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第892話◇
アイスを食べ終わると、玲央が思い出したようにくすっと笑った。
「さっきの話。ラブラブでいるにはってやつ、調べたい?」
「え。あー……」
覚えてたんだ、と苦笑しながら、オレはちょっと考えた。
「うーん……あの時は、つい見てみようと思ったんだけど……」
「ん」
「調べて、それをするのもいいけど――変に意識とかしない方が、いいかなあ?」
そう言うと、玲央は唇で笑みを形作ったまま、ゆっくり頷いた。
「確かに。分かってやってる、とかになると、ちょっと笑っちゃうかもな。でも、当たり前のことが書いてありそうな気もするけど」
「あー。そうだね。優しくする、とかかな?」
「どうだろな。まあ見ても変わんねえかな」
二人で頷きあって、この話は終わりかな、と思いきや、玲央が、ふ、とオレを見つめた。
「じゃあさ、何も見ずに考えてみる? ――オレたちがずっと仲良くしてくには、何が必要だと思う?」
そんな風に聞かれて、玲央を見上げる。
何が必要、かぁ。
「世間一般、じゃなくて――オレと優月で、な?」
「うん。えー……なんだろうね」
急に聞かれると考えちゃうね、と言ってから、オレは口元に手を当てた。
ずっと仲良く、かぁ……。
「んー……近くにいるって、大事かも」
「近く?」
「いつも一緒に居られるなら、時々離れても、大事さを忘れないと思うし」
「近くに、か」
「うん、近く。――玲央は?」
ふふ、と笑って頷くと、笑顔の玲央に、すぽ、と抱き締められた。
「――」
その背にそっと、手を回す。すり、と玲央の頬に頬をすり寄せた。
「確かに、それでいいかもな」
「……でしょ。触れるのって、大事だよね。あと、オレね?」
「ん?」
「玲央が、すごくいっぱい頭撫でてくれるのも好き」
「オレ、いっぱい撫でてる?」
「えっ。……撫でてない?」
撫でられてた気がしてたのだけど、と玲央を見上げると、玲央はちょっと首を傾げて、くすくす笑った。
「いや、撫でてる自覚はあるけど、そんなに「すごくいっぱい」って強調されるほどかなって。……いや、そう言われれば、つい、触ってるかもな」
「……無意識?」
「んー。そういう時もあるかも。癖になってるかな」
そんな風に言って笑う玲央に、オレも笑ってしまう。
癖になるくらい触ってくれてるのって、嬉しい。やっぱり触るのは大事だよね。と思っていると、玲央が話し出した。
「オレは最近思うのは、一緒にご飯を食べるのも、大事だと思ってる」
「うんうん。一緒に食べるの、いいよね。一緒に作るのも好き」
分かる分かる、と頷くと。玲央はふ、と微笑んだ。
「やっぱり一緒にいるってことにつながるんだな」
「うん。顔見て話すの、大事」
「――見てみる? ネットで答え。全然違ったりしてな」
「うん、いいよー」
玲央がスマホに触れるのを横から覗いていると。
「恋人とラブラブでいられる秘訣」というリンクがあって、玲央が開いた。
「んー……ありがとうを言う、だってさ」
「ありがとう、かぁ……」
それは言ってるかな、と思いながら次を待つ。
「あとは喧嘩してもその日に仲直りする、とか。嘘はつかない、とか」
「うんうん」
「デートとかサプライズプレゼントとか……ベッドの上でも積極的に――」
「――」
一瞬何て言って良いか分からずに黙ったオレを見て、玲央が途中でふ、と止まった。くす、と笑う玲央に「もういい?」と聞かれて、うん、と頷く。スマホの画面を閉じて、少しの沈黙。
なんとなく当たり前というか、まあそれはそうだなあということが並んでた気がする。けど。
「ふぅん……」
「ふーん……」
オレが漏らしたとほぼ同時に、玲央も隣で同じ言葉。
二人で顔を見合わせて
どちらからともなく、笑ってしまう。
「ふうんって感じだったよな」
「うん」
頷くと、玲央はオレの肩を引き寄せて、すぐ近くでオレを見つめた。
「オレ達は、このままいけばいいかな」
「うん。それでいいかも」
「喧嘩とかするようになったら、考えよ」
「うんうん。玲央とオレ、するかなあ、喧嘩」
「どうだろうな?」
二人で呑気に言いながら。
「仲直りは早くした方がいいって。それは同感」
「オレもそう思う」
玲央はくすくす笑いながら、オレの頬に触れて、優しくさする。
ちゅ、と頬にキスされると、それだけで幸せで――色んなこと無くても、これだけでいいんじゃないのかなあ、と思った。
(2026/1/5)
読んでくださってありがとうございます。
2026年。最初の投稿は、恋なんかじゃないにしました。
ふわっと温かくなってもらえたら嬉しいです(*¯ω¯*)ウフ
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