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第698話◇

 今日は最後、寝落ち、しなかった。  玲央とほっぺ触り合ったりしてから、寝ることにして。  しばらく目を閉じていたら、玲央の寝息が聞こえてきた。  ……オレ、なんか今日はちょっと目が冴えているのかも。  変に興奮してた??かな?  玲央が先に寝ちゃうとか、ほとんどないような。  そっと目を開けて、動かないように気を付けつつ、玲央を見つめる。 「――――……」  わー。  なんか。  ……ほんと綺麗。玲央の瞳が好きだけど、閉じててもカッコイイよね。何度見ても、ほんと見惚れる。  寝顔も描きたい……。  動くと玲央が起きちゃうので、じっとしたまま、ひたすら玲央を見つめる。  なんかますます目が冴えてくる。  んー。そうだなぁ……。  玲央は、もともと男女はあんまり関係ないみたいだから、男のオレと居るのも可能性ありだったのかもしれないけど……。オレは、男の人に抱き締められて寝る日がくるなんてことは、思ったこと無かったよなあ。改めて考えても、不思議だなあって思う。  玲央が居なかった時、オレは何を一番に考えていたんだっけ。  今は、大体玲央がずっと居て。玲央と離れてどこかに行っても、玲央のことが頭にあって、帰ったら玲央がまたずっと居る。  玲央が一番で、ずっと玲央とのこと、考えてて。もちろん、お互い色々してはいるけど、なんか……生活のどまんなかに、玲央がずっと、居る。  うーん。でも、玲央だけになっちゃってもダメだよね。ちゃんといろんなこと考えて、いろんなこともちゃんとしないと、とも思うんだけど……。  玲央が大好きすぎて、玲央のとこに帰るまで頑張ろう、みたいな感じになってる気がする。  夢中になりすぎかなあとも、思うんだけど。  …………やっぱり大好き。    目、つむってる玲央。  ……オレを見つめてる時の、優しい瞳が、頭に浮かぶと、もうなんか。  すごく好きって、ただ思ってしまう。  結構笑い上戸なところも。肩震わせて笑いをかみ殺してたりするのも。  めちゃくちゃ色っぽくてカッコよすぎるとこも。  一生懸命、曲作ってたり。真剣な顔も。  ……料理、一緒に、作ってくれるのも。  迎えにきてくれたり、一緒に居たいって言ってくれるのも。  出会ってから今までの、色んな玲央が、頭をよぎってく。  ……なんか、全部、好きすぎて。  困っちゃうなぁ。  こんなに好きな人が、できるなんて、思わなかった。  しかも。男、だなんて。思いつきもしなかったし。  ……ここに引っ越してきたら、オレの帰る場所が、ここになる。  すっごい不思議。  いつか遠い未来、誰かと恋をして、一緒に暮らすとかするかもとか、漠然としたものはあったけど、結婚する時とか、働いてからかなとか、すごく先だと思っていたもんね。  いいのかなぁ。ほんとに。   玲央の家に入っちゃって。一緒に暮らしたいとか、言っちゃったけど。  ほんとに、いいのかなぁ……?  むむむーん。何だか自然と眉が寄ってしまう。  ……じー、と玲央を見つめていると。 「……ん」  玲央が少し、声を出して。何だか、どきっと、心臓が弾む。  もぞ、と動いた玲央に、何だかむぎゅ、と抱き寄せられて、すっぽりと腕の中にはまってしまった。 「…………っ」  わーわー。近……。  裸の胸と密着して、玲央の腕の中。 「……ゆ、づき……」 「――――……!」  寝ぼけ声で呼んだ後、また、すう、と眠り始めた。   「――――……」    あ。もう。  ……幸せ。  すやすや寝てるのに、ぎゅーと抱き締めてくれるとか。  名前呼んでくれるとか。    …………。  もう何も考えずに、玲央の家に入れてもらってしまおう……。  何かまずいことが今後あるなら。  それはその時になって、また考えよう。  ……玲央と一緒に。  考えれば、きっと、それでいいや。  なんて。  すやすや寝てる玲央の横で、勝手に決意して、すり、と玲央にすり寄った。

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