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第566話◇

 ベッドに組み敷かれて、玲央がオレにキスをする。 「――――……ん……」  オレが、するのとは、全然違う。  息も、出来ない位。熱い。 「……ん……んん……っ」  どうやって――――……やってんの……。  舌が、めちゃくちゃ動いて、その触れ方が……なぞるだけで、ぞくっと震えて。どうして、こんなに、気持ちいいんだろ……。 「……ん、ふ……っぁ……」  手が、服の中に滑り込んで、脇腹の辺りに触れる。そのまま肌の感触、確かめるみたいに――――……。 「……ッ……くす、ぐっ ……ん……っ」  なぞられて、くすぐったくて、訴えようとした唇をまた塞がれる。  ――――……気持ちよすぎて。……無理。 「……ッ……」  ……あれ。……ダメじゃない? これ……。  ……これじゃいつまでたっても、オレ、上手になれないし……。  全部玲央にしてもらって、全部気持ちよくしてもらってとか……。 「んん……ん、れお……」  首を振って、少し、キスが離れた隙に、玲央を見上げる。 「――――……ん? 何?」  玲央がクスッと笑いながら、オレの頬に手を添える。 「……オレ、練習……」 「――――……練習?」 「……上手になりたいから……」  玲央は、きょとんとした顔でオレを見ていたけれど、ふ、と優しく笑って。  ……いや。なんかちょっと、悪戯っぽく、笑って。  すごく楽しそうに、オレを見た。 「……何を練習したい? 優月」  頬に触れたまま、オレの唇を、ぷに、と潰す。 「――――……あーでも、なあ……」 「……?」  玲央が二ヤ、と笑いながら、オレをじっと見つめる。 「……オレ、昨日からずーっと我慢、してたから。ちょっと限界かも」  そう言った玲央の、瞳が。  ものすごく。熱っぽくキラキラしてる。……ようにしか、見えない。 「練習は、また今度でもいい? 今日は、オレがめちゃくちゃ、したいんだけど」 「――――……っ……」    ……無理だ。勝てない。  こんなの。だめなんて、言えるわけ……。  さっきからドキドキしてたけど、またバクバク言い始めた心臓が痛い……。 「――――……」  玲央の首にゆっくり手をかけて、そうっと近づく。 「玲央、あの…………お……」 「お?」  至近距離で、玲央が、オレを見下ろして、面白そうに首を傾げている。 「お願いします……」  何だか思わず、そう言ってしまった。  なんか今日も、玲央にしてもらっちゃうのかなと思ったらついつい。 「――――……」  玲央が、何秒か固まって。  それから、笑っちゃいけないと思ったのか知らないけど、握った手で口を隠して、ちょっと咳き込んでる。 「……玲央、笑ってる?」 「いや――――……笑って、ない。ちょっと咳……」  言いながら、なんかもう我慢できなくなったのか、クックッと笑ってる。 「――――…………」  言わなきゃよかった……。  ちーんと後悔してるオレの上に居る玲央が、やっと笑いを収めてくれた……かと思うと、自分の前髪を掻き上げて、オレを見下ろす。 「……なんでそんな、可愛いかなぁ……」  そんなこと、言いながら――――……なんだかめちゃくちゃその気になっている、ような……?? あんなに笑ってたのに、何で……? 「めちゃくちゃ、泣かせていい?」 「…………っ」  玲央の手が、首筋から肩を通って、胸に滑る。  ゾク、として、あ、と声が漏れて。  触られただけなのにと、恥ずかしくなって、口を押えたら。 「……いいよな?」  その手を掴まれて、両手、ベッドに括られる。  ――――……この世で、一番。  色っぽい人だと、思ってしまう。   「あー、なんか……ヤバいなぁ、優月……可愛すぎて」    ちゅ、とキスされて――――…… 少し玲央が笑った気配がして。  それから、深く、唇が重なってきた。

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