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第697話◇

「我慢してる訳じゃないんだけど」 「ん」  まだ少し膨らんだまま、玲央をじーと見つめると。笑いながら玲央がオレの頬をぷにぷにと触れる。 「……オレ、もうちょっと、続けたいなーって時があってさ」 「うん……?」 「優月、もうちょっと気持ちよくさせたいなーと思うんだよな」 「え。……あの」 「ん?」 「……今で十分、ですけども……」  言ったら、玲央がきょとんとした顔でオレを見て、ぷは、と笑う。 「また敬語……」  クックッと笑いながら。 「十分?」 「……うん」  こくこくこく、頷くと、玲央は、そっかーと笑うけど。 「まあ。今度な? 眠っちゃわないように、昼間がいいかな」  何だか楽しそうな玲央に、ちょっとドキドキ。いや、かなりドキドキ。というか。ひやひやと言うか。  だってなんかいつもも精一杯なのに、もっとって何だろう。   「こんなこと言ったの、勇紀とかに言うなよ?」 「言わないよう……何て言うの」  恥ずかしすぎて言えない。  玲央も笑いながらだから完全に冗談なのはわかってるけど。 「あいつ、ほんとに優月を汚すなって思ってるからな。もー何回言われたか」  言いながら、玲央が、オレの頬をぷにぷにと摘まむ。 「まあ分からなくはねえけど。可愛いしな……」  クスクス笑いながら、玲央に引き寄せられて、密着したままベッドに転がる。オレの頬に触れてる玲央の手が、ずーっとムニムニしてくるので、じっと見上げると、ん? と微笑む玲央、 「……オレのほっぺ、好き?」 「うん。かなり」 「んー……それは知ってる気がする……」  思わず言ってしまうと、玲央が面白そうに笑った。 「ああ、バレてた?」 「うん。……それは、バレてた、かな」  クスクス笑いながら答えると、玲央もふんわり微笑んで、オレの頬から手を離したと思ったら。 「すげーかわいんだよな……」  ちゅ、と頬にキスされる。 「…………」  否定することもない気がするのだけれど、オレ、もうすぐ二十歳なんだけどなーと思いながら、玲央を見上げる。 「……すごく触るよね」  思えばいつも、さわさわ触られて、ぷにぷにつままれてるような。思わず、ふふっと笑ってしまう。 「可愛いから」  玲央にも、ふ、と笑われて。 「柔らかいのと、すべすべしてんのと……オレが触ってる時に、くすぐったそうに笑うのが、可愛い」  確かに、なんだか、くすぐったい、というか。玲央がクスクス笑いながら触ってくるから、なんだか嬉しくて、笑ってしまってはいる、気がする。 「……オレも、触ってみていい??」  ふと、そんなに違うものかなと思って聞くと、苦笑しながらも頷いてくれたので、玲央の頬に手を伸ばした。 「…………」  ぷにぷに。  ……ふふ。思ったよりずっとやわらかいかも。  クスクス笑いながら、すりすりしていると、玲央はオレの手首を軽くつかんだ。ん?と見上げると。 「くすぐったいかも」 「え、なんで。もう少しさわりたいんだけど……」  手を伸ばそうとするけど、阻止される。 「だめ。それ以上触られてると、襲いそう」 「おそ……」  ぼぼ。  また赤くなったオレに、玲央が笑うけど。 「可愛いから無理」 「……また今度触らせてね」  むむむ、と思いながらそう言うと。玲央は、どーしようかなと笑う。  なんだかそこで、自分たちがしてるやりとりにふと、いまさらながらに気づいて、なんだか可笑しくなってきてしまって。 「何言ってるんだろ、二人で」  あは、と笑ってると、玲央も、楽しそうに微笑む。 「この会話、門外不出で」 「……誰に言うのー?」  二人で顔を見合わせてから、またクスクス笑ってしまう。 ◇ ◇ ◇ ◇ (2023/7/16) ◇ ◇ ◇ ◇ 昨日からいっこ、あるふぁさんで新作出してます。 「いつかきっと、恋をする」 7月末までくらいの期間限定です。もうすぐ完結させますのでぜひ♡ 詳しいことはブログに書いてます♡

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