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第924話

「まあ玲央のお母さんって、めっちゃオレらともしゃべってくれる人だもんね」  勇紀がそんな風に言って笑う。 「優月が玲央にとって、一緒にいた方がいいって思ったら、そりゃそうなるよな」 「確かにそうかも……見た目は玲央とおんなじでクールで綺麗なお母さんぽいのに、話し出すと、ほんと近所のおばちゃんて感じ」 「それは分かる」  勇紀の言葉に甲斐と颯也も続けた。 「玲央のお母さんはもう公認かぁ」  勇紀がそんな風に言って、優月を見つめる。 「優月はびっくりしただろうけど、それはよかったね」  優月は少し照れたみたいに微笑んで、ん、と頷いてる。  公認――その言葉でふと思い出した。 「そういや今週末、オレも一緒に、優月んち行くんだった」 「え?」  三人がオレを見つめてくる。颯也が顎に手を掛け、「まさか」と、眉を寄せながら、続ける。 「そのトーンだと、優月のマンションじゃなくて……まさかとは思うけど、優月の実家?」 「分かってるくせに回りくどく言うなよ」  颯也の言葉に苦笑を浮かべながらツッコむと、颯也はオレをじっと見つめる。 「付き合ってるやつの実家に挨拶、なんて――玲央から一番遠い話な気がするし。ていうか、こないだも行ったんじゃなかったんだっけ」 「こないだはまあ……ちょっとオレも息抜きにいったというか。今回は、優月のお父さんが待ってるからなぁ……」  ちょっと考えながらそう言うと、三人は、はっ? と驚いた顔でオレを見た。 「――優月のお母さんはもう分かってそうだったから……一緒に暮らしたいっていう話をしにいくんだ。お父さんもいる時に」  三人の突き刺さるみたいな視線に苦笑しながらそう言うと、勇紀がため息をついた。 「なんかもう玲央が別人すぎて怖いんだけどね……」 「ご両親に挨拶、とか――玲央がすると思わなかったよな」  勇紀と颯也の言葉に、甲斐がオレを見てから、優月に視線を向けた。 「優月は、玲央のこと、どういうつもりで連れてくんだ?」 「どういう……もともとは、オレが教習所のパンフレットを親に見せにいくつもりで……」  ね、と優月がオレを見てちょっと首を傾げる。……小動物っぽいその動作が可愛くて、ふ、と口元が緩む。オレは頷いて、続けた。 「それで帰るっていうから、ついてくことにしただけ。一緒に暮らす話、前回、優月のお母さんと途中だったし」 「へー……」  甲斐が、なるほどね、と呟いて頷く。それから、ちょっと大きく息をついた。 「聞いてたし、分かってはいたつもりだったけど――ほんとに一緒に暮らすつもりなんだな、玲央」 「なんか含みがあるな?」  そう返すと、甲斐は苦笑しながらオレを見て、言った。 「ただ一緒にいるっていうのと、一緒に暮らすっていうのは、やっぱ覚悟が違うと思うだけ」 「覚悟?」 「そ。別々に住んでるならさ――ある意味、適当にもできるだろ。別れるとかも容易いし。つかさ。優月がどうとかじゃなくてさ、そもそも朝から晩まで一人と一緒なんて、玲央に耐えられんのって、思っちまうんだけど」  甲斐の言葉を聞きながら、すこし考える。  ――まあ確かに。少し前のオレなら、絶対そんなことはしなかった。こいつらが優月とのことをだんだん納得しながらも、いまだに思い出したように不思議そうに言ってくるのも、まあ、仕方ないと思う。  少し前なら、一緒に暮らすなんて選択肢にすらあがらなかった。……それどころか、ちゃんと付き合うことすらしてなかったんだから。    優月は、オレがなんて答えるのかをただ純粋に不思議そうに、じっと見つめてきていた。目を合わせると、ぱちぱちと瞬きをしてから、にこ、と微笑んだ優月に。  ――なんだかものすごく、癒されるのだから、もう答は一つだ。 「耐えられるとかじゃなくて、一緒にいたいと思うだけだから」  甲斐に視線を流しながらそう言うと、甲斐はちょっと黙って、それから苦笑しながら頬杖をついた。口元に軽く握った手を押し当てて、笑いを噛み殺すようにしながら言った。 「――マジ、優月がすごい」  急に言われて優月が、「え」と一言。なんて返していいか分からないみたいで、オレを見てくる優月に。 「つか最初から――オレが引っ越してきて、てお願いしてる方だからな」  そんな風に言ったオレに、今度は優月はすぐに「そんなことないよ」と言った。 「オレも、一緒にいたいから」  嬉しそうに。ちょっと照れたように、でも、まっすぐに言う優月に、まあ各々別の意味だろうが。とにかく、何も返せないくらいに撃沈したのは――オレだけじゃなかった。 ◆◇◆ *ご挨拶* このメッセージはおいておこうかな、と思うところに同じものを張り付けておきます。 いろいろ読んでくださってる方は1回だけ読んでいただければ大丈夫です。 この1月あまり、いろいろためてしまったもろもろがあるので、できるところから再開していきます。 なかなかいっぺんに完璧にはできないと思うのですが……ゆるくお付き合いいただけたら♡ 各サイトやDM、マシュマロなど、いろいろいただいてるコメントもお返しできるところからお返ししていきます。 小説の後に書いていた、無断動画についてののページは、消していきます。 noteを近々開設するので、改めてそちらに移します。 ぼちぼち、続けていきますので。 よろしくお願いします(^^♡ 2026/8/4 ♡星井悠里♡

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