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第859話◇

「ピザおいしー」 「なー」  オレと勇紀は、味の好みがよく合うと思う。  いっつもおいしいって思うもの、一緒。だからよく食べに行くのも、楽しかったし。  ふふ、と笑い合ってると、玲央が、話し始めた。 「前に優月が見にきた練習場所はよく行くけど……でも学校のライブまでは、やっぱり学校で練習する方が多いか?」  玲央の言葉に、「優月が行きたい教習所を先に決めたら」と颯也が返した。 「練習するとこは、意外と色んなとこにあるからさ」 「オレの教習所……教習所って、なにで選んだ? 決め手は??」  んー、と考えていると。皆もちょっと考えながら。 「通いやすさじゃねえの。短期間で取るなら、結構頻繁に通うから」 「ていうか、玲央の迎えの行きやすさも入るから面白いよね~」  甲斐の言葉に勇紀が笑いながら言う。 「あとは料金は……親に出してもらう感じ?」 「うん。何かあった時に運転頼むから出すよって。でもなるべく安いとこがいいなぁ」 「あれなんだよねー、検定とか落ちるとさ、追加費用がかかるとこもあるから、そこら辺はチェックした方がいいよ。初期で払うの安いけど、そういうのが高くて最終的に結構払うとかもあるし。まあ、補習とか高いとこあるし。落ちなきゃいいんだけど」 「えー……そういうの、皆は、落ちたことある??」  ふと聞いてみたのだけれど、皆は、首を振りながら、お互いを見てる。 「あ、落ちたことない?」 「無い」 「あ、そうなんだ。そんなに落ちないものなんだ?」  と言って、ほっとしたところで、ふと、気付く。  ……いや、なんか違う気がする。  ここの皆さん、そういうの落ちない方々なんじゃ……。 「あのー、周りの友達とか、落ちてなかった?」  聞き方を変えてみると。 「ああ、結構落ちてたかも。な」 「そうそう、補習とかいっぱいになってて、取れないとか言ってたりしてたし」  玲央と勇紀が苦笑してる。  ……ああ、やっぱり。なんかそんな気がした。 「じゃあその落ちた時の金額も確認する。あとはー??」 「一番は指導してくれる人の評判じゃねえの」  颯也の言葉に「それそれ!」と勇紀が苦笑する。 「口コミ見た方がいいよ。友達で今実際行ってる人に聞くとか。対応がヤバいとこもあるみたいだし。必要以上に怖いとかさ。やでしょ、緊張して車運転してるのに、横に怖い人が、とか」 「……いやかも……」  ドキドキしちゃいそう。 「優月なんて可愛く見えちゃうから、いじわるな人とか居たら困るよね! ね、玲央」 「――ん、まあ……」  そんな返事をしてから、ふと。 「優月に意地悪できる奴なんて居る?」  などと、玲央が真顔で言ってきて、オレもだけど、皆、一瞬首を傾げた。 「可愛がられて困る方じゃねえの」  なんだか恥ずかしくなって、ぼぼ、と赤くなってると、三人は、はあ、とため息をついて。 「ハイ次、いこ。あとは、何だろ、選ぶポイント……」  勇紀が話を進めると、なんなのお前ら、と玲央が言うけど。すぐに、お前がなんなの、と皆に一斉にツッコミを入れられていた。  なんだかもうやりとりが、面白くて、笑ってしまうと、玲央に、笑うなよ、と優しく笑われる。見つめられると、ドキ、と震える胸はもうどうしようもできないけど。  すぐそういう感じにもってくのやめろよーと、勇紀がオレを引いて、玲央から離した。  ち、と玲央がつまんなさそうに言って。  なんか皆は、面白そうに笑ってる。 (2024/11/15) 昨日のお知らせ、見て下さった方、コメントくださった方、ありがとうございました。 すみません、ページは消しちゃうのでお礼はこちらで(⋈◍>◡<◍)。✧♡

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