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第723話◇

 寝室に行って、ベッドに腰かけたところで、玲央が「あ。ゴム忘れた」と苦笑い。 「とってくるから待ってて」  ん、と頷いて、ちょっと俯きながら玲央を見送った。  ゴム。……なんか今からします、て言ってるみたいで、いまだに普通に聞けないというか。恥ずかしいというか。  あ、でも今からするのは分かってるし、したいんだけど。何回もしてても、恥ずかしいんだよね。  もどってきた玲央が、ぽん、と枕元に箱とローションぽい入れ物を置いた。  持ってきてたんだ。と思うと。ちょっとまた恥ずかしい。  反応できないまま黙ってたら、玲央が、クスクス笑って、オレを引き寄せた。 「優月って、ゴムとかそういうの話すの恥ずかしい?」 「……」  まさに今それを考えてた。 「抱こうと思ってたから、来るとき荷物に入れてきたんだけど……持ってきたことがもう、恥ずかしいって感じ?」  玲央がそんな風に聞きながら、オレを見つめてくる。 「んー……うん」  もう正直に頷くと、玲央は、そっか、と楽しそうに笑う。  ……何で楽しそうなんだろ? と思いながら、気になることを話すことにした。 「ごめんね、必要なの分かってるし。恥ずかしいとか言ってるのも変だよね?」  全部玲央に用意してもらって、ちょっと申し訳ないような気までしてきて。  少ししょんぼりで俯くと。 「え? 違うし」  玲央が意外そうな声を出して、オレの顎をつまんであげさせた。 「なんかもう……いつまでもそのまんまでもいてほしい」  クスクス笑いながら、ちゅ、と頬にキスされる。 「……?」  そのまんまって……良く分からない発言だった、今。 「……え。いいの?」 「え、何でダメだと思ってんの? べつに優月が少しずつ慣れて、恥ずかしがらなくなっても別にいいんだけどさ」  クスクス笑いながら、ちゅ、と口にキスされる。 「まだ今、本気で恥ずかしがってるとこ、もう、すげえ可愛いし」  顔や唇に、ちゅ、ちゅ、とキスがいっぱい触れてくる。 「え。……そっちなの?」 「そっちって?」 「……全部玲央に準備任せちゃってるし、なのになんか、恥ずかしいとか言っててなんか……」 「全然いいけど。つか、そっちで考えてたのか……」  そこまで言った玲央の唇が、深く重なってくる。  舌が絡んできて、ちゅ、と吸われる。 「……ン、ん……」  すぐに熱くなる息。ふ、と唇が離れて玲央を見上げると。 「ゴムとかの単語恥ずかしがるの、可愛いんだよな……」 「……」  玲央って。  ……ほんと、なんでも可愛いって言ってくれる気がして、もう、すごい不思議。 「つか、高校ん時とかさ、そういうの普通に話す友達、居なかった?」  オレをベッドにゆっくり押し倒しながら、玲央が普通にそんな風に聞いてくる。 「エロい話ばっかりするような奴、居ただろ?」 「ん、居たけど……」 「どうしてたの?」 「あんまりオレには話さなかったような気がするような……少し離れたところで言ってるのは聞いたことある」  上に押し乗ってきた玲央を、ドキドキ見上げながら、そう言うと。  あーーなるほど、と玲央が笑う。 「そういう奴らも、あんまり純すぎると、言えないのか……」  玲央がクスクス笑いながら、オレの顔の横に手をついて見下ろしてくる。 「どんだけ抱いても、普段の優月はなんか綺麗なまんまだもんな」  綺麗なまんまとか言われると、なんだか良く分からないし、なんか、それもいいのかなっていう……複雑な感じで、玲央を見上げてると、ふ、と笑った玲央に、ちゅ、と頬にキスされた。  そのまま、首筋に舌が這って、ぞく、として震えると。 「――――でも今から、乱すから」  途端に雰囲気が、がらっと変わる玲央に見つめられると、息もちゃんとできてないような気がしてくる。  ドキドキして、胸が苦しい。 「いっぱい、色っぽくなって」 「……オレ、色っぽくない、よね?」 「んー。それ、後で分からせてやるよ」  くす、と笑って、玲央がそう言う。  どういう意味か分からなかったけど。   肌に触れられて深くキスされて、すぐ、何も考えられなくなってしまう。

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