ご飯をご馳走様すると、お皿を洗う桜二の腰に纏わりついて、力の限り甘ったれる。 「桜二～、桜二～、どうして？どうしてそんなにセクシーなの？」 オレのそんな素朴な疑問に、彼は鼻で笑いながら答えた。 「そんなの…知らないよ。」 知らない訳無いだろ？こんなにセクシーなのは…罪だよ？ 「嘘だ～。だって、こんなにエッチな雰囲気が染み出てるんだもん。おかしいよ～。歩く猥褻だよ？会社で女の人に触られない？大丈夫なの？」 彼の背中に頬ずりしながら彼の股間を撫でると、ギュッと握って扱いてあげる。 「あ…もう、何してんだよ…」 そう言って体を捩らせる桜二に言ってあげた。 「これは３Dを超えた４Dの体感型アトラクションだよ？甘い声と共に、こうやって体にも働きかけるんだ。」 「馬鹿言ってないで…もうやめて…！着替えなきゃダメだから…」 ちぇ～…！ 「桜二～、桜二～」 忙しく動き回る彼の後ろを追いかけて、スラックスを履こうとする足を持ち上げてベッドに転がした。 「シロ～～！」 「あ～はっはっは！体幹がしっかりしてないから転んじゃうんだよ？オレにやってみて？絶対転ばないから！」 ムスッとする桜二の顔なんて無視して、彼の真似をして前屈みになって片足を上げて言った。 「ほら！ほら！やってみて？」 「…もう」 桜二は渋々そう言ってオレがした様に足を持ち上げた。 「ほらね？転ばな～い！」 見事な体幹を見せつけて得意げにそう言うと、ワイシャツとパンツ姿の彼に抱きついて甘ったれる。 「桜二…行かないでよ…寂しいんだもん。やだ…やぁだ～」 彼のパンツ越しに彼のモノを撫でてワイシャツに頬を摺り寄せる。 「も、もう…！こら！シロ！発情期のターザンになってるよ？」 知ってる。 なんだかすぐに彼の股間を撫でてしまうんだ… 少しだけニヤけた顔の桜二を見つめて口を尖らせると、ベッドに突っ伏して寝転がった。 「そんな姿でウロチョロするからいけないんだ…」 ポツリとそう言うと、彼はスラックスを履いてネクタイを締めて言った。 「シロ？“見守り携帯”を首から下げて？」 今？ 「外出する時だけでしょ？」 顔を上げてそう言うと、彼は首を横に振って水色の”見守り携帯”をオレの首から下げて言った。 「俺と離れる時はこうするの。良いね？」 ポ… 不覚にも…キュンとした。 俺と離れる時は…こうするの…？ 俺と…離れるときは、こうするの？ 頬と耳がボッと熱くなって…見つめる桜二の顔がどんどんニヤけて行く… 「…照れたの？」 首を傾げてそう聞かれて、口を尖らせながら頷くと、桜二がギュッと抱きしめて言った。 「可愛いな…」 もう…恥ずかしい… 「行ってらっしゃい…」 首からピンクの”見守り携帯“をぶら下げた桜二が、玄関から外の世界へ行ってしまった… １人取り残されたオレは、乾燥が終わった洗濯物を畳むんだ… おもむろに両手を床に付けて逆立ちすると、逆さに見える部屋を眺める。 同じ部屋なのに、見方で違く見える… 同じ様に…兄ちゃんの事も、見方を変えたら違く見える様になっている。 不思議だね… 十人十色とはよく言ったもので…十人いればそれぞれ物の見方も感じ方も違う… 自分以外の人に話す事って…意味のある事なんだって今更気が付いた。 「ヨッと…」 体を起こして乾燥機から乾いた洗濯物を取り出して行く。そして、広いリビングで開脚しながら畳むんだ。 ふと、目の前のローテブルに置いたままの携帯電話がブルルと短く震えた。 メールの着信だ。 「でも…今は、桜二のパンツを畳まなきゃダメなんだ。」 オレはそう言って桜二のパンツを丁寧に畳んで置くと、今度は彼のＴシャツを手に取って丁寧に畳み始める。 洗濯物を畳むのは好きだよ？だって、気持ち良いからね。 こうしてビシッと綺麗に畳んで…これ見よがしにローテーブルの上に置いておくんだ。 そうすると、桜二が帰って来た時、わ～！すご～い！ってなるでしょ？ そうやって…恩を着せて、好きなだけ我儘を言うんだい。ふふっ！ これがオレの緩急だよ。 洗濯物を全て畳み終えると、携帯電話を手に取ってメールを確認する。 「ふふ…勇吾だ…」 “寂しくて寝られない…隣に来て“ あぁ… この人は本当に…甘えん坊さんだ。 “良いよ。でも…時間がかかるかもしれない” オレはそう書いて返信すると、他のメールを確認する。 「大塚さんだ…ふふっ！あの人、ちゃんと返信するんだ…意外だ。」 それは昨日の夜、オレが彼に送ったメールへの返信だった。 “分かったよ” …それだけ。ふふっ！ 短くて…簡潔だね… 大塚さんは絵が上手な画家さんで、桜二と散歩していた公園で出会ったんだ。人物画を描いていて、人となりまで表現する事に情熱を注いでる。そして、オレが入院していた心療内科の患者さんの絵を描いてご家族にあげていた。上手に描くから喜ばれているって聞いた… 偶然の再開だったけど、彼が心療内科で患者さんの絵を描いている理由…オレは何となく分かったんだ。 まるで空っぽの様になってしまった人を見つめて、表情を想像しながら描くんだ…その時、初めて彼に会った時言っていた…絵にも練習が大切だという話を思い出したんだ。 彼はあそこで…好きなだけ人を見つめて自分の上達の為に練習をしてる。誰にも咎められずに、まるで親切の様に、堂々と練習をしてる。 ある意味、合理的だ… メールの画面を閉じると、音楽を再生させてストレッチと筋トレを始める。 「さあ…体と気持ちを整えて行こう…」 今日はお買い物に行くんだ…桜二とオレのネックストラップを買って…”見守り携帯”を可愛くするんだから… ＃勇吾 ロンドンのノッティングヒル… 東京から自分の棲家に帰って来て、自分の企画した公演の準備をしている。 俺が居なかった分を取り戻す様に現場が慌ただしく動いて、戻って来て早々に徹夜の泊まり込み作業をした… 戻って来て…２日目にして、やっと、自宅に帰る事が出来た… 「老体にはしんどいのう…」 そんな事をポツリと呟くと、雪が残る玄関先に知ってる姿を見つけて項垂れる。 「勇ちゃん…何回も、連絡したのに…！」 そう…彼は俺の恋人。 ダンサーをしてる、２５歳の男の子…真司君（しんじくん）だ… 項垂れたまま玄関に行くと、俺の体に抱きついて言った。 「もう！聞いてるの？…酷いじゃないの！心配したんだよ？連絡だって、僕にはくれないで、ショーンにばっかりして！酷いじゃないか！」 彼は今回の公演を運営する、仕事仲間でもあるんだ…。 手近で済ませた訳じゃない…付き合って２年にもなる立派な恋人だよ。 「悪かったよ…疲れてるんだ。もう、帰ってよ…」 そっけなくそう言うと、体に纏わりつく彼を振り解いて一目散に部屋の中へと逃げ込んだ。 「勇ちゃん！」 そう言って怒る彼を置き去りにして、廊下を歩いて寝室へと向かう… シロ… きっと、勇ちゃんの事を待っていたんだろ？ 可哀想に、ごめんね… 寝室に入るとベッドに倒れ込んで、目の前の壁に飾った彼を見つめる… 「シロ…寂しいよ…」 今まで誰かを好きになっても、こんなに寂しい思いなんてした事が無かったよ？ 胸が苦しくて…痛いんだ。 “寂しくて寝られない…隣に来て“ 携帯からメールを打つと、彼に送信して…返信を待った。 ８時間の時差…今頃、東京は朝の９時頃。 丁度、桜ちゃんが仕事に行った後くらいだ… 朝のリビングで、猫柄の変なパジャマを着てストレッチをしてる彼を思い出して、口元を緩める。 「シロ…シロたん…勇ちゃんの方を見て笑ってよ…そんな、つまらなそうな顔をするなよ…全く。可愛い奴だな…」 壁に飾った彼のデッサンを見つめて独り言を言うと、目から涙が一筋垂れて落ちる。 あぁ…シロに会いたいな…また両手で抱きしめてあげたい。 高く持ち上げて…クルクルと回して…下から彼の笑顔を見上げたい… 携帯がブルっと震えて、シロの返信を見て吹き出して笑う。 “良いよ。でも…時間がかかるかもしれない” 「ぷぷっ！」 全く…あの子は…可愛いんだ。 「いつまでも待ってあげるよ…」 そう言って、彼を抱きしめる様に布団を抱きしめて顔を埋めると、嗚咽を漏らして泣いた… 仕事をしている時の方が紛れるんだ… こうやって一人きりになると、彼のデッサンを目の前にすると、俺は途端に弱くなる… まるで体が半分千切れてしまった様に、痛くて悲しくて寂しくて辛くて堪らないんだ… こんな事なら…あの子の傍で、たこ焼き屋さんになっていれば良かった… 手に持ったままの携帯電話が震えて、着信を知らせる… 画面の表示を見つめて項垂れると、ベッドのマットレスに挟んで入れた。 そのまま目を瞑って、瞼の裏にシロを思い浮かべる… 「勇吾…」 「勇ちゃん」 「勇吾は恥ずかしがり屋さんなの？ふふ…可愛いね？」 あぁ…シロ、俺の女王様…会いたいよ…！ 今、こうやってすぐに思い出せる彼の声を…どんな物だったのか忘れて行ってしまうんだ…。あの子の素肌の感触も、声も、髪の匂いも、会えない時間が長くなる程、忘れて行ってしまうんだ…。 時というのは離れた恋人同士に、残酷で…容赦がない… …シロ、俺は耐えられるのかな？ お前に会わない時間を…耐えることが出来るのかな…？ 自信が無いよ… 怖くてたまらないんだ。 ジュリエットと会えなくなったロミオも…こんな気持ちだったの？ それじゃあ…毒を飲んで死ぬのも、仕方が無いな… 彼が入院した時…自分のせいで彼を苦しめたと分かって…もう、会わないと覚悟して仕事に打ち込んだ。 あの子の目が覚める事を信じて…壊れてしまいそうな恐怖を打ち消すように、目の前の事に集中して…あの時間をやり過ごした。 あのまま シロに会えないまま、イギリスに帰っていたら…俺はどうなったかな…？ きっと廃人の様に枯れすすきになってしまったかもしれない。 毎日あの子が目を覚ます夢を見るかもしれない。 反対に…あの子が死んでしまう夢を、見るかもしれない…。 あの子がどうなったのかさえも確認出来ないまま…愛するあの子を忘れようと、もがき苦しんだだろう… それに比べたら、今は天国にいるようなもんじゃないか…そうだろ？勇吾。 あの子は死なずに済んだし…治療の目途も立った… 俺がメールを送れば…彼が返信をくれる。 それの…どこが、寂しいんだよ…！ そんな気持ちは、贅沢だよ… 本当に…俺は我儘な男だな… ドンドン…ピンポン…ドンドン、と…ドアを乱暴にノックする音で目が覚める。 何だ…新手の強盗かな…？ 疲れが取れ切らない体をベッドから起こして、ヨロヨロと玄関へ向かう。 「はい…」 「勇吾、早く支度しろ！まだ、ぐっすりなんて寝られないぞ！ほら、ここを開けろ！」 あぁ…ショーンだ。 数少ない気の置けない仲の友達で、今回の公演を俺と一緒に準備してくれてる。 ガチャリ… 玄関のチェーンを外して鍵を開けると、ドアを開いてズカズカと入って来る彼を目で追いかける。 「今、何時？」 気怠く俺が聞くと、ショーンは腕時計を確認して言った。 「朝の７：００だ。ほら、早くシャワーを浴びて、支度しろ…！」 あぁ…随分寝てしまった… 本当は５：００に会場に戻る予定だったんだ。 携帯をマットレスに挟んでしまったから、アラームが聞こえなかったんだ。 「ほいほい…」 俺は頭をポリポリ掻きながら、言われた通りに支度を始める。 今頃…シロは、おやつでも食べてるのかな… シャワーから出ると、急いで服を着替えて、寝室のあの子を見に行く。 「シロ…勇ちゃんはお仕事に行ってくるよ…。良い子にしててね…」 「誰、その子…」 寝室の入り口で俺を急かし続けるショーンがそう言って、デッサンのあの子を覗き込んで見た。 「…ん？どっかで見た事があるよ…？日本の有名人か何か？」 ふふっ！ シロのデッサンをまじまじと眺めて首を傾げ続ける彼に言った。 「他人の空似だよ…。」 イギリスで彼が知られる顔の訳がない。 まだ、踊っていないんだからね。 ひとたびステージに立たせたら、あっという間に有名人になってしまうだろうけど… まだ、俺はその舞台すら用意できていない。 「ほい…準備出来たよ。」 寝室を出る最後まで、シロの顔を見つめ続けて…玄関を出て彼の車へと向かった。 「…真司と何かあったの？」 「いや…」 「昨日、メールが来た。勇吾がおかしいって…」 「そう…」 「あの、さっきの絵の中の子。あの子が関係してるの？」 「どうかな…」 ショーンが運転する車で、コーヒーショップの紙袋を膝に乗せられたまま窓の外を眺めていると、深いため息をつきながら彼が言った。 「俺たちは…友達なのに…」 はぁ… 「俺たちは…もう、１０年来の友達なのに…」 全く… 「お前がイギリスに来た時…初めて仲良くしてやった友達なのに…」 そう言って俺の顔を覗き込むと、首を横に振りながら言った。 「教えてくれないんだ…」 教えたくないんだよ…シロは俺の秘蔵っ子だ… 「まだ…言いたくないんだ。」 ポツリとそう言って窓の外に視線を向ける俺に、首を傾げてショーンが言った。 「確かに…変だな。」 はぁ～、やんなるね。 俺の変化は俺自身も戸惑う程に感じてる。 まるでとんがった角が削られたみたいに落ち着いて、凪の様に穏やかなんだ。それに加えて、シロに会えない寂しさが体中から溢れて…きっと、哀愁漂うイケメンに見えるに違いないんだ。 会場に到着すると楽屋口から舞台の裏へと向かっていく。 手に持ったコーヒーを俺に手渡して、ショーンが今日のスケジュールを矢継ぎ早に伝えて来る。 「ミーティングは８：００から、その後、照明と音響の打ち合わせに立ち会って、舞台袖への動線を確認したら、俺と一緒にパブに行って楽しくおしゃべりをする。それが終わったら、またここに戻って、再調整した個所を確認してくれ。分かった？」 はぁ…やる事が山積みだね。 外部に依頼した照明と音響…これはお国柄なのか、彼らは打ち合わせなんて言って当初の仕様を変えて来ようとするんだよ。楽で簡単な方に、勝手に変えてしまう…だから、立ち会ってしっかりと監視しないといけないんだ。 主張するのが彼らの権利で…それを監督して要求するのが…雇った俺の義務なんだ。 日本だったら現場のスタッフは従順で、真面目なんだけどね… 「ほ～い…」 適当に返事をして早速ミーティングに向かう。 「勇ちゃん…」 はぁ… 目の前に現れた真司に心の中で項垂れて、伏し目がちに言った。 「これからミーティングがあるんだ…」 「知ってる、僕も行くから…」 あぁ…そうかい。 足早に歩き始める俺の隣を、顔を見上げながら付いて来ると、そっと手を握って言った。 「勇ちゃん、ちゃんと話してよ…。どうして僕の事、ちゃんと見てくれないの？」 鬱陶しくて、嫌だった… 真司の手を振り払うと足を止めて、彼を見つめて言った。 「はぁ…もう、いい加減にしてよ。忙しいんだよ。見れば分かるだろ？！」 そんな俺に怒りを露わにした真司が、口を尖らせて怒鳴って言った。 「それは、勇ちゃんがいつまでも帰って来ないからいけないんだろ？一体、東京で何してたんだよ！」 「うるせえ！ばか！」 「な、な、な、なんだと！！」 廊下で真司にぶん殴られる俺を見ながら、馴染みのスタッフが大笑いしながら通り過ぎて行く… 可愛い顔をした真司は、良い意味でアグレッシブ…悪い意味で血の気が多いんだ… だから、こんな風にぼかすか殴られるのはしょっちゅうで…彼らには、見慣れた光景なんだ。 「勇ちゃん！酷い！今まで散々酷かったけど、うるせえ、馬鹿なんて…言われたことなんて無かったよ！？も、も…もう！怒ったからな！！」 そのまま…別れるって言って欲しかったよ… ２年も居るせいか、彼に別れを告げるのが…少しだけ心苦しいんだ。 散々浮気を繰り返しても、俺と別れなかった真司…いつの間にか、一緒に居る事が当たり前になって、お互い、空気のような存在になっていった。 真司が嫌いな訳では無いんだ…でも、シロが言った… イギリスから…オレだけ愛してって… それに従わない理由には、なり得ない。 この公演が終わったら…別れよう。 俺の目の前をガツガツ歩いて行く真司の後姿を見つめながら、そう思った。 「どう…？」 ステージの上に並んだポールを見上げて、上で踊るストリッパーに声を掛ける。 「勇吾…とっても良い感じだよ？ねえ…ずっと何処に行ってたの？寂しかったんだよ？勇吾がいないだけで、あの…真司って子がピリピリしてさ…。僕なんて怒られちゃったもん…嫌になっちゃうよ。」 あぁ…この子は可愛いから、数回、寝たんだよな… 「そう…それは大変だったね…。もう、大丈夫だよ。安心して？」 俺はそう言って微笑むと、顔を伸ばして来る可愛い子にキスをした。 これがシロだったら…良いのにな。 ステージのセンターに立てられたポールを優雅に回る姿を見上げて、シロの姿をシンクロさせる… 「シロ…お前がここで踊ってくれたら…素晴らしいのに…」 「さあ、さあ、勇吾。ビールを飲んでへべれけになるんだ。そして、隠し事を俺に全部ぶちまけてみろ？」 あっという間に日が傾いてパブが開く時間になると、ショーンが俺を連れて街に繰り出した。 そして、行きつけのパブに入るとビールを注文して、ニヤニヤした顔で俺を見続ける。 「なぁんだよ。隠し事なんてないぞ？」 俺はそう言うと携帯電話で時間を確認する。 １９：００…向こうは、深夜の３：００… もう、きっと眠ってる。 桜ちゃんの隣で、眠ってる時間だ… 「はぁ…」 知らず知らずにため息を吐くと、ショーンはビールのグラスをコツンとぶつけて言った。 「何だ…恋でもしてるみたいだな…」 恋…？ 俺は伏し目がちにクスクス笑うと、彼とグラスをぶつけてビールを一口飲んだ。 恋ね… 「あの子…どこかで見た事があるって言っただろ？思い出したんだ…」 そう言ってショーンが俺に携帯電話を向けて言った。 「この子だろ…？」 いつもの店と違うステージで、あの子が鞭を振っている動画を見せられて、絶句する。 「シロ…シロたん…」 動いている彼を見て…鞭の上手な扱いを見て…思わず笑いながら涙を落とした。 「ふふ…本当に、鞭が上手だ…。ふふ、可愛いだろ？俺の愛しの…ジュリエットなんだ…」 動画を見つめながらボロボロと涙を落とす俺を見て…ショーンが絶句した。 彼の前でこんなに泣いたのは…いつぶりか。 演出も何も勉強してこなかった俺が、注釈を入れた脚本を手に持って劇場に直談判に行って…門前払いを受けた時以来だ… 「俺に演出をやらせてくれたら…もっと集客させてやる！」 そんな風に息巻いて、アジア人である事と実績がない事を鼻で笑われて、悔しい思いをして大泣きした時以来だ… 「シロ…！会いたいよ…！会いたいよ！」 パブのテーブルに突っ伏してオンオンと泣き始める俺を、ショーンは何も聞かずに背中を撫で続けた。 俺はまだ、こんなに脆くて…弱かったんだ… 「勇吾、この子と知り合いなの？彼の動画はＹｏｕＴｕｂｅにいくつか上がってるんだ…。東京のクレイジーボーイって検索すると見つかるよ？」 はは… 本人には黙っておこう。 ステージの上ではクレイジーかもしれないけど…普段のあの子は穏やかで、甘くて、朗らかで、可愛らしくて、優しいんだ… そんな風に名が広がってるなんて知ったら…傷付いちゃう。 涙を拭って、早速“Tokyo CrazyBoy”で検索すると、シロの動画がズラッと並んで出て来た… 「これは肖像権の侵害だ…」 ポツリとそう言いながら、彼の動画を再生させる。 「あぁ…見て？素敵だろ？あの子はね、こんな風に表現するんだよ。いつもそうなんだ…手の先の動きまで見逃せなくて…夢中になって、彼を見たんだ…」 そう言ってショーンにシロのストリップを見せてあげる。 妖艶で、ダイナミックで、テクニカルな彼を自慢する様に、講釈を挟んで見せてあげる。 ショーンはそんな嬉々とした俺を、ジト目で見ながら言った。 「…お前、まさか…ストリップバーに通い詰めて、戻ってくるのが遅くなった訳じゃないよな？」 はは…半分アタリで、半分ハズレだ… 「ふふ…そんな所だ…」 俺はそう言ってクスクス笑うと、画面の中で美しくスピンして回る彼を見つめて微笑んで言った。 「俺は…この子のロミオなんだ…」 「あ～はっはっは！」 俺の言葉にひとしきり大笑いをすると、涙目になりながらショーンが言った。 「お前！本気で言ってるの？この子がお前のジュリエットで…お前がこの子のロミオだって…！本気で言ってるの？」 良いんだ… イギリスはシェイクスピアの国だからね。 それに、ショーンは芸術学校を出て古典を一から学んでる。きっと、比喩でシェイクスピアを使った事に、物申したい気持ちがあるんだろうね。 日本で言うと太宰治とかさ、そこら辺の文豪の作品を比喩で使って…そう言うのが好きな人が鼻で笑って文句を言ってくるっていう…まぁ、面倒な展開さ。 肩をすくめて口を尖らせると、フンと鼻息を出して言った。 「ああ…俺はそう思ってる。」 誰がどう思おうと良いんだ。俺のジュリエットはお前で、お前のロミオは俺なんだ。 動画を停止させると、画面いっぱいに映ったシロの頬を指で撫でて、彼の営業スマイルを見つめる。 すっかり腑抜けになった俺を見つめてため息を吐くと、ショーンが肩をすくめて言った。 「お前の様子がおかしいのは、そのストリッパーに恋してるからだ。上客になって、すっかり魂を抜かれた。」 あながち間違った意見じゃない。でも、少しばかり修正が必要だ。 「違う…ストリッパーじゃない。この子は…シロって名前だ。意味は…ホワイト。白い色の事…。雪のような白さじゃない…まるで、柔らかい花びらの様に白くて、子供の様に純真な白さなんだ…。」 ショーンの顔を見つめてそう言うと、訂正する様に加えて言った。 「それに…俺の魂は元から空っぽだった…見返してやりたい一心でここまで上り詰めて来たけど…。演出とは、表現する事。誰かと競ったり、小手先で奇をてらったり、他の公演と争う事じゃない…ただ、自分の世界を表現する事なんだ。この子のね…１５分間のステージを見て、そんな初心を思い出させてもらえたんだよ。まるで初々しい魂が戻ったみたいに、感じて考える事が出来るようになったんだ。」 忘れかけていた…昔の自分を見ている様で堪らなくこの子の演出が好きなんだ。 粗削りだけど、心に来る何かが伝わってくるんだ。 かっこいい。素敵。感動した。 そんな形容詞じゃ補えない…もっと芯の部分が震えるような、共鳴するような心地よさを感じたんだ。 俺の長い話を頬杖を付きながら聞くと、ビールを一口飲んでショーンが言った。 「ふぅん…確かに。戻って来てからのお前は毒が抜けたみたいに穏やかで落ち着いてる。以前だったら、大声を出して怒鳴り散らすような状況でも、的確に修正して立て直してる…。一皮むけた、良い男になった気もする…。」 どういう事だよ…全く 「俺も、シロに会ってみたいよ。今度の公演のチケットを贈ろう。」 俺の顔を見つめてそう言うと、ショーンはウインクをして言った。 「あの自己中な勇吾がこんなに大人に成長したんだ。お礼を言わないとな？」 は～？やんなるね？ 俺は首を横に振りながら、クスクス笑って言ってやった。 「あの人は俺の大切な人なんだ。必ず会わせると約束しよう。ただ、今はまだその時じゃないんだ…。すまないね…」 俺がそう言うと、ショーンは首を傾げてクスクス笑って言った。 「ふふっ！本当に、大人になったな？良いよ。断然、良い！」 そう言ってビールを突き出すと、俺のグラスにぶつけて言った。 「シロに乾杯！」 自然と口元が緩んで彼の笑顔につられて笑うと、さっきまでオンオンと泣いていたのが嘘の様にケラケラと笑った。 久しぶりに歩いたイギリスの夜空の下は、東京に比べると体感温度が低い気がする。 泣いたせいか鼻水が出始める… 「真司の事、どうするの？」 隣を歩くショーンが寒さをしのぐ様に体を屈めながら聞いて来たから、俺は逆に空を見上げて答えた。 「別れるよ…俺には、シロがいればそれだけで良いんだ。」 「ふふ…！あの浮気者の勇吾がっ？まじかよっ！？」 そう言ってケラケラ笑うと、俺のお尻を足で蹴飛ばしてショーンが言った。 「シロは凄いな…！どんな子だ！早く会いたい！そうだ、みんなにも教えてあげよう！勇吾が、や～っと、一人前の男になったって！みんなにも教えてあげよう！」 要らない事をするんじゃないよ…全く！ 俺はショーンのお尻をお返しで蹴飛ばすと言った。 「やめろ！公演が終わるまでは別れ話はしないつもりなんだよ！最後の最後で、舞台に影響が出たら嫌だからな。」 ただでさえ、ストリッパーの子に嫉妬して八つ当たりするくらい…真司はアグレッシブなんだ。 今、そんな話でもしてみろ？ ぐちゃぐちゃにかき回されて、おジャンになりかねない。 そんなの…ごめんだね。 「シロ～～～！会いたいよ～～～！」 「うっせーぞ！酔っ払い！死ね！」 人通りも少なくなった道でショーンが大声で喚くから、マンションから顔を覗かせたおっさんに怒鳴られる。 「ふふ、もう…落ち着けよ…」 興奮してキャッキャと笑うショーンを見つめてそう言うと、上空からトイレットペーパーが落とされて、彼の頭にヒットした。 「ぷぷっ！ナイスコントロールだ！」 あまりのクリーンヒットにそう言って拍手をすると、他のマンションからも拍手の音が聞こえた。 全く…いつもはこんなにへべれけになる奴じゃないんだよ。 どうやら、シロがくれた俺の変化が、彼には喜ばしい物だった様だ… いつも他人の恋人に手を出しては問題を起こして、付き合ってる固定の人以外に、何人も違う人と浮気を繰り返して、その度に修羅場を迎えていた… そんな浮ついた俺が、ピタリと落ち着いた。 ねえ？シロ。 まるでお前に会うのを待っていたみたいだと思わない？ もう他はどうでも良いんだ。 お前以外、どうでも良いんだよ。 雪が降り始めそうな寒空の中を、ショーンとケラケラ笑いながら仕事現場へと戻って行く。 ＃シロ 「桜二君？見てくれたまえ…！」 仕事から帰って兄ちゃんの“宝箱”を抱え込むと、一緒に隠してしまっておいた良いものを桜二にプレゼントする。 不思議そうに首を傾げる彼の手のひらに、可愛い桜餅のキーホルダーが付いたネックストラップをプレゼントした。 「ププ…！」 吹き出し笑いしながら受け取ると、首から“見守り携帯”を外して早速つけ始める… そんな桜二が…可愛い！ 「桜ちゃん？」 「嫌だよ…その呼び方は誰かを思い出す…」 口を尖らせてそう言う桜二…可愛いなぁ。 これを人はデレ期とでも呼ぶのだろうか… 僕は、桜二君が、可愛くて可愛くて堪らないんだよ。 “見守り携帯”を携帯する様になってから２日経つ。 今の所、目立った動揺も発作も起きないまま、夜のお仕事をこなしても問題なく過ごせている。 ここにきて、１番の問題は支配人だ… 自分と一緒に狭い受付にオレを閉じ込めて、セクハラまがいな行為を繰り返している。 これは一度桜二に注意して貰いたい所だよ？ 「可愛いね。ありがとう。」 そう言ってオレの頬にキスをくれる彼に抱きついておねだりする。 「ん～！違う！お口にして！お口にキスして！」 地団駄を踏んで暴れるオレにクスクスと笑いながら、桜二が甘くておいしいキスをくれる。 ふわ～～…幸せだ。 「オレのはね…こんな可愛いシールを付けたんだ。」 そう言って自分の”見守り携帯”を彼に見せてケラケラ笑った。 「あ～…バケラッタね…」 桜二の乾いた声なんて気にしない。やっと見つけたＯ次郎のステッカーと、依冬みたいに可愛い黒柴のステッカーを貼ったんだ。 「ねえ、桜二？消えてみて？」 「…もう、知らないよ…」 ブツブツ言いながら、ワイシャツのボタンを外して浴室へと向かう彼の後ろを追いかける。 桜二のセクシーストリップタイムだ… 彼は後ろで目を輝かせるオレを尻目に、浴室の前まで行くと、シャツのボタンをすべて外して今度は両手首のボタンを外し始める。 はぁはぁ…胸元が…ガラ開きじゃないか！けしからんよ？ チラッとオレを見て眉毛を下げると、ズボンのベルトを外し始める。 ふぉ～～～！ 頭の中で興奮した雄叫びを上げると、瞳をグラグラ揺らしながら平常心の表情を続けて、桜二の姿をじっと見つめていた。 「シロ？」 「はい？」 「何してんの？あなたも入るんだよ？早く脱いで？」 いや…もうちょっと見ていたいんだよ… 「は、は、恥ずかしいから…桜二が脱いでからにする…」 そんな事思っちゃいないよ？ただ、彼が全て脱ぐまで見続けたいだけなんだ。 洗面所の入り口で、顔だけ覗かせるオレに首を傾げると、桜二は呆れたように言った。 「はぁ？…よく分かんないな…」 体に羽織っていたワイシャツを脱いで洗濯カゴに入れると、オレの方を向いて、再び首を傾げた。 あぁ…！桜二！お前の上半身はギルティーだ！ オレの手元にチップがあったら、一番高いのを咥えてこの場に寝転がりたいね。 はぁはぁ…堪んない！このストリップバー、堪んない！ 支配人に、桜二や依冬みたいな恵体のストリッパーを雇う様に明日言ってみよう… ズボンのチャックを下げて前屈みになりながら脱ぐ姿に、オレは思わず体を移動させてお尻を凝視した。 「あぁ…！」 感嘆の声出すオレに、振り返って桜二が怒って言った。 「もう！何なんだよ？」 「…恥ずかしいから、先に脱いでって言ってるの～」 棒読みでそう言いつつ、可愛いお尻を見た事に興奮して、自然と勃起した。 あと、１枚！あと、１枚！ 残るは桜二のパンツ１枚となった… どうやって魅せてくれるの？君の実力をおじさんに見せてごらんなさい！ そんな俯瞰した気持ちを抱きながら、彼の次の挙動に注視した。 それはまるで陽介先生の動きを注視するマスターの如く… 一挙手一投足を見逃さない覚悟で、この瞬間に全てを賭けた！ おもむろに両手でパンツの端を掴むと、前屈みになりながらズルッと思いきり下に下げた。 「きゃ～～～～！」 「シ～ロ～！」 困った様な、怒った様な、そんな桜二の声を聞きながら、あまりに大胆に脱がれた桜二のパンツを見つめる。 お前はもうちょっと頑張れたはずだよな… まだ、この子は経験が浅いんだ… 「桜二？次脱ぐ時はこうしてみて？」 オレはそう言うと、楓にする様に衣装を脱ぐ時のレクチャーを始める。 「良い？焦らすのがポイントだよ？脱ぐ時も、緩急が必要だ。」 「はあ…」 素っ裸の桜二を目の前に、オレは自分のＴシャツの裾を掴むと、腰をぐるっと回してお尻を突き出した。 「おほ！」 そんな声…聴かなかった事にするよ。 仰け反らせた素肌が徐々に見える様にＴシャツを捲り上げると、口で咥えて腰をうねらせて煽っていく。 「シロ…」 そう言った桜二の声と共に、彼の下半身が勃っていくのを見てほくそ笑む。 なるほどね…桜二は腰をくねらせるのが好きなんだ… Ｔシャツを体から脱ぎ捨てると、今度は自分のジーンズに手をかける。 彼が注目する中、ボタンを外してゆっくりとチャックを下げて行く。 洗面台に両手を着いてお尻を突き出すと、体を仰け反らせてもっと腰をしならせていく。両手を高く上げて美しく揺らして自分の体に這わせながら下ろして行くと、ジーンズの中に手を入れる。 お尻を動かしながらズリズリとずり下げて…プリンと桃尻がジーンズから出ると、桜二の色っぽいため息が聞こえる… ふふっ！いいぞ！ 前屈しながら膝までズボンを下げて行くと、膝を着いて腰をうねらせながら、体を仰け反らせていく。 「あぁ…シロ！」 堪らない声を出した目の前の彼のモノは、ギンギンにおっ勃った… イエス！ 自分の股間をナデナデしながら顔を見上げて、桜二を見つめると、彼の勃ったモノにスリスリと顔を寄せて行く。 「シロ…これは、もう…始まっちゃってるの？」 どうかな…？ 彼のモノに舌を這わせてねっとりと舐め上げると、ビクビクと反応する様子にクスクスと笑って、唇で食むようにして少しだけ扱いてあげる。 「あぁ…ダメだ…シロ…こんなに興奮させて、責任取って抜いてよ…」 ぷぷっ！どんな責任だよ… でも、桜ちゃんは可愛いから…責任とやらを取ってやろうじゃないか…！ 彼の勃起したモノを上からねっとりと口の中に沈めていくと、口の中で舌を上手に使って彼のモノをネロネロと撫でてあげる。 そのまま、顔を動かして口で扱いてあげる。 オレの髪を撫でる桜二の手が…酷くエロくて、頭がクラクラしてくる。 「はぁはぁ…シロ…イッちゃいそう…！」 彼の色っぽい声が、彼の吐息が、全部エロくて…オレをクラクラにしていく。 熱心に口で扱かれた彼のモノは、ドクンと大きく暴れると、ドクドクと精液を吐き出してイッた。 ゴクリと飲み込んで、喉の奥が焼ける様にねばつく感覚を楽しんで、彼に微笑みかけて言った。 「最後のパンツを脱ぐ所がいまいちだったんだ…もっと、焦らすべきだよ？良い？」 「はぁはぁ…俺で、何してたの？」 「ストリップショーさ…」 「はぁ？」 そんな彼の声を聞きながらお先に浴室へと入って行く。 きっとこれは、職業病なんだ。 勃起させて喜ぶなんて、大した職業だよね？ふふっ！ 「桜二？綺麗に洗って？」 オレはそう言うと彼にフワフワのスポンジを手渡して、両手を上に上げる。 「もう…シロは悪戯が過ぎるよ？」 「嫌だった？」 彼の顔を覗き込んでそう聞くと、桜二はクスクス笑いながら言った。 「すっごい良かった…」 だろ？ オレはね…あらぬ方向に耐えず向上していくんだよ？ 薄暗い寝室で、オレは桜二の上に跨って彼の部屋着をせっせと脱がし始める。 脱がせ途中のＴシャツを肘の所で留めると、まるで腕が縛られてるみたいだ…！ エロいな… 結城さんに付けられた傷は、彼の美しい体に痕を残した。 まるで戦いで負った傷みたい。 武士だ… 「ここ、まだ痛い？」 眠たそうな彼に聞くと、ぼんやりとオレを見つめたまま言った。 「ん…たまに…」 可愛いな… オレは体を屈めると桜二の唇に舌を入れて熱心にキスをした。 いやらしく腰を疼かせながら、彼の胸に置いた手を動かして、彼の傷痕と乳首を撫でてあげる。 中途半端に脱がされたＴシャツを脱ごうともがくから、オレはそれを制止して言った。 「だぁめ…」 脱ぎかけのＴシャツを固く絞る様に縛り直して、彼の両手を固定した。 「何のプレイなの？」 そう聞いて来る桜二の胸板に頬を付けて、うっとりと言った。 「敵に見つかった武士が…拘束されて、拷問を受けている…」 「ぶはっはっはっは！！」 桜二が派手に笑うから、頬を乗せた胸板が揺れて、オレの頭が一緒に跳ねる。 視線の先に見える桜二の肋骨の膨らみを指でなぞる。 この中に肺と心臓と入ってるんだ…。 傷痕を指で撫でて舌で舐め上げる。 「シロ…触りたい。」 「だぁめ。このままが良いの…」 そう言って体を起こすと、うっとりと色付いた桜二の瞳を見つめながら、彼の鎖骨を撫でて、肩を撫でてあげる。 逞しくて…良い筋肉だ。 そのまま胸に手を滑らせると、彼の乳首を優しく摘まんで指先でこねてあげる。 「あぁ…シロ…」 「その気になるなよ、拷問なんだから…」 艶っぽい彼の声が、堪らなくエロい。 桜二の太ももに座り直して、前屈みになりながら彼のお腹と胸を、両手で行ったり来たり撫でまわしてあげる。 お腹にある傷痕をねっとりと舌で舐めてあげると、鳥肌が立っていった… 「気持ち良いの…？」 嘲笑う様にそう言うと、彼の体に圧し掛かる様に体を乗せて、彼の乳首を舌で舐めて転がす。 「あぁ…シロ、触らせて…もう、我慢できないよ…」 ほ？ 「桜二？我慢する、しない、じゃないんだよ。これは、拷問なんだから…そうだろ？」 クスクスと笑いながら彼の乳首を舐めて、もう片方を指先で弄って遊ぶ。 押し込んでずらして…ピンと立ちあがる可愛い乳首を見て、堪らなくなって、口の中で舐めまわす乳首を甘噛みした。 「あぁ…シロ…！」 可愛い…！ 虐められるのが嫌いじゃないみたいだよ？ スウェット越しでも分かる勃起した彼のモノの上に座り直すと、優しく手のひらで撫でてあげる。 押し付けながら撫でると、グンと返事をする様に反応するから可愛くて堪らない。 「拷問なのに…こんなにおっきくさせたら、だめじゃないか…」 そう言って桜二の勃起した膨らみに、自分の勃ったモノを手で押し付けて腰を振った。 「はぁはぁ…桜二…どうしてそんなに…エッチな顔してるの…？だめなのに…はぁはぁ…あ、あぁん…気持ちい…」 桜二を見つめながら腰を振って、体を捩らせて喘ぐ。 「シロ…シロ…念のため出して…？ズボンから出して…！」 ははっ！そんな事するかよ…パンツの中でイッちゃえよ…むふふ！ 「あはは！だぁめ！ほらぁ…拷問なんだから、気安く話しかけてくんなよ…そうだろ？」 自分のパジャマのボタンを外すと、片方だけ肩から落として指先で自分の乳首を摘まむ。彼を見つめてだらしなく喘ぎながら…股間を擦り続ける。 股間にあたる彼のモノがグングンと硬くて大きくなっていく… 挿れたい… 彼の気持ち良さがオレに伝わって…どんどん興奮して行く。 体を仰け反らせて胸を開けはだけさせると、いやらしく腰を振ってよだれを垂らす。 「桜二…！きもいい！…あっああん…イッちゃいそう！」 桜二の大きくなったモノをスウェットの上から握って扱くと、彼の腰が跳ねて彼の両手がオレの腕を掴んだ。 「あぁっ！シロ！だめだって…はぁはぁ…んっ…はぁはぁ…シロ、退いて！」 あはは～…イキそうなんだ… オレは桜二のモノを扱く手を退かすと、彼の素肌に自分の素肌を合わせて、腰をゆるゆると動かした。そのまま彼の体に抱きついて、いやらしく喘いで腰を振った。 「あっ！シロ…！んっはぁっ…！はぁはぁ…あぁ、あ…もう…最悪だ……」 やった…！ パンツの中でイカせてやったぞ…！ 「あ～ははは！わ～！お漏らしした！お漏らしした！あはは！桜二にはおむつが必要だね？んふふ～！だ～はっはっは！」 悪乗りしたままそう言ってケラケラ笑うと、片手でオレをベッドに薙ぎ払ってブツブツと文句を言いながら浴室へと歩いて行った… 桜二の寝ていた場所はあったかくて良い匂いがして、オレは薙ぎ払われた格好のまま目を閉じて、彼の残像の中にうずくまった。 暫くすると桜二が戻って来て、目を閉じるオレのすぐ横に座って顔を覗き込んできた。 …オレは復讐を恐れて、寝たふりをしてやり過ごす。 おもむろにオレの開いたままのパジャマのボタンを留め始めた。 ぷぷ～！優しいかよ！ 笑うな…我慢しろ… 突っ込みたいところをぐっと堪えて、狸寝入りを決め込むと、オレの体をいつものポジションに移して、布団をかけてくれた。 凄い、優しい！ そのまま隣に添い寝すると、優しい手付きでオレの髪をかき上げてる。 息がかかって髪が揺れてるから…多分、こっちを見てるんだ… 今、目を開けたらだめだ…笑っちゃダメだ…！ おもむろに布団の中に手を突っ込むと、オレのお尻をモミモミと揉み始めた。 やるな…こいつ、絶対やる！ 予想通り、桜二はオレのパジャマのズボンを下げると、オレの半勃ちしたモノを撫でながら、お尻を優しくさすり始める。 「やだ…」 オレが目を開けてそう言うと、待ってましたとばかりに桜二が覆い被さって熱いキスをする。 やめろよ！めっちゃ気持ちいいじゃんか…！ 「さっきの楽しかったから…今度は、シロが捕まった武士ごっこする？」 嘘つきだ！ 「しない！オレは眠いからそんな事に付き合わない！」 「そうなの？でも…こうしてたら、したくなるかもよ？」 そう言ってオレのモノを両手で扱き始めた。 あぁ…！めっちゃ気持ちいい…頭がクラクラする。 「んっ…あっ…桜二…お口で、お口でしてよぉ…」 「シロ…もう、したくなったの？」 オレの顔を見下ろして、そう煽ってくるからムカついて嘘をついた。 「したくない…でも、口でしたら、したくなるかもしれない…」 「ほんと？」 桜二はそう言うと、オレのパジャマを脱がせて足の間に体を入れた。 体を起こしてオレの股間に顔を埋める桜二を見下ろすと、オレのモノを撫でる彼と目が合った… 「じゃあ、咥えるよ…？」 そう言うと、オレの目を見つめたまま、オレのモノを下から上にねっとりと舐め上げた。 「あっあん…！…はぁはぁ…桜二…エロい…」 背中に快感が立ち上って腰が震える。 口元にあてた指を噛みながら、気持ち良くて、喘ぎながら悶える。 桜二の口の中が気持ち良くって、たまらずに体をベッドに沈めていくと、彼のくれる快感を味わう様に体を仰け反らせる。 「あっあっああ！んっ…桜二…きもちい…きもちいよ…ぁああっ…もっと…もっとしてよ…」 腰を動かしておねだりすると、クスクスと笑いながら桜二が言った。 「…したくなって来た？」 まだ聞くの…？見りゃ分かんじゃん！ 彼がしつこいのは健在なんだ！ 「はぁはぁ…まだぁ！もっとしないと…あっ！分かんないからっ！…ぁああっ！や、やだぁ…！」 桜二がオレのモノを口で扱きながら、両手をオレの足の下から回して、両方の乳首を弄り出した。 これ、逃げられないし、すごく気持ち良くて…いつもこれでイカされる… 「あっあっ！や、やん！だめ…！これはだめぇ！あっああ！きもちい…！はぁはぁ…イッちゃう！桜二…！イッちゃうよっ！！ぁっあああっだめぇっ！！」 だって、すっごい気持ち良いんだもん。 宣言通り、オレはすぐにイッてしまった… 快感の余韻が抜けないうちにオレの中に指を入れると、いやらしい声を出して聞いて来た。 「シロ…俺の欲しくなった？」 欲しいよ…めっちゃ欲しいよう… 「ん…まだ…分かんない…あっあっん！はぁはぁ…ああっ！や、やだぁ！だめっ！あん…っ！！」 オレがそう言ってまだ粘ると、桜二はクスクスと余裕の笑い声を耳元に届けて、オレの中の敏感な部分を撫でまわし始める。 オレの仰け反る体にねっとりと舌を這わせると、ビンビンに立った乳首をしつこいくらいに舌先で転がす。 「あっああ…！だめぇ…！んん～～。だめぇ！」 おかしくなりそうなくらい真っ白に気持ちよくなって行く。 多分、またイッちゃう… 「シロ…自分でおちんちん扱いてごらん？もっと気持ち良くなるよ？」 悪魔の囁きの様にそう言うと、仰け反ってビクビクするオレの胸板に舌を這わせてまた乳首を舐める。 「はぁはぁ…うん…」 悪魔の助言に従って自分のビクつくモノを触ると、気持ち良すぎて触ったまま動かせなくなった。 桜二はクスクス笑いながらそんなオレを見つめると、ねっとりとキスして、オレの手の上から握り込んでいつもの様に扱き始める。 「あっあああ！桜二！だめぇっ！！イッちゃう！イッちゃう！！っああぁあ！！あっああ…！！…はぁはぁ」 桜二の体にしがみついて、またイッてしまった… フワフワして気持ちいい… 横向きにゴロンと寝転がって快感の余韻に浸っていると、桜二が背中を舐めて、オレの中にモノを挿れて来る。 「まだ、したいって言ってないのに～！」 そう言って体を捩ると、彼はガッチリとオレの腰を掴んで、ねっとりといやらしく腰を動かし始めた。 やばい…桜二のめっちゃ気持ち良いんだ…腰の動かし方から、モノの硬さまで、ちょうど良くてすごく気持ち良いんだ…たまんない。 「あっあっあっ！桜二…きもちい…！！桜二！」 下から突き上げる快感と、体を後ろから抱きしめられてる気持ち良さが混ざって、快感に満たされていく。 「はぁはぁ……シロ…キスして？」 後ろから桜二がオレに言うから、オレは肘を着いて体を捩らせると後ろの桜二に舌を出してキスした。オレの体の下から桜二の腕が伸びて来て、オレの胸全体に掌をあてて指先で乳首を触る。 こんなの、だめに決まってる… もう片方の手でオレのモノを扱きながら、腰を突き上げるタイミングと合わせてオレの腰を後傾に傾ける。 こんなの、だめに決まってる… あっという間に限界まで快感が上り詰めて、背中で桜二の息が当たるだけで体が震えて鳥肌が立って行く。 「あっあああ…だめぇ…イッちゃう～！！おうじ、イッちゃう！きもちい！あっ、あっ、あっああん！！」 腰が震えてガクガクすると、オレの中で桜二のモノもドクドクと精液を吐き出してイッた… 再び一緒にシャワーを浴びて、オレの中を綺麗に流してくれる桜二の鎖骨を撫でて、彼の胸にキスをすると、素朴な疑問をぶつけてみた。 「ねえ？桜二のテクニックは何でそんなに凄いの…？生まれ持ったセンスなの？それとも熟練の技なの？」 「え…何が？何が凄いの…？」 とぼけるのが下手くそなんだ… 彼のブカブカのＴシャツを着て、彼のパンツを履くと、そのままベッドに戻ってうつ伏せて寝転がった。 慣れない仕事と、さかった体に翻弄されて、すっごい眠い… 「シロ～？お休み～…」 気の抜けたような彼の声を耳で聞きながら、返事をする余裕もなくてそのまま眠ってしまった。