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第660話◇
「んー……」
オレにキスしてにっこり笑った後、ぽふ、とオレの肩辺りに倒れ込んできた。そのまま、ふふ、と笑ってる。
「ゆづき……?」
「……れお……重い?」
「重くないよ」
腕を動かして、オレの上に乗っかってる優月を抱き締めると、またクスクス笑う。
「幸せー……」
そんな風に嬉しそうに笑ってる優月に、ふわ、と優しい気分になる。
……なんだかなぁ……ほんと。
すっげー、可愛くて、このまま、寝かせてあげたいんだけど……。
「……れお……」
何やらスリスリくっつかれている。
……可愛すぎて、無理って気持ちの方が。
強い、よな。
「優月……少しだけ、付き合って」
「……ん?」
体勢を変えて、優月を枕に沈み込ませ、組み敷いた。
さっきと逆。オレが優月を下に見下ろす。
「れお……?」
「……キスだけ。少し。付き合って?」
そう言うと、優月は、きゅ、と一度唇を噛んで。
「……あの……優しくしてね?」
「――――……」
……分かってる。
皆が居るから、激しくすんなって意味だってことは。
でも。
「……はーほんと……」
「……?」
「可愛すぎ……」
優月が何か言う前に唇を重ねて、すぐに舌を絡めて、深く口づける。
「……っ……ん、ぅ……っ」
寝てたせいか、あったかい。
寝ぼけた感じのまま、とろん、としてて。
ぽー、とオレを見つめてる。……可愛いな。
舌を吸うと、んん、と瞳を閉じた。
「……っ、ふ……」
声が少し漏れるけど、いつもよりもっと我慢してるみたいで、ほんとに小さい。
キスで漏れる声位、離れた部屋で寝てるあいつらに聞こえるとは思わないけれど、なんだか、我慢してるっぽい優月にちょっと興奮する。
顎を捕らえて、オレの方に向けさせて、深く口づけて、口内を愛撫していく。上顎に舌を這わせると、「んんっ……」とちゃんと声が漏れて、びくんっ、と震えた。
……あー、可愛い……。
可愛くて、困るな。ほんと……。
ふる、と首を振って、オレから少し顔を引いて、ぷは、と呼吸。
「れお、きつ……ん……っふ……」
はぁ、と息をついたところを、もう一度唇を重ねる。
「ん、ん…………っ……ふ……」
絡んだ二人分の唾液を、こく、と優月が飲むのが分かる。
このまま、抱いてしまいたい欲が浮かぶけど。
――――……なんとか堪えて、優月から唇をゆっくり、離した。
「……ン……?」
つむっていた瞳を開いて、オレを見つめてくる。
ウルウルした瞳に、可愛くて、顔が綻ぶ。
そのまま、抱き寄せて、一緒に横になる。
「ありがと。……キス、付き合ってくれて」
クスクス笑いながら、そう言ったオレに、優月は少し黙ってから、背に手を回してきた。
「……いつでも……」
「ん?」
「いつでも付き合う……」
腕の中で、ほこほこ幸せそうな声で、そう言って、むぎゅ、と抱きついてくる。
「……オレ、今、すっげー我慢して止めてンの。分かる?」
「……そうなの?」
「そ。可愛いこと言うのやめて」
ぎゅー、と抱き締めると。優月は腕の中で、クスクス笑う。
「……だいすき、れお……」
ぴとー、と何だか柔らかい感じで、しがみつかれて。
ほんと可愛いな、と思ってしまうのはもう。
……どうしようもないな。
「……おやすみ、ゆづき」
「うん。おやすみ、れお……」
静かに言い合って、ぴったりくっついたまま。
暖かさにすぐにウトウトし出して。
静かに眠りにつぃた。
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