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第675話◇

 三角関係とかそんなわけないよ、なんて笑って終わらせて、もう周りがいつも通りになって普通に話し始めた。  ……ていうかもう皆、確信してるのに、つついてこないって。優しすぎる……。 「それにしても、なんか、ごめんな?」 「ん?」 「オレ、変なこと聞いて」  恭介が可笑しそうに笑いながらオレにそう言った。 「んー。ていうか、ごめんって思ってないでしょ?」  じっと見つめると、恭介ってば、ははっと笑う。 「いや。変なこと聞いてごめんなとは思ってる。……まあでも、答えなくても分かったわ」 「…………」 「まあ相手があいつで、無いってことは無いだろうとは思ってたんだけど」 「……けど?」 「なんかそこらへんが優月と全然結びつかなくてさ、つい」  しみじみ言ってる恭介にちょっと考えてから。 「……そんなに結びつかない?」 「うん。まあ……控えめに言っても、全然かけらも結びつかない」  そんな風にはっきりきっぱり頷かれて、苦笑い。  ……プラトニック、かぁ。  恭介がこんな感じだと、そう思ってる人も居るんだろうなぁ……。  付き合ってるって言っても、ただ一緒に居るだけってこともあると、思われてるのかぁ。  オレがそういうことと結びつかないの?  ……確かに。キスも初めてだったし。間違っては無いのかもしれない。  まあ良いんだけどね、どっちで思われてても。  でもオレ、聞かれるたびに真っ赤になってちゃだめだよね。聞いた相手も困っちゃうだろうし。  うーん。どうしてこんな、毎回赤くなっちゃうんだろ。  って、色々してる時の玲央のこと、思い出しちゃうから、だな。  玲央って、もうそういう時の、カッコいいのが、なんかすごすぎて。オレは、そういう話になると、あの時の玲央を思い出しちゃうから、もうそれだけで無理なんだよね……。    とにかく、オレがそういうことできるのは、オレの経験値の低さを補ってくれる玲央がすごいからな気がするから……恭介がなんかすごく不思議そうなのも、すごく分かってしまうかも。 「んー、恭介……」 「ん?」 「オレ……全部、玲央任せかもしれない」 「ああ。なるほど」 「――――……」 「――――……ん、なんかすげー分かる」 「…………」 「…………」  しーん。  顔を見合わせてから、二人同時にふきだした。  あは、と笑いながら。 「あいつが、なんもしないとか、無さそう」 「……そう思うなら、聞かないでよぅ」 「あー、さっき近くで見て、確信した感じ」  可笑しそうに笑う恭介。 「……そうなの?」 「そう」 「よく考えるとオレ、あいつ、初めてあの距離で見たかも」 「ん。あ、玲央のこと?」 「そう」 「……どうだった?」  なんて言うんだろ、と思ったら、恭介は、クスッと笑った。 「なんか……優月のこと大好きすぎな感じ。オレ、お前の心配は無用だと思うけど」 「ん?」 「名前言っていいのかなあとか」 「……あー……うん。でも」 「だってあいつ、むしろ見せつけに来てない?」 「う、うーん……? どうだろ……??」 「さっきの地図、別に持ってこなくたってさ、いい訳じゃん。写メすりゃいいし。わざわざ来たんだろ?」 「うん、それはそうみたいだけど……」 「なんかあれだよな。男!って感じがする」 「……うん、まあ……わかる」 「大変じゃない? あいつの相手」  言われた瞬間、ぼん、と赤くなったオレに気づいた恭介が、あ、違う違う、と笑った。 「そういう意味じゃなくて。すげえモテそうだなーと思ってさ。嫉妬してたらきりがなくなりそう」 「あ、そういう意味……」  ていうか、違う意味にとってしまった自分が恥ずかしくてさらに、困ってると。  笑いながら、恭介は、んー、と背伸びをした。 「っつってもさ。こないだからそうなんだけど、優月が幸せそうだから全然心配はしてないけどな」 「……ん。ありがと、恭介」    何だか最近よく言われるような気がするそのセリフに、やっぱりそう言ってくれるのは嬉しいなと思う。  思うけど。  なんか、勘違い含めて、色々恥ずかしくて、顔がなんか熱い。  

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