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第839話◇ライブ準備
結局オレと玲央も、蒼くんのすぐあとで希生さんの家からは帰ることになって、荷物を用意。玄関に行く途中、お手伝いさんたちに会って「お世話になりました」とあいさつ。荷物を持って、希生さんと先生とお別れした。
「――――……」
車で門を出て、道路を走りだす。
何だか、ほ、と息をついて、すぐに言葉が出てこない。
別に緊張してたつもりは無かったんだけど、なんとなく力が抜けた、というか。昨日、希生さんちに入ってから、今まで、なんだか、盛沢山すぎて、ほんとなんか濃密だったなあ……と、ぼんやり思い出す。
「どうだった?」
「ん?」
「じいちゃんの家。何が一番残ってる?」
そんな風に聞かれて、んー、と考えて。
「――――玲央の鯉?」
笑ってしまいながら言うと、「ああ」と、玲央もクスクス笑う。
「綺麗だったなー、金色の鯉……」
ふふ、と笑ってそう言ってから、少し黙って、玲央に視線を向ける。
「んー……あのね、玲央……なんかね。何が特別ってことは、ないかも」
そう言うと、玲央がちらっとオレに視線を向けてから前を向いた。口角を少し上げて、微笑んでくれるから、多分、言いたいことは、分かってるくれてる気はするけど。
「全部。なんか、大事だった」
そう、短く口にすると。
「――――ん。そっか」
優月らしい。
そう言って、玲央が、笑う。
オレらしいかな? と思いながらも。
「すごく、楽しかった。……連れてってくれて、ありがと」
「――ああ。つか……」
信号で止まると、玲央はオレの腕を引いた。近づくと、重なってくる唇。
すぐに、少しだけ離れて、見つめ合う。
「……こっちこそありがと、来てくれて」
玲央の瞳が優しく細められて、口元が綻ぶ。
「――うん」
嬉しくなって笑うと、すり、と頬を撫でられる。
……この撫で方、ほんとに、好き。
そう思ってると、オレをじっと見てた玲央が、よしよしと頭を撫でてから離れて、前を向いた。
「――――……なんか昨日から、生殺し気分が、半端ないんだよな……」
「え」
「……早くついたら、ホテル行く?」
「え……」
まだ赤なので、玲央はハンドルを握ったまま、オレを見つめる。
え。本気?? 冗談???
答えに困ってると、玲央は、ふ、と吹き出して、また前を向く。
「か、からかわないでね……」
ほんとにオレ、どっちか分かんないんだから。
と、むー、と眉を顰めながら言ったら。
「からかってないよ」
と、玲央。
そこで信号が青になってしまって、車、発進。
「……からかってないの??」
……ん? からかってないってどういう意味??
と考えていると。
「本気で言った、ホテル行く? って」
「――――」
こんな、明るい、日曜の午前中。
玲央が言ってることがなんか、あてはまらないんだけど。
本気で行くって。ホテル。……って、オレと、そういうこと、したいってこと、なのかな??
と、思うと。
かぁぁっと、顔が熱くなる。
「……あんまりゆっくりはできないけど。繋がれたらいいなーと思っちまっただけ」
「――――……っっ」
繋がる、とか。
普通の言葉なのに、そんな風に使われると、恥ずかしくて無理かも……。
「……優月?」
今はこっちを見れないみたいで、玲央が、オレを呼ぶ。
「何思ってる?」
そう聞かれて。
……何を思ってるって。えーと……。
「……玲央が言ってることが、恥ずかしい……」
顔、熱い。
そう言ったら、玲央ってば、めちゃくちゃ楽しそうにクスクス笑って、「ごめん」と言ってくる。
笑った顔、ほんと。キラキラしてて。なんかこんな人と、こんな会話をしてて、こんな風に二人で居られること、まだなんか、不思議感はいっぱいなんだよね、と、ぽー、と玲央を見つめてしまう。
(2024/6/15)
ちょっと質問。どっちがいいかな…。
🌸ふたりきりデートと、🌸バンドの皆合流か。
どっちにしようかずっと迷ってて、多数決というよりは参考に……。
マシュマロ(これに関しては返信しません)でもコメでも、なんでもいいので。
✽(*>ω<人)よろしくお願いします♡
あ、どっちでもいい方はお任せください(っ´ω`c)
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