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第593話◇※

 あの後。めちゃくちゃ深く。激しいキスをされて。  息もうまくできないし、また溶けそうな感覚で、ずっとキスされて。  簡単に熱くなるオレのに気づいた玲央は、ズボンの上からそれに触れてくる。 「……あ」  焦って、唇を解いて玲央を見上げるけど、玲央は、すぐまたオレの唇を塞いでくる。 「……ん、っ……ン……」  キスだけでも真っ白だったのに、悪戯に触れられて、もう感覚、ヤバくて。 「っ……こ、こじゃ……なくて……」  唇の間で言うと、玲央がクスクス笑う。 「ここじゃ嫌なの?」 「……っ」  うんうん。頷く。  だってここだと……玲央、なんか……最後、口ですることが多くて……。  の……飲まれる……とか…………。  やだやだやだ。 「……お風呂……」 「分かった。じゃあ行こ。抱っこしようか?」  クスクス笑いながら、玲央が頬にキスしてくる。 「まだ歩けるから」 「……まだ、ね」  また、クスッと色っぽく笑って、玲央がオレを見つめる。  手を繋いで引かれて連れていかれて、脱衣所で、スポスポとあっという間に服を脱がされる。とりあえずそうこうしてる間に少し熱は引いて、普通に戻ってたから良かったけど……。  目の前で、玲央もあっという間に服を脱いで、つけていたアクセサリーも外した。裸についてるアクセサリーって、なんか……ちょっとやらしく見えて、恥ずかしいなあなんて、思っていたけど、よく考えたら、玲央の前で裸で立ってる方が恥ずかしかった。 「優月おいで」  ドキドキして動けずにいると、すぐに手を引かれて、玲央に続いてバスルームに入る。玲央が自動のボタンを押して、お湯を溜め出した。 「あ、中入るの?」 「ちょっと中でゆっくりしよ」 「うん」  お風呂の中で玲央とくっつくの、恥ずかしいけど好き。  ふふ、と笑いながら頷くと、玲央がシャワーをかけてくれる。 「――――……洗ってほしい?」  そう聞かれて、ううんと首をプルプルと横に思い切り振る。  ぷ、と吹き出した玲央は、じゃあとりあえず髪の毛洗って、と言う。  オレがシャンプーを始めた横で、玲央もシャワーを浴び始めた。 「このシャンプーね」 「ん?」 「すごくいい匂いでさ」 「うん」 「自分からは感じないんだけど、玲央に近づいた時に感じるのね」 「ああ」 「だから、オレに近づいた人もこのいい匂いがするのかなあと思うと、なんか嬉しい」 「……嬉しいの?」 「いい匂いって思われるの嬉しくない? 玲央、すごくいい匂いだから」  髪を泡立てながら、もう目はあかないのでそう言ったら。 「洗ってあげるからこっち座って」  見えないオレに、玲央が触れて、座らせてもらった。  玲央の手が、髪に触れて、頭皮を優しく洗っていく。  気持ちー。 「後で玲央の頭洗うね」 「ん」  頷く声がして、ひたすら優しく洗ってくれる手に、目をつむっていると。 「……優月、あんまり匂わないシャンプー使う?」 「…………ん?? え?」  どういうこと?  におわないシャンプー?  ……オレ今、いい匂いって言ったのになぜに……??  目が開かないから玲央のことは見れないのだけれど。 「どういう意味??」 「…………あんまり優月が良い匂いしてると心配だから」 「………………」 「……確かにいい匂いだもんな、これ。……ていうか、髪以外も、なんかいい匂い、するけど」  見えないけど。  ……玲央が。  …………すごく多分、真剣に、変なことを言ってるのは、分かる。 「……オレがいい匂いでも、別に……心配はないと思うんだけど……」 「心配だろ。変な奴が吸い寄せられても困るし」 「…………」  絶対、玲央、変なこと言ってると思うんだけど。  声は、普通にまじめに言ってるみたいで。 「……絶対吸い寄せられないと、思うんだけど……」 「分かんないだろ、そんなの。 ただでさえ、ニコニコ可愛いし……」  ……もしもし、玲央さん??  と、声をかけたくなる。  本気で、言ってるのかなあ……? と、思うレベルで、玲央が、おかしい。

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