853 / 853
第859話◇
「ピザおいしー」
「なー」
オレと勇紀は、味の好みがよく合うと思う。
いっつもおいしいって思うもの、一緒。だからよく食べに行くのも、楽しかったし。
ふふ、と笑い合ってると、玲央が、話し始めた。
「前に優月が見にきた練習場所はよく行くけど……でも学校のライブまでは、やっぱり学校で練習する方が多いか?」
玲央の言葉に、「優月が行きたい教習所を先に決めたら」と颯也が返した。
「練習するとこは、意外と色んなとこにあるからさ」
「オレの教習所……教習所って、なにで選んだ? 決め手は??」
んー、と考えていると。皆もちょっと考えながら。
「通いやすさじゃねえの。短期間で取るなら、結構頻繁に通うから」
「ていうか、玲央の迎えの行きやすさも入るから面白いよね~」
甲斐の言葉に勇紀が笑いながら言う。
「あとは料金は……親に出してもらう感じ?」
「うん。何かあった時に運転頼むから出すよって。でもなるべく安いとこがいいなぁ」
「あれなんだよねー、検定とか落ちるとさ、追加費用がかかるとこもあるから、そこら辺はチェックした方がいいよ。初期で払うの安いけど、そういうのが高くて最終的に結構払うとかもあるし。まあ、補習とか高いとこあるし。落ちなきゃいいんだけど」
「えー……そういうの、皆は、落ちたことある??」
ふと聞いてみたのだけれど、皆は、首を振りながら、お互いを見てる。
「あ、落ちたことない?」
「無い」
「あ、そうなんだ。そんなに落ちないものなんだ?」
と言って、ほっとしたところで、ふと、気付く。
……いや、なんか違う気がする。
ここの皆さん、そういうの落ちない方々なんじゃ……。
「あのー、周りの友達とか、落ちてなかった?」
聞き方を変えてみると。
「ああ、結構落ちてたかも。な」
「そうそう、補習とかいっぱいになってて、取れないとか言ってたりしてたし」
玲央と勇紀が苦笑してる。
……ああ、やっぱり。なんかそんな気がした。
「じゃあその落ちた時の金額も確認する。あとはー??」
「一番は指導してくれる人の評判じゃねえの」
颯也の言葉に「それそれ!」と勇紀が苦笑する。
「口コミ見た方がいいよ。友達で今実際行ってる人に聞くとか。対応がヤバいとこもあるみたいだし。必要以上に怖いとかさ。やでしょ、緊張して車運転してるのに、横に怖い人が、とか」
「……いやかも……」
ドキドキしちゃいそう。
「優月なんて可愛く見えちゃうから、いじわるな人とか居たら困るよね! ね、玲央」
「――ん、まあ……」
そんな返事をしてから、ふと。
「優月に意地悪できる奴なんて居る?」
などと、玲央が真顔で言ってきて、オレもだけど、皆、一瞬首を傾げた。
「可愛がられて困る方じゃねえの」
なんだか恥ずかしくなって、ぼぼ、と赤くなってると、三人は、はあ、とため息をついて。
「ハイ次、いこ。あとは、何だろ、選ぶポイント……」
勇紀が話を進めると、なんなのお前ら、と玲央が言うけど。すぐに、お前がなんなの、と皆に一斉にツッコミを入れられていた。
なんだかもうやりとりが、面白くて、笑ってしまうと、玲央に、笑うなよ、と優しく笑われる。見つめられると、ドキ、と震える胸はもうどうしようもできないけど。
すぐそういう感じにもってくのやめろよーと、勇紀がオレを引いて、玲央から離した。
ち、と玲央がつまんなさそうに言って。
なんか皆は、面白そうに笑ってる。
(2024/11/15)
昨日のお知らせ、見て下さった方、コメントくださった方、ありがとうございました。
すみません、ページは消しちゃうのでお礼はこちらで(⋈◍>◡<◍)。✧♡
ともだちにシェアしよう!