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第4話
玄関のドアを閉めた僕らは、靴を脱ぐのもそこそこにキスをした。
廊下を歩くのも寝室のドアを開けるのももどかしく、上着を脱ぎ棄てシャツのボタンを外した。
朝目覚めた時には広いと思ったダブルベッドに押し倒される。
カフェでは人の好さそうな笑みを浮かべていた佐山が、餓えた野獣のような顔をしている。
自分の日記を読んで僕らがただの編集者と作家という関係じゃないと知った。
僕が知っている佐山は、会ってまだほんの数時間だ。そんな短い記憶だけど、たしかに僕は彼に好意を抱いている。
キスをして直接肌に触れられても、男同士だという嫌悪はない。
でも……
いくら初めての行為じゃないとわかっていても、ためらいが生まれる。今の僕にとっては、会ったばかりの人間なのだ。そんな相手とセックスをするなんて……。
固く瞑った瞼に柔らかい温もりが伝わった。
身体をゆっくりと横向きにされると、後ろから優しく抱きしめられた。
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