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第677話◇

 実家であったことや、樹里と一樹にBLとか言われたことも話してる間、二人は面白そうに聞いててくれた。 「んー、なんかもうほぼ公認、みたいな感じ?」 「んー……まだ父さんには会ってないけどね」 「おじさん優しいし。絶対反対しないでしょ」 「どうだろうね。言ってみないと」 「神月の方には行かないの?」 「もう少ししばらく付き合った期間を置いてから行こうって玲央が言ってたよ」 「……信用無いのね」  美咲が苦笑い。 「あ、でもね、玲央のおじいちゃんのところには行くんだけど」 「そうなの? おじいちゃん? 何で?」 「……うーん、えーと……絵の久先生のお友達だったの。偶然会って……玲央のおじいちゃんだって分かって……で、もう、なんか、バレちゃって、それで今度お家に行くことになってるんだ」  すると、智也が「なんかすごいことになってるね。縁があるんだろうな」と、クスクス笑った。 「最初にキスされたーって言って、美咲が超怒ってから、まだそんなに経ってないんだけどな。進展早い。まあ、あれだよな」 「ん?」 「玲央が優月のこと、大好きそうだもんな」  そう言って笑う智也を見て、美咲が首を傾げる。 「そういえば、いつの間に智也は、玲央って呼んでるの?」 「ん? あぁ……ほら、玲央の仲間と優月と、一緒に夕飯行ったって話しただろ?」 「あ、言ってたね」 「そん時。名前で良いって」 「ふーん。そうなんだ、仲良くなったの?」 「まあもともと学部一緒だし。……多分、優月の仲良し、てことで、仲良くしようって感じなんじゃないかな。これから関わるって思ってるんじゃない?」 「そっかー」  美咲が「あ、はいはい、どんどん食べて」と笑いながらお肉をのせてくる。 「わー、ありがと」  お肉を頬張る。 「おいしー」  幸せ。なんて思っていると、美咲がクスクス笑った。 「なんかさ。のどかなのは変わってないのに、神月と居るのよねぇ、優月」 「……どういう意味?」 「タイプ違うように見えるから。……神月と居て、楽? 無理してない?」 「……んー……と。無理は、してない」  言いながら、いつもの優しい玲央を思い出すと、ふ、と顔が綻んでしまう。 「……オレ、大丈夫だよ、美咲」  そう言うと、美咲も微笑んで、「もう最初の頃よりは心配はしてないんだけどね」と言いながら、ふーと息をつく。 「学校で会った時も、心配してないよ、とか言ったのに……なんかどうしても心配しちゃうのかも」  美咲が苦笑いを浮かべる。  オレは、智也となんとなく視線を合わせて、クスッと笑ってしまった。 「……オレだって、美咲や智也が付き合う人、いい人だといいなーって思うし、色んな噂とか聞いたら心配するもん。だから、分かるよ。同じ、でしょ?」  そう言うと、美咲はオレを見つめて、それから、ふふ、と笑う。 「そうだね。同じだね」  うん、と美咲が頷くので、オレも「ん」と頷いた。 「でも……今、オレの前に居る玲央は、噂に居る玲央とは、違うと思う」  考えながら言ったセリフに、二人はオレの顔を見て、ふうん?と笑う。 「モテるのはそうだと思うし。……今まで、自由だったのは、そうだと思うけど……玲央がモテたのは、カッコいいからが一番じゃなくて、優しいからだと思う」 「――――……」 「……今、一緒に居て、優しいんだよ。すごく」  思い浮かべて、優しい玲央しか浮かばない。 「稔とか勇紀にはめちゃくちゃツッコミ入れてるけどなー?」  智也がクスクス笑うけど。 「それは絶対お互い楽しんでるからいいんだよ」 「まあそーだな」 「……ていうか、そういう玲央も、なんかカッコイイし。色んな玲央が、全部」  ついつい、玲央を思い浮かべて話していたら、ふふ、と微笑みながら、全部大好き、とか言ってしまいそうになって。さすがにちょっと恥ずかしいかなと思って、口をつぐむと。  ちょっと黙ってた二人が、顔を見合わせてから、息をついた。 「そこまで言ったら最後まで言ったら?」 「そうよ。中途半端。もうその後、続く言葉なんて、黙ったって、バレバレだしね」  う。  ……ニヤニヤ笑われて、かなり、恥ずかしい。  なんかオレ、調子に乗って、言いすぎた……。

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