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第556話◇
「それにオレも映ってると余計ネタになるから、優月たち三人を待ち受けにしようかなぁ……」
「え、そうなの?」
「四人で撮った方は、大事に保存しとくってのもありか……」
「あ、撮るんだね」
「撮るよ。一緒に写りたい」
「うん」
ふふ、と笑ってると、玲央が、なんだか、面白い顔をしてる。
「どうしたの? なんか、複雑そう……?」
クスクス笑ってしまいながら聞くと、玲央は苦笑い。
「一緒に写真に写りたいとか言ってるの、あいつらが聞いたらなんて言うかな……というか、自分でも、何だそれって、言ってから思ったとこ」
「……どういう意味?」
「オレ写真好きじゃなくて」
え、そうなの? と、今までのこの会話の流れで、その発言はちょっとびっくりする。
「……誰かがツーショット撮りたがるのを、写真めんどいって言い続けてきたからなぁ……」
「写真好きじゃないの?」
あれ、でも、コンビニでクロと撮った時も、すごく楽しそうだったような……。
「……まあ。結論として」
「うん……?」
「優月と撮るのは、好きってことなのかも……」
自分で納得するかのように、なんだか頷きながら言ってる玲央が、嬉しいんだけどちょっと面白くて、めちゃくちやニコニコしてしまう。
「ツーショット撮りたい意味とか、何なのって思ってたからな……」
「そうなんだ……皆玲央と撮りたがるでしょ?」
「意味分かんなかった」
「えーだって、カッコいいもん。一緒に撮って、眺めたいよねぇ」
「――――……むしろ、オレが居ないとこで、その写真が見られてんのもやだったし」
「…………」
あらら。
そうなんだ。そうか、でもなんか、なんとなく、玲央の立場だとわかる気もしてしまうような……。皆すごく一緒に撮りたかったろうし。そっちの気持ちもすっごく分かるけど。
……でもなんか。
――――……玲央と話してると、良く思うのが。
「なんかさ、玲央」
「ん?」
「……オレと居て、好きになったとか。嫌じゃなくなったって言ってくれることが、たまにある、でしょ?」
「うん。――――……あるよな、結構」
「……なんか、それって、すごく嬉しい」
「――――……」
「オレと居ることで、好きなものが増えるって……なんとなく、すっごく、良い関係な気がするような……」
途中でちょっと恥ずかしくなりながらも、最後までそう言ったら、玲央はクスッと笑って、頷いた。
「……オレにとっては、そうだと思う」
「ん? ……何で、玲央限定な感じ……?」
「優月は元々好きなもの多そうだから」
玲央はそう言って、クスクス笑う。
「オレと居て、好きになったものってある?」
「――――……」
玲央と居て好きになったもの。
……そうか、確かに言われてみれば、オレはもともと、そこまでこれ嫌いとか……強く思わず生きてきたような。
玲央と居るようになって、好きになったものかぁ……。
考え始めてすぐ、ぱっと、出てきたものに、
オレは、止めることもできずに真っ赤になった。
「え」
玲央がびっくりした顔をした後。
なんだかめちゃくちゃ楽しそうな顔で笑いながら。
「何考えたー?」
と、オレの頬にすりすりと触れてくる。
「……っ」
「ほら、言ってみ?」
クスクス笑う玲央。
「……っ…………き……」
「き??」
ぷ、と笑いながら、先を促される。
「……キス……したり…………一緒に、寝たり……?」
「んー? 一緒に寝たり……? そこ、もうちょっと詳しく言ってみな?」
「……っっっ」
わざとぼやかして言ってるのに、玲央が、ニヤニヤ楽しそうに笑いながらそう言ってくる。オレの頬に触れながら、顔、覗き込んで。
うう。ちょっとこういう時、いじわるだ……。
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