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第751話◇

 優月を抱きしめて、ふわふわ撫でながら、なんとなく考える。  優月は元から優しいとか言うけど。  オレは、優月に会って、絶対変わったと思う。優月に会って、優月を愛しいなと思うその状態で、周りを見ると、今までと違う感じで見えてきたって気もする。  セフレで適当に付き合ってるとかじゃなくて。  男の優月を本気で好きで恋人として付き合うと言っても、優月とオレのことを、本気で応援してるっぽいメンバーとか、周囲の人達。  偏見とかがあるのかないのかは知らないが、多分、オレと優月の想いを認めてくれて、優月のことも仲間に引き入れてくれた。  そんなようなこと思いながら過ごしてると、なんか、不思議と周りも大事に見えてきて。店の人に優しいとか それも多分 優月に会って変わったんじゃないかなと思う。  別に昔から冷たくはしてなかったかもしれない。知名度あるし、下手なことしたらSNSで広がるし。なんかそういうので、外面を保ってた面がある気がする。けど、今はなんとなく、普通に優しく接してる、ような気がする。  それは多分 優月に会ったからだよなー……。 「んん?」  頬をぶに、と潰しながら、見つめると、じ、と見つめ返してくる。 「可愛い」 「………」  きょとん、としてる様も、可愛い。  その後、ふふ、と嬉しそうに笑うのも。  誰かを大事だと思うと、周りも大事に見えてくるのかも。とか。  思ったりする。 「……何でお前は、そんな可愛いのかな」 「うーん……オレが可愛いってよりは……」 「ん?」 「玲央の目にだけ、そう見えてるだけ……かも??」  首を傾げながら、そう言う。 「玲央って、オレのこと、初めて見た時、可愛いって、思った?」 「ん? 初めての時?」 「うん。クロのところで会った時」  初めて会った時か。  ……どうだっけ。  なんか無邪気な笑顔を、乱したいなって思ったのが、最初だったような。 「玲央、オレのこと好みじゃないって何回か言ってたしー」  クスクス笑いながら、悪戯っぽく見つめてくる。 「それって、傷ついてた?」 「えと。いや……そうでもなかったかなあ……玲央に好みって言われた方が不思議だったかも」  クスクス笑って言うので、その頬にすり、と手を寄せる。 「それはセフレとしての好みで」 「うん。セフレとしては好みじゃないってことだったって、後から言ってくれたよ」 「……セフレにしたかったわけじゃなかった。最初から」 「――――……」  優月は、ふ、とオレを見つめて笑う。 「オレはセフレになる気満々だった。……したことも、ないのにね。今考えるとおかしいよね」  優月は、そう言うと、オレにすりと頬を寄せて、抱き付いてきた。 「……なんか。それでもいいから、玲央と居たかったから……」 「――――……」 「今、こんな風にくっついていられて、ほんとに嬉しい」  すりすりすり。  めちゃくちゃすりすりされて、笑ってしまう。 「明日は希生さんちにも行っちゃうし! なんかやっぱり、ちょっとドキドキしてきたかも」  ぱ、と離れて、なんだか一生懸命な顔をしてる。 「でもなんか、蒼くんと先生がいるのもなんか不思議で」 「そうだな……まあなんか、今思ったけど」 「ん?」 「どっちも、オレらを大事だと思ってる人達だと思う、から」 「――――……」 「悪い風には、ならないって気がする」  そう言うと、優月はじっとオレを見て。  それから、ふ、と嬉しそうに笑って、うん、と頷いた。 (2023/11/1) ◇ ◇ ◇ ◇ お知らせ♡ 今日からアルファポリスでBL大賞が始まりました♡ 恋なんかじゃないもエントリーしてます♡ 新作も2つ、エントリーしてみました。 というかいっぱいエントリーしてます。 書けるだけ書こうかと(´∀`*) 閲覧だけでも応援になりますので💖 読みにいらして頂けたら嬉しいです(*´艸`*)♡ https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/551897599

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