905 / 907

第913話◇

 京都の話で盛り上がっていたら、ふと玲央のスマホが震えた。 「母さんだ……」  そう言って、ちょっとの間、無言。その後、ぷ、と笑った。  なんだか嬉しそうに笑っているので、じっと顔を見てると、玲央がオレに視線を向けた。目が合うと、ふわ、と微笑む。 「――今日、すごく幸せな気持ちになった、だって」 「……そうなの?」 「玲央があんな風に言える人と出会って一緒にいられて嬉しい、だってさ」 「――そう、なんだ」  ……わぁ。なんか。  それ、オレもだなぁ。  あんな風に言ってくれる玲央と一緒にいられて、嬉しい。  ふふ、と笑ったオレに、玲央は「ん?」と首を傾げる。  ――玲央が、オレのことを見て、オレの言いたいことを聞こうとしてくれる、まっすぐな瞳が。大好き。 「オレも、玲央といられて、嬉しいから。ふふ」 「――まあ、それはオレも」 「じゃあ……皆、嬉しくて、よかったね」 「――……」  玲央はちょっとの間考えて、それから、おかしそうに笑って、そうだな、と言った。ゆっくり頬に触れた玲央の手に、どき、と胸が震える。  傾けられた玲央の顔がゆっくりと近づいてくる。  何度キスしても。どれだけ、一緒にいても。  ドキドキしちゃうな……。  柔らかく触れたキスに瞳を伏せると、そのまま深く重なってくる。  舌が、唇をなぞって――ゾクゾクしてるオレの舌に触れ合わせた。 「……ふ……っ」  声が漏れると、玲央の手が首筋をなぞった。びく、と肩が小さく震える。  ――玲央の手、熱い。  オレに、熱くなってくれるの。……嬉しいな。 「あのさ、玲央……?」 「ん?」  唇の間で問いかけると、頬にキスを移しながら、オレの言葉を待ってくれている。 「なんて言うか――幸せだなーて思って……どうしていいか分かんないや。……夏休みも楽しみだけど、なんかもう……玲央とすること、ぜんぶ、特別な気がする……」  頬にちゅっちゅとキスされながら、そこまで言ったら、オレを覗きこんで、玲央がふっと目を細めた。  その瞳に――なんだか、すごく熱が宿るのがわかる。 「……オレとしかしない、特別なこと、しようか」 「――」  ……玲央としかしない、特別なこと。  それを聞いた時、玲央がそんな目をした理由が分かった気がした。  ぱぱぱっといろいろ浮かんできて、一気に顔が熱くなった。  うわわ。耳まで熱い……。 「――いま、何考えた?」 「……ひゃ……っ」  めちゃくちゃ熱い耳に玲央の手がかかって、びくっと震え瞬間、反対の耳に歯を立てられて、声も出ずに身を竦めた。 「何考えて、そんなに熱くなっちゃったのか、言ってみな?」 「……っひ……、ゃ、くすぐ……っ」  舌を這わされて、反対の耳には指が入ってきて、くすぐる。  ぞわぞわした感覚が一気に背中を駆け上がって、震える。 「……っん」  吐息が、一気に熱を持って――玲央の指や舌がほんの少し動くだけでも、オレの体は大げさに震える。  怜央の吐息も熱くて、それが耳を掠めるたびに、どんどん心臓の音がうるさくなって――オレは、掴んでいた玲央のシャツをぎゅっと握りしめた。 「……玲、央」 「……優月」  オレの名前を呼ぶ声すらもう、いつもよりずっとずっと甘くて、熱い。    さっきまでわちゃわちゃと楽しく話していた京都の鹿も。  香澄さんからのメッセージも。  一瞬で、遠い世界の出来事みたいに霞んでいく。  今はただ、目の前の玲央がくれる熱と、重なっていく鼓動の速さだけが。  もう、この世界のなかで、オレの全部で。  幸せすぎて――幸せなのに、胸がきゅんとして、苦しい。  甘いのに。熱くて。幸せなのに、少し、たいせつすぎて、切ない。 「……玲央……キス……したい、いっぱい……」  自分でも、驚くほど。  素直に言ってしまった。  すると、玲央は少しだけ目を見開いたあと。  たまらなそうに笑って、オレをさらに抱きしめて、腕の中に囲った。 「――覚悟しろよ……?」  すこし掠れる声でそう言って。  再び重なってきた唇は、さっきよりもずっと深くて、熱かった。 ◆◇◆ Xにも書いたのですが…… 恋なんかじゃないを pixivでも投稿を始めることにしました! 実はこのお話、2021年の3月に書き始めたもので、私がこんなに小説を書くようになった、きっかけの作品なんです(´艸`) 私の作品の中で一番長く(150万字!) 一番多くの方に読んでいただけてる(各サイト計2万ブクマほど)大切なお話なのですが……。 勢いでごーっ!と書いてきた古い作品ということもあり、一番最初と今では、書くときに気を付けてることも違いまして…… 「いつか書き直したい」とずっと思っていました。 150万字という長さに怯んでいたのですが💦 今回ようやく決意を固めました! 1話ずつゆっくり、 より読みやすく書き直しながら投稿していきます。 将来的には、他サイトもこの「書き直し版」に合わせて更新していく予定です。「前の方が良かった」なんて言われないよう、精一杯頑張りますので♡ もしよかったら、既に読んでくださっている方も、新しくなった物語を覗きに来ていただけたら嬉しいです。プロフのところに、私の全投稿サイトへのリンク集があります(Litlink))https://lit.link/yuurinoprof で、ここからはXには書いていないのですが。 恋なんかじゃない、一旦ここで整えた後。 もっともっと、整えて、電子書籍にしようかなと思っています。 縦モードでも読める形で。 紙書籍にするには長すぎて大変なので、現実的ではないなと思っていてまだ考え中です。 でも、繰り返し読んでくださる皆さまに。 投稿サイトのページめくるとかせずに。広告とかも入らない状態で、 そしてもっと読みやすく。変なところとかもいろいろなくした状態でだしたいなと。 ただ、kindleアンリミに入れちゃうと、投稿サイトからおろさないといけなくなっちゃうので、購入して頂く形にするしかないのかなあ……とは思うのですが。 まあそんなことも、考えていますという、いま、夢の話です。 (まだpixivで二話目なのでね(´∀`*)ウフフ笑) そんな感じです。後書きながくてすみません💦 by星井悠里

ともだちにシェアしよう!