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第908話◇
「ん……」
玲央の舌。きもちいい。
……んー……好き。玲央。
ぎゅ、と玲央の背中にしがみついて、玲央の洋服、握り締める。
「……ふ、……は」
やわらかく触れてくる熱い舌が、口の中で動く。
ぞく、と、体の奥の方が、疼く。
玲央の手が顎を押さえて、より深く重ねて――オレの瞳に涙が滲んだ。
熱つ……。思った瞬間、そっと唇が離れて、玲央がオレを見つめた。
「――かわい」
多分すごく潤んでるオレの瞳を見ると、唇を緩ませて微笑んで、瞼にキスしてくる。
「これ以上してると、最後までいっちゃいそうだから、いったん休憩な」
「……っ」
「とりあえず紅茶、な」
そんなこと言ってるくせに、玲央はオレの頭やら頬やらをすりすり撫でて、全然放してくれない。
「……んー、ごめん、なんか可愛くて」
そのまま、またすぽ、と抱き締められる。
「なんかさ、優月――オレさ」
「うん……?」
「母さんにあんな風に、紹介できて――嬉しいのかも」
「……そう、なの?」
「ん。……多分、母さん、すげえ喜んでたし」
言いながら、髪や額に、ちゅ、とキスを繰り返す。
「なんか、言葉にしたら余計にさ……優月のこと、好きなんだなって、実感した」
「――ん、分かる」
「分かる?」
「うん。言葉にすると、余計に実感するって、すごく分かる」
そう言いながら見上げると、玲央は少しの間、黙ってオレを見つめた。
それから、やわらかく目を細めると、オレの頬にまた、すり、と手を這わせた。
「――やっぱりさ。優月のが、うつってるのかもしれない」
「うつってる?」
「そう。素直に口に出すのが」
「……そう、なのかな?」
「うん。――そんな気がする」
クスクス笑い合った後、「あ」と玲央がオレを離して、紅茶を注ぎ始める。
「んー、かなり濃いかも、紅茶」
「確かに……ふふ。ミルクティーにしよ~」
「ん」
オレはハチミツも入れて、ほくほく。ローテーブルに紅茶を置いて、並んでソファに座る。
カップを手にとり、一口飲むと、幸せな温かさに顔が緩む。
「おいし~」
同じように一口飲んだ玲央と、湯気の立つカップを並べて置いて、背もたれに少し寄っかかる。
隣に座った玲央の腕にちょっと近づいて、ぴと、とくっつく。
ちら、とオレを見下ろして、ふ、と笑う玲央。
「香澄さんに会えて、嬉しかった」
「それは母さんも一緒」
玲央の腕が、自然にオレの肩に回る。より引き寄せられて、肩から太ももまで、密着する。
静かな部屋で、ぴったりくっついたまま。
さっきのことを色々思い返しながら。ふと思って、口にする。
「――玲央のお父さんにも、会いたいね」
「そうだな。……てか、オレ、父さんが一番強敵だと思ってるんだけど」
「でも、香澄さんは、大丈夫そうなこと言ってたよね」
「んー……」
少し考えた後、玲央は、ふ、と小さく笑みをこぼした。
「ん?」
不思議に思って見上げると、おかしそうに目を細めながら、オレを見つめてくる。
「なんかオレ――優月なら、誰が相手でも、平気な気がしてきた」
「そんなことはないと思うけど……」
「いや。多分、大丈夫」
「……そう??」
そうかなぁ、と考えていると。
そのまま引き寄せられて、またすっぽりと腕の中。
「よく考えたら、オレみたいな奴がこんなになってんだし――」
「――」
「もう、誰でも、平気だと思えてきた」
く、と笑いながら言う玲央に。
「玲央が基準なの……?」
「そう。オレが平気なんだから、平気だと思う」
オレを抱き締めてる玲央の体が、揺れてる。
なんだか可笑しくなってしまって、くすくす笑いながら。オレは、きゅ、と抱きついた。
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