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第565話◇

「――――……ん……」  玲央と、キスするの、好き。  ――――……気持ちいい。  でもそれは、される方なら、応えてればいいけど……。  自分からするってなると……舌が触れるだけで、ドキドキしてしまう。  いつも玲央、どうやって……。  あんなにされてるのに、何でよく分かんないんだろう。  ゆっくりと、玲央の舌と触れ合いながら。  あ、そっか、とすぐ理由か分かった。  いつもは、頭、真っ白になっちゃって。  ……息、するので精一杯になっちゃうというか。そのせいかも……。  玲央はいつも――――……  舌、絡めて、吸って……。  すごい一生懸命キスしてる気がして、玲央はどんな顔をしてるんだろうと思って、瞳を開けたら。玲央の視線とばっちりあってしまって、ますますぼぼっと赤面して、ぱっと離れた。 「目、開けてたの……?」 「んー。途中から?」  引いたオレの腕を掴んで、引き寄せながら、玲央がクスクス笑ってる。 「なんか一生懸命で、可愛かったから」  かああああっと、オレ、どこまで真っ赤になるんだろうという位、顔が熱い。 「真っ赤……」  ちゅ、と頬にキスされる。 「すげー熱い……」  キスしてる反対の頬に、玲央が手を這わせて、すりすり撫でる。 「……ほんと、かわいいな」  そんな風に言われるけど。 「――――……玲央、オレね?」 「ん?」 「……せっかくね」 「うん?」  不思議そうに見上げられて、ちょっと恥ずかしいけど。 「せっかく玲央としてるからね、もっと、上手になりたいの」 「――――……えーと……」  玲央は苦笑い。 「上手って? 何を?」 「……キス、とか……全部、色々」 「ああ……うん」  玲央は頷いて、それから、クスクス笑い出した。 「せっかくオレとって、どういう意味?」 「え?」 「せっかく、って」 「……えっと……玲央、上手、だから……?」  ますます面白そうな顔をして、玲央はオレを見つめる。 「オレが上手っていうのは――――……どこで思ってる?」 「……どこで……って……」 「だって、優月は初めてだろ? うまい下手って、どこで判断してんの?」  ……そう言われてみたら、誰とも比べることは、できないんだけど。  でも、オレ、玲央は上手だと、思ってる、わけで。 「……いつも――――……頭、おかしくなりそう、だから……かな……?」 「――――……」 「……上手だから、そう、なるのかなって……」  玲央は、ふ、と笑って。オレの両頬を挟んで、包んだ。 「頭おかしくなるくらい、気持ちいいって、今言ってンの?」 「……」  そう聞かれるとものすごく、恥ずかしいのだけれど。 「う、ん。そう……」  嘘は付けず、頷くと、玲央はまたクスクス笑う。 「――――……そういう意味で言うならさ」 「……?」 「オレもそうだから。――――……優月もうまいってことでいいんじゃねえの?」 「……え。そうなの?」 「――――……そうだよ」  ちゅ、とキスされる。 「お前とすんのが一番、気持ちいいし。可愛くてたまんない」  首筋に、唇が這って、舌が触れる。 「……っ」  ぴく、と震えて瞳を閉じて。  ――――……それから、ぎゅう、と玲央に抱きつく。 「……玲央、ベッド……行きたい」 「はは。珍しい――――……いいよ。オレも行きたい」  笑ってそう言う玲央は、オレを抱いたまま立ち上がった。 「わ。……あ、るくよ?」 「いいよ。このまましがみついててくれれば軽いから」 「――――……ぅん」  むぎゅ、としがみつく。 「――――……ほんと珍しいな、ベッド行きたい、なんて」  クスクス笑う玲央の声が、優しくて。  背に触れる玲央の手が、愛しい。    

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