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第536話◇

  「んん……」  なんか……きもちいなあ……。  キス。  玲央とすんの、好き……。  ――――……。  そこで、はっと、気が付いた。  あ。オレ。思い切り、キス、しちゃったけど……。  玲央、ベッドで寝てていいよって言ってたし。  ……まだ終わってないんだよね。 「……玲央……」  そっと、回してしまっていた腕をほどいて、少し顔を引いて、キスから離れる。 「……どした?」  目の前で優しく微笑む玲央に、自分の顔が緩むのが分かる。  優しいなあ……玲央。 「ごめんね、先、寝てるね」  起き上がって、足を床についてそう言うと。  膝をついてた玲央が、オレを少し見上げる感じ    見上げられると、なんか。……きゅん、とする。  そっと伸びてきた手が頬に触れる。 「眠い? 優月」 「……うん。眠い」  そう答えると、玲央がクスッと笑う。 「そか――――……寝る前にトイレ行く?」  そう聞かれて。   「え? トイレ? うん……行く、かな……」 「じゃ行っておいで」 「うん……?」  よく分からないけど言われるまま、トイレで用を済ませて手を洗って、玲央の部屋に戻ろうと思ったら。ちょうど玲央が部屋から出てきて、ペットボトルのお水を渡された。 「飲みな?」 「うん……」  またまた言われるまま飲み終えると、何となく、見つめあう。 「……じゃあね、玲央、頑張ってね」  笑顔で玲央を見上げると、ふ、と笑んだ玲央に肩を抱かれた。  そのまま歩いて、寝室に一緒に入る。 「玲央、寝るの?」 「まだ」 「?」  でも一緒に寝室に入って、ベッドに近づいて。  あれよあれよという間に、ベッドの上で、玲央に抱き寄せられて。薄い布団の中で、ぎゅー、と抱きしめられた。 「……玲央?」 「優月が寝るまで、居る」  優しい、笑いを含んだ声が、聞こえる。   「――――……」  とくんとくん、と玲央の心臓の音が聞こえる。  ……愛しい、なあ……。  すぽ、と腕の中に入り込んで。きゅ、と玲央の背中に手をまわした。 「……どした?」 「ん……早く寝ようと思って」  言うと、玲央は少し黙った後、クスッと笑う。 「――――……優月の補給時間、取んないで」  腕の中から、引き出されて、ぽふと頭を枕に沈められる。  二人で、寝転がったまま、向き合うみたいな感じ。 「――――……」  頬に玲央が触れて、そのままゆっくり、唇が触れてくる。 「……優月」 「うん……?」 「すげー好きだよ」  クスクス笑いながら、頬にキスしてくる。  これが嬉しくない人、いないよね……。そんなことを思いながら、微笑むと。   「……可愛くて、たまんないんだけど」  玲央の両手が、頬から首に触れて、髪の毛に入ってきて。そのまままた、頬に戻ってきて。  両頬を挟まれたまま、キスされる。 「――――……」  ゆっくりキスして、じっと見つめあう。 「……オレも好き」 「ん。知ってる……」 「……知ってる?」 「知ってる……」  ふ、と笑って、玲央がオレを腕の中に抱き込む。 「……また明日な、優月」 「――――……うん」  もう、ほんとに、優しくて。  ……あったかい。   「――――……」  さっきから眠かったんだけど。  急激にウトウトして。  玲央の鼓動、聞きながら。  あっという間に、眠りに、ついた。  

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