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第612話■番外編■クリスマス5

 恥ずかしいこと、色々あったけど、結局嫌がってた玲央も皆の圧に負けて仕方なく、帽子をかぶった。けど、深くかぶるのは拒否してて、ほんとに軽く。  ……ていうか、こんなに格好良く、サンタの帽子をかぶれる人が居るなんて、驚き。……と思う位に、カッコいい。 「……つか、お前、オレととりかえろよ」  颯也が、カチューシャを外そうとするけど、玲央は即座に、無理、と言った。 「なんか玲央、意外とそれ似合ってて全然変じゃねえし、面白くない!」  稔が騒ぐが、玲央は全然無視して、オレの方を見てる。 「なんか……ほんとすごい似合うな、優月」  クスクス笑いながらオレに言う。皆がこっちに視線を向ける。    玲央は前までは、好きとか可愛いとか言わないようにしてたって言うし、きっと、皆はそういうことを言う玲央を、あんまり知らないんだと思う。  だから、皆はよく、こういう玲央に「慣れてきた」と言ってることも多いんだけど。  とっさの玲央の言葉には、は? みたいな顔を見せる時も多くて。  大体、玲央はオレを見て言ってるので、オレが、玲央越しに、皆の視線を受けるような感じになる。  玲央は、全然恥ずかしくないみたい。  オレは、すごく嬉しいんだけど、恥ずかしいし。……でもやっぱり、嬉しいのかな。皆が、少し呆れながらも、そんな玲央を楽しんでるみたいな感じもするし、なんだかとってもほっこりもする。  ――――……皆、ほんとに仲良くて、ほんと、好きだなあ。  と、思っていると、勇紀に呼ばれた。 「優月、ケーキ食べる用意しよ~手伝って?」 「あ、うん」  立ち上がって、勇紀と冷蔵庫のところに行く。  少しだけ皆と離れると、勇紀はクスクス笑った。 「……優月って、さ。皆の前で可愛いとか言われるの苦手?」 「……苦手というか……うーん……」 「恥ずかしそうな顔するもんね」 「んー……別にオレ、女の子じゃないしさ、そんなに言うほど可愛くないなあって思うから、ちよっと恥ずかしい」  そう言うと、勇紀はクスクス笑う。 「でもオレも、優月に可愛いって言ってたよね」 「……あ。うん……?」  でも勇紀の言ってたのはちょっと違うような気がするけど。 「大丈夫、優月が可愛いってことには、誰も疑問持ってないから」 「――――……」  謎な大丈夫をもらってしまって、オレが勇紀を見つめてると。 「オレ達が疑問なのは、あの甘々デレデレな人だからねー」 「…………」  甘々デレデレ……。  なんか玲央には、全然ぴったりじゃない言葉なんだけど……。 「嘘みたい、ほんとに。恋愛関係に至っては、超クールっていうか、割り切ってて冷たいっていうか。そんなだったのに」  ホールのケーキが二つ。  大きめのお皿二枚にケーキを出して、ロウソクとか、サンタの砂糖菓子の飾りを上に置いたりしてケーキを可愛く飾りながら、勇紀が笑う。 「……この砂糖より甘々だもんな?」  クスクス笑いながら、オレを見る。 「つかさ、玲央がサンタ帽子かぶるとか、ありえないかんね」 「そうなの?」 「優月とお揃いでかぶるなら、もしかしてと思ってさ。だから、二人はちょっとまともなの。ほんとはもっと面白いのも売ってたんだけどねー」  クスクス笑う勇紀。 「でもサンタの帽子だって、玲央がかぶるとか奇跡に近いからね?」  そうなんだ、と頷きながら、オレも笑っちゃうんだけど。  だって、こんなに普通のサンタの帽子が奇跡に近いとか。  昔の玲央は、よっぽど今と違うんだろうなあと思うと、少し不思議。 「あれ? ロウソクついてたから立てちゃったけど、誕生日じゃないじゃんね。どーする……?」 「……そういえばそうだね。あれ?」  勇紀とオレで顔を見合わせて、クスクス笑ってると。  稔がこっちを見て……。 「おーい、玲央が妬くから早くもどってこーい」 「妬いてねえっつの」  さすがに玲央も即座につっこんでる。……笑いながら。 (2022/12/30) なんか終わりが見えませんが、 30迄にクリスマス物は終えようと頑張ってます……(笑)

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