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第831話◇

 翌朝、目を開けて、見慣れない天井を見つめてから、隣に目を向ける。  玲央はまだ眠ってた。緩く包まれたままの腕の中から、玲央を見上げる。  昨日、曲を聞きながら眠っちゃったんだなあと、思いながら、玲央を見つめる。  たまーに、玲央の寝顔を見れるたびに、なんだかとっても得した気分。得って変かな。でも、すごい、そんな感じ。もう何回、こうして一緒に寝てるんだろう。     ……うーん。  カッコいい。綺麗。……大好き。大好きすぎる。  造形として、完璧……見惚れちゃうし。誰かスケッチブックをオレにください!!って思うけど、でも玲央は、起きちゃうから無理。  睫毛、長い。綺麗。  この瞼が開いて、玲央の瞳がオレを見てくれるとこを想像すると、勝手に、胸がきゅんとする。 「――――……」  今日は朝ごはんの後、玲央がお茶をたててくれるって言ってたなぁ……。  蒼くんは早めにお仕事行っちゃうって言ってたけど……。  玲央のお父さん、お母さんには会えるかな。  ……ってオレってば、急ぎすぎかな。  でも、どんな感じの人なのか、見てみたいなーっていうワクワクは、なんか昨日もっと高まったんだよね……。  特にお父さんは、希生さんの息子で玲央のお父さん……なんだもん。  最強の遺伝子っぽい。  見た目もそうだと思うけど、中身、絶対カッコいい気がする。  希生さんは、おじいちゃんとしては、玲央が幸せなら応援するって言ってた。玲央のお父さんは、何ていうのかなぁ。 「――――……」  玲央を眺めたまま、色々考えていたら、ふ、と静かに玲央が瞳を開けた。  すぐにオレに視線が向いて、ふ、と微笑む。 「はよ、優月」 「おはよ」  優しい笑い方。  朝から、ほっこりだ。そう思っていると。 「なんか、朝から楽しそうだな?」 「え。そう?」 「楽しそうな顔、してた」 「んー……ちょっとワクワクしてた、かも」  そう言うと、頬に触れた玲央が頬を摘まむ。 「わくわく? 何考えてた?」 「えーと……玲央のお父さんって、カッコいいだろうなあって」 「――――オレの親父?」 「うん。もともとさ、楽しみって言ってたけど……昨日、希生さんとたくさん話してさ、カッコいい人だなーって思って……だからよけいに、希生さんの子供で玲央のお父さん、ってなると、カッコよくない訳がないなーって思ったの。あ、見た目だけじゃなくて、中身がね。お話できるの、楽しみだなって思って」  面白そうなものを見るような顔で、オレを見てる玲央は、オレがそこまで話し終えると、ふ、と笑った。 「優月は、じいちゃんのことカッコいいと思うんだな」 「うん。希生さんも、玲央も」 「そっか。……んー、どうだろうな。親父は……」  少し考えた風に玲央がオレを見つめながら、ぽふぽふと頭を撫でてくる。 「蒼さんと、久先生も、カッコいいよな」  玲央の言葉に嬉しくなって、「うんうん」と頷く。 「あれかなぁ、カッコイイ人のところって、カッコいい人が集まるのかなあ? ほら、バンドのメンバーとかさ。あ、玲央のバンドの、女社長さんたちも、カッコよかったし」 「あぁ。甲斐のおばさんたちか」 「うんうん!」  先生と希生さんはすごく仲いいし、玲央と蒼くんもいい感じだし。  いいなあ。心とか生き方がカッコいいのって。ん。……待てよ??? 「どした?」  多分ちょっと変な顔をしたオレに、玲央が不思議そう。 「えーと……オレってば、ちゃっかり混ぜてもらってるけど……」  なんか大分雰囲気が違うのは、なんか自分で納得できるような。  ふふ、と笑ってしまうと。  玲央が、ふ、と柔らかく微笑んだ。 「優月もカッコいいよ……つか、オレは優月が、誰より強くてカッコイイと思うし」 「……んん? ん。ありがと」  気を使わせてしまった、と思ったけど、ちゅ、と頬にキスされて、ぎゅむーっと抱き締められたので、そのまま、玲央の腕の中に埋まることにした。 ◇ ◇ ◇ ◇ (2024/5/9) 今日は練乳かき氷を食べながら書いてました(*´ω`*) あまい?(笑)(๑´ლ`๑)フフ♡

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