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第597話◇

 バスルームは声が響いて恥ずかしいから、抑えようと思うんだけど。  ……無理。 「……んん、ぅ……ぁ……」  玲央に触れられると、すぐ昇りつめちゃいそうな位、なんかもう、一気に気持ちよくなる。  どうしてなんだろう、いつも。  ……玲央に触られてるって、思うだけで。 「……ぁ」  仰け反って、開いた口に、玲央の唇が重なってきて、舌が絡んでくる。 「ん、ン……ッ……ふ……」  気持ち良すぎて、震えた瞬間、玲央の腕がオレに回って抱き込まれるみたいにされて、玲央の手に、後頭部押さえつけられて……玲央に押し付けられる。 「ん、ぅ……」  少しも引けずに、深く深く、キスされて、あっという間に、頭のなか、真っ白。もう、なんか、気持ちいいしか、ない。 「……ふ……っん!」  上顎、舐められるの、よくされるけど、すごく奥までなめられて、びっくりして声が漏れた。  玲央のキスは……激しい。と、思う。キスって、こんな風にするものだったのかと、正直びっくりするくらい。「ディープキス」って言葉は知ってたけど。……舌触れ合う位なのかと、思ってたんだけど。それ以外何するのって感じだった、し。 「……っ、は…………ん……っ」  少しだけ離してくれて、息を吸うと同時にまた塞がれる。  呼吸がままならないと、ぼうっとして、もうなんか……。 「……っ……ん、ぅ……」  真っ白な中で、玲央の手の中でイっちゃって。  なのに、玲央、離してくれない、し。 「ん……ッ……れ……っ、ぁ……」 「もういっかい……」 「……んー……ん……っっ」  感覚強すぎておかしくなりそうで、首を振ろうとするのだけれど、玲央は、喉の奥でかすかに笑うだけ。  めちゃくちゃキスされて、気が遠くなりそう。 「……ん、ぅ…っ……」  キスされたまま、ほんとにもう一度。  なんで、こんなすぐ……と思うのだけど、もう、いっぱいいっぱい。  玲央の呼吸が、首筋に触れるだけで、ぞくぞくしちゃうし。  息、荒くて。  顔、熱くて、もう死にそう。  思ったその時。  オレの出しちゃったのと、泡を、シャワーで流してくれてた玲央が。 「はー……」 「……?」 「……なんでそんなに可愛いの」  とか言って。  むぎゅー、と抱き締めてきた。 「…………」  もうオレはというと、こんな短い間に二回も一人でイっちゃって、なんだかとっても恥ずかしいし、すごく、ぼんやりだし。  可愛いかなあ……オレ。  ……不思議すぎだけど……玲央。  顔が見たくて、玲央の腕の中から、玲央の顔を見上げようともがくと。  気づいた玲央が、オレを至近距離から見下ろした。 「――――……」  ふ、と。もうこれ以上、優しくなんてできないんじゃないかな、という顔で微笑まれてしまった。  その瞬間から、ますますドキドキする心臓と。  顔は熱いし。 「……可愛いなあ」  また、ぎゅー、と、抱き寄せられて、後頭部、撫でられて。  …………なんか。  甘やかされまくって、本格的に、溶けてしまいそうな気がするのだけど。  ……どう応えたら、良いんだろう。

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