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第800話◇

「オレは、応援隊でいいんだけどな?」  むしろ玲央がやるとこ、見たかっただけのような。  玲央と蒼くんの戦いなんて、なんかすごそうだし。  オレは入ってはいけないやつでは……?  考えてるオレに、「ちゃんと教えてやるから」と玲央が笑う。  ん? 玲央に教えてもらえる……? 「あ、うん。じゃあ、お願いします」  現金だけど、なんだかすぐ嬉しくなってそう言うと、ぷ、と玲央が笑って頷いた。 「お前……ちょろいな」  蒼くんが呆れたように笑っているけど、オレは嬉しいから、ニコニコで、うん、と頷く。と、まあさらに笑われるのだけど。 「じゃあ、あとで楽しんでおいでね。まあ、キューの握り方さえ覚えればどうにか打てるから」  と、希生さんが笑いながら言う。 「ところで、優月くん、ブラックは飲める?」 「普段はあんまり飲まないですけど」  答えながら対面カウンターに近づいて、希生さんの正面に立つ。 「いつもカフェオレ飲んでるよ。たっぷりミルクの」  隣に玲央が立って、そう言ってクスクス笑う。 「少しブラックで飲んでみるかい? 良い豆だから苦みも出なくて美味しいかもしれない」 「飲んでみたいです」 「ダメだったら、たっぷりミルク入れてね。とりあえず味見だけ」  クスクス笑う希生さんに、はい、と頷く。 「ブラック、ほとんど飲まないよな? ちゃんと飲むの初?」  玲央がそんな風に聞いてくる。 「飲んだことはあるよ。飲めない訳じゃないの。なんとなくミルク入れちゃうけど」  そか、と玲央は笑う。「美味しいと思うよ。香り、楽しんでみる感じで飲んでみな」と言われて、ふむふむ、そう言う飲み方は初体験かも、と頷いていると。  ふ、と笑った玲央が、オレの頭をよしよし、と撫でた。 「ん?」  何で撫でたんだろうと思いながら玲央を見上げる。  玲央、もう、オレを撫でるのは解禁にしたんだろうなぁと思うと、、ちょっと可笑しいけど。 「なんか、ここ来てから新しいことばっかで、いっぱいいっぱいになってない? 平気?」  優しく微笑んでくれる玲央と言葉に。  きゅ、と心がときめく。  一瞬で感極まっちゃうのか、涙が滲みそうになるから、ほんと困る。  たしかにここ、びっくりなことがいっぱいある。  すごいなーって思いっぱなし。  でも、なんか。そういえばずっと玲央が隣でフォローしてくれてるみたいな気がしてた。 「平気。ありがと、玲央」 「ん。コーヒー飲んだら、庭散歩しよ。ちょっと外の空気吸って歩こうぜ」  ほんと、玲央、優しい。  こくこくこく。いっぱい頷いてしまう。  と、頷きながら、ふと違和感に気づく。 「どした?」 「庭、散歩……」 「ん?」 「庭って……散歩するものなんだっていう、新しい概念が生まれたところ」 「――ああ。そっか」  ぷ、と玲央が笑いながらオレを見て、「色々咲いてるし飼ってるから楽しいよ」と追加情報。わー、そうなんだ。ん? 色々飼ってる? 鯉の他に? 何だろ、楽しみ。  普通のお家の庭は散歩するってものじゃないもんね。 「花も、綺麗だよ。な、じーちゃん」   そう言った玲央に、希生さんが、ん、と頷いて微笑んだ。  

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