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第672話◇
席について、オムライスの写真を撮って、玲央に送った。
「オレのラッキーアイテムはこれ」とメッセージも送ったら、「優月用のラッキーアイテムじゃん」と返ってきて、笑ってる顔文字がついてる。
……オレがオムライス好きなのを知ってくれてるからこの返信なんだよね。と思うと、なんかすごく嬉しい。
あ、でもオレ、麻婆豆腐好きか嫌いかってこと、知らなかった。
……そういえば、ずーーーっと一緒に居て、ご飯一緒に食べてる気するけど、まだ出会ってそんな経ってないし、一緒に食べてないものもいっぱいあるし、好き嫌いとかも、知らないものいっぱいあるんだ。
そんなに好き嫌いは無いって言ってた気するけど、好きか普通か、くらいはあるよね。
……なんか。あれだなぁ。
これからいっぱい知っていけるんだなあと思うと。
……なんか幸せ。かも。
知りたいこといっぱいある。
「いただきます」
手を合わせて、食べ始めると、少しして、「なんか優月に似合う食べものだよな」と言われた。
「……オムライス? 似合う?」
「うん。……なんとなくな?」
クスクス笑われて、言った友達が隣の友達に視線を送ると、「分かる」と笑われる。
「……好きだけど」
似合うってよく分かんないけど。まあいっか。好きだし。
……と思ったんだけど、食べながら、んー、と考える。
卵料理が好きだし、オムライスすごく好きだけど、なんとなく、オムライスとかって、旗がささった子供用の食べ物のイメージがあるなあ。似合う……。
……まあ美味しいからいっか。と結論づけて、オムライスを食べていると。
「よ」
不意に上から声がして、振り仰ぐと、恭介が笑っていた。クラス会の日以来だ。
「今来たの?」
友達の声に、違うよ、と恭介が笑う。
「ちゃんと二限出たよ。優月にも言われたし」
言いながらオレに視線を流してくる。
「それはオレに言われなくてもちゃんと出てね」
クスクス笑いながら言うと、「はーい」と恭介が笑う。
「大丈夫、ちゃんと出なきゃいけないのは出てるし」
「なら良いけど。後輩にならないでね?」
「怖いこと言うな」
言いながら、恭介は持っていたトレイを置きながら、オレの隣に座った。
「なあ、優月、あれからどーだった?」
「ん。……あ、皆に言ってから?」
「ん」
頷いて、いただきますと言ってから、食べ始める恭介に、オレは「なんか普通な感じ、かな」と笑った。
「あ、やっぱり?」
「なんでやっぱり?」
「なんかそんな感じがして」
クスクス笑いながら恭介がオレを見つめる。
「何人かとそのこと話したんだけど。ほら、なんかあれじゃん、信じられないーとかさ、言われてたら嫌だよなーと思ったんだけど」
「ん」
「女子なんか、喜んでたしな」
クックッと恭介が笑う。
「そうなの? 喜ぶ?」
「絶対カッコいい人だよ、絶対、だって優月くん、可愛くなってるもん、みたいな」
「…………」
なんかそれクラス会の時も聞いたような。
……カッコいい人ではある。……死ぬほど、誰よりカッコいい気はする。
でも、オレが可愛くなってるからカッコいい人っていうのは……可愛くなってる……?? 謎すぎる……。
「イケメンナンバーワンって、言いたくて言いたくて」
「……そっちはまだ、広まってないの?」
「意外だよな、広まってない。あん時も、何人かは悟っただろうし、分かってる奴もいるんじゃないかなーと思うんだけど。あれだな、優月がまだ言いたくないって言ったからかな」
「……オレ、ちょっとは覚悟してたんだけど」
そう言ったオレを見て、恭介はクスクス笑う。
「まあさーお前迎えにきたあいつ、絶対バレても良さそうだったじゃん。頭撫でてるし、むしろ見せつけてきてるみたいな?」
「……」
「まあお前もまっすぐ駆け寄ってくし、バレても平気なんだろうなと、オレは思ってたけど」
「……うぅ~……」
何も言えない。あの時は、バレても平気というよりは、玲央が居て嬉しくなっちゃっただけで……。
ごはんを口に入れてモグモグ食べながら、思わず唸ってしまうと、恭介がめちゃくちゃ面白そうに笑い出して顔を背けると、口を押えてて、でもなんかプルプル震えてる。
「……笑いすぎ」
ご飯を飲み込んでから、むっとして言うと、恭介はくる、と振り返って。
「だから、お前はリスかって……」
「そっちで笑ってたの?」
何なんだもう、と眉を寄せると、周りで聞いてた友達たちも笑い出した。
(2023/5/18)
本日表紙を変えました。しばらく慣れないかもですが…💦
よろしくお願いします(*'ω'*)✨
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