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第606話◇ ※

 もう今日は、このまま寝るか。  何だかそんな気分になりながら、抱き締めたまま、ふわふわした髪の毛を撫でていたら。 「ん……あの……玲央?」 「ん?」 「……あの……」 「……どした?」  もじもじしてる感じがして、笑いながら優月の顔を覗き込む。 「優月?」 「……もう、寝る?」 「ん?」 「あ……の」  ぼぼぼぼ、とまた湯気が出そうになってる優月に、あ、と気づく。 「……シたい?」 「…………っ寝たい、なら、だいじょ……」  プルプル首を振ってる優月の顎に触れてあげさせて、その言葉を、唇ごと塞いだ。 「ン……」  見つめ合った瞳が、唇を深く重ねると、きゅ、と伏せられる。 「……ん、……っふ…………」  舌を絡めて、優月の口の中に押し入って上顎を舐めると、びくっと震えて体に力が入る。ぎゅ、と背に回った手にしがみつかれるのが、ものすごく愛しい。 「……っは…………ン、ぁ……」  離さずに枕に頭を沈めさせて、全く動けない状態で、キスを繰り返す。 「……んん、ん……」  薄く開いた瞳が、涙で濡れてる。  唇の間で漏れる熱い息にも、少し苦し気な、でも甘く聞こえる声にも。すぐ、欲情する。  つい今さっきまでこのまま寝ようとか思ってたのに、と少し自分がおかしく思える。  キスしたまま、優月のバスローブを開いて、ベッドの頭上にしまってるローションとゴムを手にとる。 「……ん、ンン……ッ」  下に垂らして、中を慣らす。感じるとこにすぐに触れると、優月の顎が反りそうになるけど、キスで押さえる。 「……ん、ぁ……ッ……ン……」  準備ができたらすぐに、優月の入り口にあてがう。 「……あっ……」  少し慣らしながら、何度か抜き差しを繰り返して、最後、深く突き上げた。 「…………ん、んん……ッ……ぁっ……」  ぎゅう、と、首にしがみつかれる。  腰を動かして、中を刺激すると、オレの下で甘い声をあげる。 「……ん、あっ……それ、待っ……」 「ん? 待つの?」  待って、か。……可愛いんだけど。  待たずに、奥をまた刺激すると、びくん、と震えた。 「……ここ突くと、すぐ軽くイっちゃうよな」  優月の腹に零れたものに触れて、そのまま、優月自身に触れる。   「……っだ、て……」 「ん?」  うるうる涙目。  恥ずかしいのか、気持ちいいのか、分からないけど、すぐ泣く。  ……可愛くて、たまらない。 「……気持ち、よすぎ、て……」  もう泣いてるみたいな感じで、むぎゅ、と抱きつかれて。  気持ち良すぎてとか。……可愛すぎる。  もっと泣かせたい、なんて、思うと。  優月の中で、ますます、質量を増す気がする。 「……っひ、あ……っ」  一度抜いてまた深く突きあげる。  気持ちよくて、こわい、みたいな泣き顔をされると。  本当、逆効果なんだけどな。と、思いながら。  体を優月の方に覆いかぶさるようにして、深く口づけながら。  その両手を繋いで、ベッドに押し付けた。 「……っ……手……」 「……ん?」  はぁ、と唇の間で熱い息とともに、優月が少し笑う。 「手、つなぐの……好き……」 「――――……オレも」  ぎゅ、ときつく握って、もう離れられない位深くキスして、優月と、終わりに向かう。  愛しくて。  死にそう。  強く思ったけど。  マジで、らしくないなと。  遠い片隅で、そんなことも、思った。  

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