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第598話◇ ※
また繰り返しキスをされて、もう熱っぽくて涙が滲む。
「……優月……」
キスを少しだけ離した唇の間で、玲央がくす、と笑う。
涙でぼんやりとした視界で玲央を見上げると、優しい瞳で見つめられる。
「可愛すぎ……」
ちゅ、と、頬にキスされる。
「可愛いて……言いすぎ……」
「んー? ……可愛いんだもんな……」
ちゅちゅ、とわざと音を立てるみたいにして、頬から首筋へとキスをずらしていく。
玲央はオレを可愛いっていう時、ほんとに優しい感じで言ってくれるから。
……それはすごく、大好きなんだけど。やっぱり、恥ずかしさは、ある。
だってオレ、そこまで言うほど可愛くないし。と思うのだけれど。
玲央の瞳にはオレってどんな風に映ってるんだろう。ほんとに不思議。
と。ふと、玲央を見上げていて、気付いた。
オレばっかり、イって、玲央は、全然だし……。
なんかいっつもそんな気がして、急に焦る。
「ね、玲央」
「……? ん?」
「オレもする」
「ん? 何を?」
「玲央の……」
いつもいつも、玲央がオレにばっかりしてくれて、オレはとっても気持ちいいのだけれど。
「……オレも、していい?」
言うと、玲央は少しの間黙って、それからクスッと微笑む。
「してダメとかは、言わないけど……またフェラしたいの?」
「……うん」
……んー? と言いながら、玲央がオレをじっと見つめてくる。
「何でしたいの?」
「……何でって……オレも玲央にしたい、から」
玲央が優しくオレの頬に触れて、ふ、と瞳を優しく緩める。
「前の時もそう言ってたけどさ。……オレはむしろしたい方が強いから」
「……えーと……してほしく、ない……?」
「ってわけじゃ無いよ」
クスクス笑って、玲央がオレを抱き寄せる。
「無理しなくてもいいよっていう話なんだけど……」
「……でもね、玲央、オレはチャレンジする」
「ちゃれんじ……」
「いっつも玲央がしてくれてばっかりだから、オレも少しはできるように……」
「……んー……ん? そう?」
「絶対そう。嫌?」
「嫌じゃないけど」
玲央はオレを見て、可愛いなぁと言いながら笑って、オレの頬をすり、と撫でる。
「――――……チャレンジ、かぁ……」
ぷ、と玲央が笑う。
……チャレンジって変だったかな? 玲央がクスクス笑うのを見ていたら、なんだかそう思ってしまったけれど。
それを訂正する前に、玲央がオレを見つめて、ふ、と色っぽく微笑んだ。
「じゃあ、する……?」
どき、と心臓が弾む。
「ぅ……うん! する!」
返事にめちゃくちゃ気合が入ってしまう。
自分からさせてって言ってることとは言え、やっぱりオレみたいな超初心者が、こんな魅力的過ぎる人に自分から何かをするって、もう、チャレンジ以外の何物でもない気がする……。
わー、ドキドキする。
そう思ってると、玲央がオレの顔を見下ろして、ふ、と笑い出す。
「……そんな楽しそうな顔することでもないんだけどな?」
クックッと笑いながら、玲央は、オレの唇に親指を這わせる。
「なんかこの可愛い口に、とか考えると……背徳感、半端なくて」
「――――……」
ちゅ、とキスされる。舌で、オレの舌に触れてから、少しだけ離す。
「……興奮するって、ヤバいよな」
そんなことを言って色っぽく笑う玲央に、じっと見つめられると。
頭の中が玲央だけになって、心臓が死ぬほどドキドキして、のぼせそうな気分になってくる。
ヤバいのは、オレなんですけどー……。
どうしよう。
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