと思うのだけど。
こういうのも、ずっと居るなら、戻していった方がいいんだろうな。
玲央もオレも、無理しないで、居られるのがきっと、良い。
そんなことを思いながら、窓から空を眺める。
すごく、青空。 ――――……あとで、お散歩行こうかなぁ……。
ちら、と玲央に視線を向ける。
なんか、肘をついて、すごく考えてる感じ。
ほんと……どうしてても、絵になるなあ。
なんて思いながら、肘をついて座ってる玲央をまた紙に写し始めた。
もうなんか。
いっぱい玲央描けるの、楽しすぎる……。
こんなにときめきながら描くこと、あんまりないかも。
幸せなことな気がする。
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