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第610話■番外編■クリスマス3
クリスマスイブは避けて、その前日。
玲央のもう一つのマンションで、皆と集まることになった。
来るのは、勇紀、甲斐、颯也、稔。
玲央と二人で、朝から色々準備した。
こないだ玲央と買い物してきて、色々クリスマスっぽいものを買ってきたのでそれを引っ張り出す。
クリスマスツリーも飾ったし、テーブルもクリスマスぽくセッティング。
可愛いキャンドルやクリスマスの絵柄の紙皿なんかを置いたら、一気にクリスマスな感じ。
料理とかはデリバリー頼んだのと、皆が適当に買ってくることになってる。
ノンアルのスパークリングワインを買ってきたし、他飲み物も各自適当に。グラスとかお皿用意し終えて、夕方、少し落ち着いた。
もう暗くなってきた窓辺で、キラキラ綺麗なクリスマスツリーを見つめていると、玲央に後ろから抱き締められた。
「優月は、去年は何してた?」
そう聞かれて、少し考える。
「去年は……イブは大学の友達たちとパーティしてた。クリスマスの日は家族でパーティ。なんとなく毎年そんな感じだった」
「そっか」
「玲央は?」
「あいつらとは騒いでたけど……」
「デートしたりもしてた?」
何も考えずに、クリスマスだとデートとかもするかなと思って聞いただけだったのだけど。玲央がちょっと黙ってから、顔を覗き込んできた。
「……聞きたい?」
「え?」
「嫌じゃねえの?」
「う、ん。……やじゃないかな。高校生とかの玲央、クリスマスだーってわくわくデートしてたこともあるのかなーて思っただけ……」
「興味ね。ヤキモチ……やかないか、今更」
「うん」
頷くと、玲央は、苦笑い。
「彼女居た時は、デートしたいって言われたらしたこともあったな」
「高校生の時?」
「そ」
「そっかぁ。……高校生の玲央かぁ」
振り返って、じっと見つめる。
「……今より、ツンツンしてた?」
「ツンツン……」
ぷ、と笑われる。
「……んー、そうだな。カッコつけてたかも」
「……なんとなく、見える気がする」
クスクス笑ってしまうと、「見える?」と玲央も笑う。
「うん。高校生の時って、カッコいい子って、めちゃくちゃカッコつけてた気がするから。玲央なんてもっとカッコよかっただろうから」
「……どうだろな。突っ張ってる感じはあったかも」
「うん。そういう感じ」
ふふ、と笑って、玲央を見上げる。
「でもカッコ良すぎただろうなあ。制服着てる玲央」
「高校ん時の優月は? 背、もう少し小さかった?」
「ん? うん、まあ。高一とかに比べたら伸びたから」
「……」
ぷに、と頬に触れられる。
「…………」
「……?? ん?」
「変なこと言っていい?」
「……?? うん」
「……もう少しちっちゃくて可愛い優月に今、触ってみたいなーと思った」
「触る?」
「んー……乱す?」
「……っ」
「今も可愛いけど、もっと小さかったんだろ? なんか萌えるよな?」
「…………っっ」
恥ずかしすぎることを言われて耐えきれず、真っ赤になった瞬間。
ぴんぽーん、とインターホン。
「あ、来たな」
くすっと笑って、頭を撫でて、玲央が離れていく。今開けるからとか、インターホンに向けて話してる。
「――――……」
あっつくなった頬を挟んで冷ましていると、玲央はオレを振り返って、それからクスクス笑い出した。
「優月」
近づいてきて、頭に触れられて、また撫でられる。
「……すぐ赤くなる」
優しく見つめられると、余計に恥ずかしくなる。
「……からかってるでしょ」
むむ、と見上げると。玲央は、クスクス笑って。
「……からかったんじゃないよ。可愛かっただろうなぁってほんとに思っただけ。まあ、今もすげえ可愛いから、良いんだけど」
「――――……っっ」
愛しそうに見つめられると、なんだかもう色々恥ずかしいんだけど。
と、また顔に血が上るオレを見て、玲央が、ちゅ、と頬にキスしてくる。
「ほらほら、早く顔戻さないと、皆来ちゃうぞ?」
「そんなこと言ったって……」
もー。玲央……。
その後、なんとか頑張って顔の熱を冷まして、皆を迎え入れた。
幸い皆が来たら、一気に普通モードな空気で、すぐ顔の熱は引いたからよかったけど。
……玲央と居るとすぐ赤くなっちゃうから困る。
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