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第535話◇

 食器を片付け終えて、ほっと一息。  玲央は食事を終えたら、曲作り再開。今度は行く前にコーヒーも渡したし、飲んでてくれてるかな。  とりあえず、シャワーだけ浴びて、髪を乾かした。歯も磨いたし、寝る準備は万端。お水を飲みながら、時計をぼんやり眺める。  二十時半かあ……。  まだまだ寝るには早いし。  ――――……玲央のところ、いこっかな。まだ本も途中だし。  お水のペットボトルを持って、玲央の部屋に向かう。  やっぱり気づかない。  ……なんかなー。  玲央のことをチャラい、とか言ってる人に、この姿を見せてあげたいな。  そんなことを思いながら、またソファに座る。  ここ、この部屋での俺の定位置みたいになってるなと、ちょっと可笑しく思いながら、クッションを膝に乗せて顎を沈めさせたまま、玲央を眺める。  ――――……チャラい、とか、かけらもない。  むしろこんなに真剣にやってる人、そんなに居ないんじゃないかなと思ってしまう位。  カッコいいなー……。  そういえば。さっき、顔だけが好きなわけじゃないとか、言ったけど。  ……結局考えてみると、顔以外も好きなんだよね。  玲央の言葉も、声の出し方も、笑い方も、仕草とかも。  ……立ってるだけでカッコいいしな。  ……玲央は、オレに、可愛いとか、色々言ってくれるけど。  そういうのを言ってくれるとこも、優しくて、好き。  顔が違っても好きだったと思うけど。  ……でも、やっぱり、この、めちゃくちゃカッコいい綺麗な顔も好きだなあ。創作意欲が湧きすぎて困る。  ……てことは、もう、結局全部全部が好きなんだな。  ていうか。  ……これ以上カッコいい人、この世に居るのかな。  そう思うと、やっぱりなぜオレと、ていうのが不思議なところ。  ……って、またこれ、思っちゃった。自分に苦笑い。  ……玲央がオレと居たいって言ってくれて。  ――――……好きって思ってくれてるのは、だいぶ分かってきてるのだけれど。咄嗟に、思っちゃうのは。  ……カッコよすぎるからだな。うん。  よくわからない言い訳を自分でしつつ。  視線を玲央から脇に置いておいた本に向けると、手に取って、さっきの続きのページを開く。  そのまま、文字を追い始めた。 ◇ ◇ ◇ ◇ 「――――……づき……?」  優しい声がして。あったかい手が、触れてる。 「……ん……」  あ。寝ちゃった……のかな。  瞳を開けると、玲央の笑顔。  ――――……とくん、と胸が弾む。 「ベッドで寝てていいよ……」   くす、と笑ってる優しい顔、見上げていたら。  する、と腕を伸ばして、玲央の首に巻き付けて、くい、と引いた。 「――――……」  玲央の唇に、そっとキス、する。  大好き。  玲央。  すると。  ふ、と笑う気配がして。  項に滑ってきた手に、ぐい、と押し付けられて。  深く、重なる。 「……ん っ……」  舌が、熱くて。  一瞬で、ぞくん、と震える。 「……れ お……」 「――――……」  唇の間で呼ぶと。  また深く重なって、舌を絡め捕られて。声が、漏れる。

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