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第694話◇

「……ん……っ……」  どれくらい、キス、してるんだろ。  なんか玲央とキスしてると、時間の感覚が、いつもなくなる。  頭の中が、真っ白で。  涙が滲む。息が熱すぎて、ちょっと苦しくて。でも、ゾクゾク、するくらい、きもちよくて。  滲んだ視界で、玲央を見ると、ああ、なんか、好き、て思って、胸が締め付けられる。  きゅっと玲央の服を握り締めてた手を、背中に回して、そこでしがみつく。 「……んん、……ん」  たまに離されて。息を吸ったところをまた塞がれる。 「……、ふ……」  玲央が好き。  もう、ほんとに、好き。  なんでこんなに、好きなんだろう。  もうわかんないけど、とにかく、玲央、大好き。  優しいような、激しいような。とにかく、甘い甘いキスがしばらく続くと。  自然と、体も熱くなってくる。  なんかもう、そういう風に、なっちゃった気がする。  ……玲央はどうなんだろ。  玲央は慣れてるから、こんなんじゃそんなこと、ならないのかな……。  わー……。  なんかオレはだめかも……。直でそっちにいっちゃうような……。 「……ン、ん……」  なんか、もぞ、と動いて玲央からちょっと離れようとしたら。  ぐい、と腰を押さえられて、密着させられてしまった。 「……ぁ」  うわ、何で。なんか熱くなってるのバレちゃう、と思って焦って離れようとするけどダメで、また唇、塞がれて。 「――――……」  でも、すぐ、布越しだけど玲央のも熱いの、分かって。  ……なんかそうすると、もう。  …………嬉しくて。  同じ、なのかなって。  また、ぎゅう、と抱きつく。 「……何で逃げンの」  くす、と笑う玲央が、少しだけ唇を離して、そんな風に聞いてくる。 「……っ」  一人で熱くなっちゃってたら恥ずかしいから。  ……とは言えず、かああっと顔に熱が集まる。 「あーもう……何なの、ちゅってしたい、て」  ちゅ、と髪の毛にキスされる。頬に触れる玲央の玲央の手が熱くて、気持ちいい。 「……可愛すぎて、なんか、死ぬかと思った」  そんなセリフに、ふふ、と笑ってしまう。  死なないでしょ、と言いながらも、なんかその言い方がすごく優しいから。  胸が、好きで、いっぱい。 「あ、でも……オレが、したかったのは、ね?」 「ン?」  唇に笑みを浮かべてオレを見つめる玲央に。  したいと思ってた、ちゅっと重ねるだけのキスをした。 「……こうしたかったんだよ、オレ」  そう言うと、玲央は少しの間、オレを見つめてたけど。軽く握った手を口元にあてて、ふ、と笑う。 「オレ、しすぎたってこと?」  クッと笑う玲央を見つめて、うん、と頷きながら。 「……まぁ……そう、なんだけど……」 「けど?」  楽しそうにオレを見つめて、オレの言葉を待ってくれてる玲央に。  ぎゅ、と抱きついた。 「大好きだから、なんでもイイ」  そう言うと、ひとつ間を置いた玲央が、オレの頬に触れて、顔を上げさせる。 「ベッド、行く? 優月」  ちゅ、と頬にキスされて、腰、押し付けられる。  そんな直なお誘いには、やっぱり、かあっと顔が一気に熱くなるけど。 「うん」  断るなんてありえない。即頷いてしまうオレ。  ほんとに大好きでどうしよう。

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