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第913話◇
京都の話で盛り上がっていたら、ふと玲央のスマホが震えた。
「母さんだ……」
そう言って、ちょっとの間、無言。その後、ぷ、と笑った。
なんだか嬉しそうに笑っているので、じっと顔を見てると、玲央がオレに視線を向けた。目が合うと、ふわ、と微笑む。
「――今日、すごく幸せな気持ちになった、だって」
「……そうなの?」
「玲央があんな風に言える人と出会って一緒にいられて嬉しい、だってさ」
「――そう、なんだ」
……わぁ。なんか。
それ、オレもだなぁ。
あんな風に言ってくれる玲央と一緒にいられて、嬉しい。
ふふ、と笑ったオレに、玲央は「ん?」と首を傾げる。
――玲央が、オレのことを見て、オレの言いたいことを聞こうとしてくれる、まっすぐな瞳が。大好き。
「オレも、玲央といられて、嬉しいから。ふふ」
「――まあ、それはオレも」
「じゃあ……皆、嬉しくて、よかったね」
「――……」
玲央はちょっとの間考えて、それから、おかしそうに笑って、そうだな、と言った。ゆっくり頬に触れた玲央の手に、どき、と胸が震える。
傾けられた玲央の顔がゆっくりと近づいてくる。
何度キスしても。どれだけ、一緒にいても。
ドキドキしちゃうな……。
柔らかく触れたキスに瞳を伏せると、そのまま深く重なってくる。
舌が、唇をなぞって――ゾクゾクしてるオレの舌に触れ合わせた。
「……ふ……っ」
声が漏れると、玲央の手が首筋をなぞった。びく、と肩が小さく震える。
――玲央の手、熱い。
オレに、熱くなってくれるの。……嬉しいな。
「あのさ、玲央……?」
「ん?」
唇の間で問いかけると、頬にキスを移しながら、オレの言葉を待ってくれている。
「なんて言うか――幸せだなーて思って……どうしていいか分かんないや。……夏休みも楽しみだけど、なんかもう……玲央とすること、ぜんぶ、特別な気がする……」
頬にちゅっちゅとキスされながら、そこまで言ったら、オレを覗きこんで、玲央がふっと目を細めた。
その瞳に――なんだか、すごく熱が宿るのがわかる。
「……オレとしかしない、特別なこと、しようか」
「――」
……玲央としかしない、特別なこと。
それを聞いた時、玲央がそんな目をした理由が分かった気がした。
ぱぱぱっといろいろ浮かんできて、一気に顔が熱くなった。
うわわ。耳まで熱い……。
「――いま、何考えた?」
「……ひゃ……っ」
めちゃくちゃ熱い耳に玲央の手がかかって、びくっと震え瞬間、反対の耳に歯を立てられて、声も出ずに身を竦めた。
「何考えて、そんなに熱くなっちゃったのか、言ってみな?」
「……っひ……、ゃ、くすぐ……っ」
舌を這わされて、反対の耳には指が入ってきて、くすぐる。
ぞわぞわした感覚が一気に背中を駆け上がって、震える。
「……っん」
吐息が、一気に熱を持って――玲央の指や舌がほんの少し動くだけでも、オレの体は大げさに震える。
怜央の吐息も熱くて、それが耳を掠めるたびに、どんどん心臓の音がうるさくなって――オレは、掴んでいた玲央のシャツをぎゅっと握りしめた。
「……玲、央」
「……優月」
オレの名前を呼ぶ声すらもう、いつもよりずっとずっと甘くて、熱い。
さっきまでわちゃわちゃと楽しく話していた京都の鹿も。
香澄さんからのメッセージも。
一瞬で、遠い世界の出来事みたいに霞んでいく。
今はただ、目の前の玲央がくれる熱と、重なっていく鼓動の速さだけが。
もう、この世界のなかで、オレの全部で。
幸せすぎて――幸せなのに、胸がきゅんとして、苦しい。
甘いのに。熱くて。幸せなのに、少し、たいせつすぎて、切ない。
「……玲央……キス……したい、いっぱい……」
自分でも、驚くほど。
素直に言ってしまった。
すると、玲央は少しだけ目を見開いたあと。
たまらなそうに笑って、オレをさらに抱きしめて、腕の中に囲った。
「――覚悟しろよ……?」
すこし掠れる声でそう言って。
再び重なってきた唇は、さっきよりもずっと深くて、熱かった。
◆◇◆
Xにも書いたのですが……
恋なんかじゃないを
pixivでも投稿を始めることにしました!
実はこのお話、2021年の3月に書き始めたもので、私がこんなに小説を書くようになった、きっかけの作品なんです(´艸`)
私の作品の中で一番長く(150万字!)
一番多くの方に読んでいただけてる(各サイト計2万ブクマほど)大切なお話なのですが……。
勢いでごーっ!と書いてきた古い作品ということもあり、一番最初と今では、書くときに気を付けてることも違いまして……
「いつか書き直したい」とずっと思っていました。
150万字という長さに怯んでいたのですが💦
今回ようやく決意を固めました!
1話ずつゆっくり、
より読みやすく書き直しながら投稿していきます。
将来的には、他サイトもこの「書き直し版」に合わせて更新していく予定です。「前の方が良かった」なんて言われないよう、精一杯頑張りますので♡
もしよかったら、既に読んでくださっている方も、新しくなった物語を覗きに来ていただけたら嬉しいです。プロフのところに、私の全投稿サイトへのリンク集があります(Litlink))https://lit.link/yuurinoprof
で、ここからはXには書いていないのですが。
恋なんかじゃない、一旦ここで整えた後。
もっともっと、整えて、電子書籍にしようかなと思っています。
縦モードでも読める形で。
紙書籍にするには長すぎて大変なので、現実的ではないなと思っていてまだ考え中です。
でも、繰り返し読んでくださる皆さまに。
投稿サイトのページめくるとかせずに。広告とかも入らない状態で、
そしてもっと読みやすく。変なところとかもいろいろなくした状態でだしたいなと。
ただ、kindleアンリミに入れちゃうと、投稿サイトからおろさないといけなくなっちゃうので、購入して頂く形にするしかないのかなあ……とは思うのですが。
まあそんなことも、考えていますという、いま、夢の話です。
(まだpixivで二話目なのでね(´∀`*)ウフフ笑)
そんな感じです。後書きながくてすみません💦
by星井悠里
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