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第617話◇
【おしらせ】
前回のラスト部分。ちょっぴりだけ変えてます。
皆さまにとったら、なんとなくの変化かもですが(*´艸`*)💦
◇ ◇ ◇ ◇
「……ほんと可愛い」
クスクス笑う玲央に、ちゅ、と頬にキスされる。
「まあでも、可愛い優月を惑わしちゃいけないから……諦めることにする」
また指で頬を撫でながらそう言って、玲央はオレを優しい瞳で見つめた。
「朝、作ろっか。パンで良い?」
「うん。パンがいい」
「じゃあ、行こ」
クスクス笑う玲央に手を引かれて、キッチンに向かう。
……惑わしちゃいけないって……。
もうすっかり惑わされてますが……。
なんて思いながら。玲央の、カッコいい後ろ姿を見つめながら歩く。
……なんだかなあ。ほんと。……大好きすぎるなあ、オレ。
ふ、と笑んでしまう。
「玲央」
玲央の腕に手を絡めて、きゅとくっついた。
「玲央、何、作る?」
「んー。卵は食べる?」
「うん。スクランブルエッグがいいな。こないだ玲央が作ってくれたの美味しかったから、作り方、最初から教えて?」
「いいよ」
クスッと笑って、オレを見下ろす玲央が、ひたすらカッコいい。
それから一緒にご飯を作って、ちゃんとスクランブルエッグの作り方を教えてもらった。
朝からずーっと。
なんか幸せで。
楽しい朝だった。
玲央と別れて授業中。
……サボろうと一瞬考えたけど、この授業サボれない授業だった……。
いけないいけない。……なんて考えて、ノートをとりながら苦笑いが浮かぶ。
玲央と会ったばかりの頃の授業は、なんだかもういっぱいいっぱいで、あんまりちゃんと聞いてなかった。やっと、最近まともに受けれるようになってきた気がするし。はぁ、良かった……。
玲央にドキドキすることがなくなるってことはなさそうな気がするけど。ほんのほんの少しだけは、一緒に居ることに慣れてきたような気がする。
周りにも、男の人とっていうのが伝えられたし。
なんか思っていたよりもずっと……ていうか、なんだかもう、完全に皆は普通で、優しいし。良かったな……。
少しは落ち着いて授業も受けられるし。
……あ、サボろうとしちゃったけど。ふふ。
そんなことを考えながらだったけど、ちゃんと二限まで終えて、お昼に行く途中の購買でノートを買おうと思って、皆と別れた。購買に入ろうとした時、反対側から来た人と、購買の前で鉢合わせ。一人ずつしか入れない狭い入り口なので、先にどうぞ、と思って止まっていたら、「あ」という声が聞こえた。
「……優月かよ」
何だか、やれやれみたいな声と同時に目に入ってきたのは。
「奏人く……」
あ、と口を押さえて。「奏人」と言い直した。
……くんで呼んだら、蹴るって言ってたっけ、と思い出したから。
そんなオレを見て、奏人は少しムッとしたような顔のまま、「入れば」と言った。
「あ、うん」
言われて、購買に足を踏み入れる。
「何買いに来た?」
後ろから、そう聞かれて、「ノート」と答える。
「オレも」
一緒に、買いに行ってくれるのかな? 帰っちゃうとかは……なさそう。ちゃんと、ついてきてる。
何だか少し不思議な感じがしながら、奏人と一緒に中に進んでいく。
「なあ……どーなってんの? 玲央と」
「どうなって……?」
「別れた?」
そう聞かれて、思わず振り返って、小さく首を振ると、奏人は、大げさに「知ってる」とため息。
「……知ってるの?」
「だって、なんか玲央、ウキウキしてるし」
はー、とため息。
「……信じらんねーけど。玲央が、そういうので浮つくとか」
「――――……」
そのこと自体は嬉しいんだけど……奏人の前で喜ぶべきじゃないだろうし……。
ていうか。奏人はなんのつもりでそんなことをオレに言ってるんだろ……。なんて返事したら……。
と思っていたら、奏斗がオレをじっと見つめてきた。
「玲央、ほんとモテるから気を付けな? 狙ってる奴いっぱい居るし、今からだってきっとたくさん居るだろうし」
「……知ってる……」
モテるのは、知ってる。
……ていうか、モテて当然だろうなっと思ってる。
…………それよりも。
「……あのさ?」
……ふと思ったことに、クスクス笑ってしまう。
「何?」
「気を付けなって……注意してくれてるの?」
そう聞くと、ばちっと目があって、それから、ふー、とため息。
「……お前、抜けてそうだから」
「そう、かもね……」
クスッと笑ってしまう。
意外、だけど……心配、してくれてるのかな。ちょっと言い方が微妙で分かりづらいけど。
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