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第868話◇ ※

 前から抱き締め直して、抱いた。  手加減は……立ったままだから、多少はしたけど。   優月はもういっぱいいっぱいな感じで。  めちゃくちゃ気持ち良さそうな顔をしていて、死ぬほど可愛かった。  好きな奴を抱くって。  ――――……ただそれだけで、こんなにイイんだなと。  可愛いとか愛しいとかそんなのしか無くなった、熱くてのぼせた頭の中で考えていた。 ◇ ◇ ◇ ◇ 「……んー…」  バスタブの中に入って、お湯を出す。少しずつ溜まってく中で、優月がバスタブの縁に寄りかかった。腕は完全にだらんと外側に垂らしてる。 「うー……」 「ん?」  ぐったりしてるので、オレもその隣に。バスタブの淵に腕をついて、優月を覗き込む。 「どした?」  なんとなく分かりはするけど、一応聞くと、優月はちらっとオレを見て、ぷう、と膨らんだ。 「……オレね、玲央とするのが、全部初めてだからさ。普通どうなのかとかが、よく分かんないんだけど……」 「うん」 「あ、あと、オレ、男だしさ。……普通どうなるのかなーて……余計分かんないというか」 「ん」  恥ずかしそうな微妙な感じに膨らんだまま、もちょもちょ喋ってるのが可愛くて、笑ってしまいそうなのだが。  とりあえず何を言いたいのかは聞こうと思って、笑いをこらえて頷いていると。 「……あんなにさ、めちゃくちゃ、になっちゃって、いいものなのか……」 「――――」 「もうなんか……オレ、おかしくない? は……反応、とか」  反応という言葉のどこにそんなに照れるのか、いまいち分からないけれど、めちゃくちゃ恥ずかしそうに俯いてる。……ん。ていうか、それって。 「それはさ――すっげえ気持ちよかったって、話?」 「…………っっ」  ぐっと言葉に詰まった優月が、オレを見つめたまま、かぁぁっと赤くなる。 「……ん、そう、なんだけど……」  ずるずるとまた前に落ちて行って、完全にぐったりバスタブの縁に覆いかぶさってる。 「ていうか……いつもだから今更なんだけどね……」 「――――」  顔をあげない優月が、いつこっちを見るかなあ、なんて、楽しく思いながら。ふ、と笑ってしまう。 「あんな風に……なっちゃうなんてさ、思いもしなかったっていうか……いいのかなあ、オレ……あれで……」 「ダメだと思ってンの?」 「……ダメ……? とかじゃないけど……自分の全部がなんか、思い起こしたら無理って言うか……鏡、恥ずかしかった……」  伸ばしていた手を口元にあてて、俯きながらそう言う。顔はまだこっちを見ていない。 「……優月」  顎に手をかけて、こっちを向かせる。「あ」とちょっと眉が寄った。  顔、赤い。――――……あー。なんだかなあ、もう、本当に。 「れ……」  ぐい、と引き寄せて、優月の唇を塞ぐ。  舌を絡ませて、頬をすり、と、なぞる。 「ン」  ぴくん、と震える。 「……んっ……ンン」  あー可愛い。もう、マジで可愛い。  ほんとヤバ。このまま、もう一回……? でも無理っぽいよな、と葛藤した瞬間。  優月が、小さく首を振った。ぷるぷる、小刻みな感じで。  仕方なく少しだけ唇を離すと。 「ふ。……あ、も、今無理……」  顔はもうすぐ、とろとろになるのに。  なんだか涙目で真っ赤。 「今は……オレ、死んじゃうかもしれないから、こわい……」 「死んじゃう、のか?」 「だってまだなんか、ずっと……中、きもちくて」 「――――……」 「今したら、オレ、もう無理……」  そんなこと言って、人をマジでその気にさせておいて、無理って。  ……そんなこと言われたら、もう今すぐにでも、中に突っ込んで、もう、めちゃくちゃにしたくなるけれど。 「ほんとに死んじゃうと思う……」  ぷるぷるぷる。  小動物みたいに頭を振って、ぴくぴく震えてるのを見てると。    我慢か……。  ふー、と息を落ち着ける。……落ち着くか? これ。 「……つか、無理」 「えっ」 「……足、閉じてて。大丈夫、中には入れないから」 「え……っひゃ……!!」  後ろから優月の脚の間に、オレのを挿しいれる。後ろから、キスしながら。 「んん……っぅ、ン……」  ぽろぽろ涙をあふれ出した優月。  でも、頑張って振り返って、舌、合わせてくる。  可愛すぎ。  少し乱暴に動かすと同時に、優月のも擦りあげて、二人で達した。 「……ふ、ぁ……は……っ」    荒い息を噛みしめながら、優月はくる、とオレの方を向いて。 「……死んじゃう、てば……」  すりすりと、オレの胸にすり寄りながら、ぎゅ、と抱きついてくる。   「もー……玲央、の気持ちいの……もう、大変……」  むむむ、とちょっと頬が膨らんでる。 「……こんな気持ちいとか、玲央としか無い気がする……」  そんなセリフに。 「――――ん。無いな。絶対無いから」 「……ン……?」 「だからずっと、オレとだけしてろよな?」  きょとん、とした顔でオレを見て、それから、ふんわり笑って頷く。それから、「そういう話だっけ……?」と首を傾げながら、また、ふふ、と笑った。「そういう話だよ」と返しながら、頬にたくさん、キスをした。      ◇ ◇ ◇ ◇ (2025/2/5) おっ✨  にこにこの日、ですね♡ とめられない玲央くんですみません(๑´ლ`๑)フフ♡

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